川崎重工業(7012)は、窒素酸化物(NOx)の排出を抑える新型燃焼器を搭載した小型航空エンジンの運転試験に成功した。水素100%を燃料として使用し、エンジンの安定した運転と低NOx性能の両立を確認した。

水素航空機エンジン運転試験の様子(川崎重工提供)
試験はJAXA(宇宙航空研究開発機構)の能代ロケット実験場(秋田県)で実施。エンジンの始動から回転上昇、巡航相当の定常運転、加減速運転、停止までの一連の運転条件で、安定した燃焼と推力の発生を確認した。
新型燃焼器には、川崎重工が発電用ガスタービン向けに開発・製品化した「マイクロミックス燃焼技術」を応用した。水素を多数の微小な火炎に分散して燃焼させ、局所的な高温領域の発生を抑えることで、NOxの排出量を低減する仕組みとなる。
川崎重工は2024年10月に、従来燃料用の自社製小型航空エンジンに水素用燃焼器などを搭載し、水素100%燃料による運転試験に成功したと発表。今回はNOx排出量を抑える新型燃焼器を使用し、運転安定性と低NOx性能の両立を確認した。
同社は今回の運転試験を国内初だとしている。また、ICAO(国際民間航空機関)が強化する航空エンジンの排出ガス規制への対応に加え、世界最高レベルの低NOx性能を実現できる見通しを得たと説明している。NOxの具体的な排出量や削減率は明らかにしていない。
今回の試験は、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のグリーンイノベーション基金事業に採択された「水素航空機向けコア技術開発」の一環として実施した。同事業では、2021年から2030年までをコア技術の開発期間としている。川崎重工はエンジンのほか、液化水素燃料タンクの開発も進めており、2025年11月には試作タンクへの液化水素充填試験の成功を発表した。
今後は機体、エンジン、燃料タンクなどの技術を統合し、水素航空機システムとしての成立性や性能を検証する地上実証試験を計画している。
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