ボーイング, 機体 — 2025年12月8日 23:46 JST

ボーイング、スピリット買収完了 民間機の品質改善・供給強化

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 ボーイングは現地時間12月8日、米スピリット・エアロシステムズの買収を完了したと発表した。かつて分社化した最大のサプライヤーを再統合することで、民間機の品質向上やサプライチェーンの安定化を図る。新たに「Spirit Defense(スピリット・ディフェンス)」を設立し、防衛事業は独立性を保ちながら継続する。

ウィチタ工場で製造される737の胴体(ボーイング提供)

 今回の買収で、ボーイングはスピリットの民間機関連とアフターマーケット事業を傘下に収めた。対象には737型機の胴体や、767、777、787の主要構造部位に加え、P-8哨戒機とKC-46空中給油・輸送機向けの胴体などが含まれる。アフターマーケット事業では、最大の補用品サプライヤーがボーイング本体に組み込まれ、世界的なMRO(整備・修理・分解修理)サービスの展開拡大や、部品の交換・リース事業の強化にもつながる。

 防衛部門として設立されたスピリット・ディフェンスは、ボーイング・ディフェンス・スペース&セキュリティの非統合子会社となる。財務報告や一部の機能、施設支援では連携するが、ガバナンスと経営の独立性は維持する。

 ボーイングのケリー・オルトバーグ会長兼CEO(最高経営責任者)は、「スピリットの商業・アフターマーケット事業の統合、スピリット・ディフェンスの設立は、ボーイングの歴史と将来の成功において重要な節目だ」と述べた。その上で「安定性の維持に注力し、高品質な航空機や差別化されたサービス、先進的な防衛能力を引き続き提供していく」と強調した。

 取得対象には、北アイルランド・ベルファスト拠点の一部も含まれ、独立子会社「ショート・ブラザーズ」として事業を展開する。統合対象の主な拠点は、ウィチタ(カンザス州)、ダラス(テキサス州)、タルサ(オクラホマ州)、航空宇宙イノベーションセンターがあるスコットランド・プレストウィックの計4カ所で、約1万5000人がボーイングの一員となる。

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