ZIPAIR(ジップエア、TZP/ZG)は、成田-マニラ線を夏ダイヤ初日となる2026年3月29日から運休する方針を固めた。2030年代前半に事業規模を現在の2倍以上に拡大していく中、機材など限られた経営資源を有効活用する狙いがあるとみられ、早ければ12月26日にも正式発表する。ZIPAIRが路線を運休するのは、2020年に就航以来初めて。

ZIPAIR初の路線運休となる成田-マニラ線。写真は成田空港を出発する初便ZG95便を見送る西田社長ら=23年7月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ZIPAIRは、成田-マニラ線を2023年7月1日に週7往復(1日1往復)で開設。北米とアジアを成田経由で結ぶ3国間流動の需要は旺盛ながらも、マニラ線の運休を決めた。
同社初となる路線規模の運休は、機材繰りや需給環境などを総合的に判断したとみられ、すでに成田-シンガポール線も、夏休み期間となる7月20日から9月19日まで、機材繰りや需給環境などの要因で、一時的に運休することを明らかにしている(関連記事)。
ZIPAIRは、日本航空(JAL/JL、9201)が100%出資する中長距離LCC(低コスト航空会社)。2020年6月3日に就航し、現在は8機の787-8(2クラス290席)で、北米やアジアの10都市へ乗り入れている。8機のうち、2機が新造機で、残り6機はJALが初期導入した機体を改修した。
2026年度は、JALが発注した新造機2機を受領する計画で、当初は今年度に10機体制とする構想だったが、ボーイング側の品質問題などで世界的に引き渡しが遅れている影響が及んでいる。西田真吾社長は今年10月時点で「2026年上期の終わりから下期の始まりぐらい」に受領する見通しを示している。

ZIPAIRの787-9(イメージ、同社提供)

ZIPAIRの上級席「ZIP Full-Flat」=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
2027年度以降は、787-8よりも全長が約6.1メートル長い長胴型787-9を導入する計画も進めており、JALが運航している同型機を10機規模で改修する。現行の787-8では、290席のうち18席あるフルフラットシート「ZIP Full-Flat(ジップ・フルフラット)」が満席になる便が多いことから、単価の高いフルフラットシートの提供座席数を増やすとみられる。
成田を拠点に、アジアと北米に就航するZIPAIRは、旺盛な3国間流動を取り込めているものの、機材数に限りがあることが需要の急成長に対して課題になっている。年明け2026年は、同社初となる成田-米フロリダ・オーランド間の直行チャーター便を2月下旬から3月上旬に運航するなど、新たな事業領域に進出する一方、増機が本格化する2027年度以降との端境期にあたり、難しい判断を迫られている。
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ZIPAIR
23年7月にマニラ就航
・ZIPAIR、マニラ就航 成田から1万円台、フルフラットは4万円から(23年7月1日)
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新事業領域
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機内の動画(YouTube Aviation Wireチャンネル)
・ZIPAIR 787-8 JA822J機内公開 フルフラットシートも
写真特集・ZIPAIR 787-8の機内
(1)フルフラット上級席ZIP Full-Flatは長時間も快適
(2)個人用モニターなし、タブレット置きと電源完備のレカロ製普通席
(3)LCC初のウォシュレット付きトイレ
