羽田空港第2ターミナル北側サテライトの延伸部分が、2027年春を目途に開業する。今年3月に本館とサテライトを結ぶ「接続部」が開業し、連絡バスを使わずに徒歩で往来できるようになったが、サテライトを北側へ伸ばすことでPBB(搭乗橋)を使えるスポットを増やす。2タミには全日本空輸(ANA/NH)の国内線に加え、同社の国際線も一部乗り入れており、ANAはサテライト延伸で現在は第3ターミナル発着の国際線を移すことも可能になる。

第2ターミナル北側のサテライトを延伸する羽田空港(国交省の資料から)
サテライトの延伸部分は、47番搭乗口の北側を延ばすことで、隣接する401、402番スポットを発着する航空機もサテライトから乗降できるようになる。現在、サテライトには47、48、49番の3カ所、接続部には50A、50B、51A、51B、52番の5カ所の合わせて8カ所の搭乗口がある。
このうち、50A/Bと51A/Bの搭乗口4カ所は「固定橋マルチ運用搭乗口」となり、ボーイング737型機やエアバスA320・A321型機クラスの小型機は同時に2機、787などの中型機や大型機は1機駐機できるようになった。
一方、2タミに4カ所ある保安検査場のうち、もっとも北側にある「A」を起点にすると、一番遠い47番搭乗口までは約10分かかり、約700メートルある。サテライトを延伸すると、さらに時間がかかるようになり、距離も約1キロに達することから、保安検査場を増設する必要性などを今後詰める。

延伸が計画されている羽田空港第2ターミナル北側のサテライト(左)。402、401番スポットまで延びる計画だ=25年4月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田第2ターミナルのサテライト=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
2タミは2004年12月1日に本館、2018年12月10日にサテライトが開業。建設当初から本館とサテライトは接続を想定した構造になっていたが、開業当時は本館とサテライトの間に政府専用機などの発着時に使う貴賓室があり、連絡バスで結んでいた。2020年10月に貴賓室が東側貨物地区の北側に新設された新施設へ移転したことで、接続部の建設が可能になった。
また、本館南側に国際線施設が2020年3月29日に開業し、2タミにはANAの国際線が一部乗り入れている。サテライト延伸で搭乗口が増えると、国内線の発着を北側に寄せ、現在は3タミを発着している国際線も2タミへ移す余地が出てくる。
羽田では、1タミのサテライトが2026年夏に開業予定で、ターミナル南側の首都高湾岸線上には人工地盤を整備し、1タミと2タミを接続する計画が進められている(関連記事)。2031年度には、都心と羽田を結ぶJR東日本(東日本旅客鉄道、9020)の「羽田空港アクセス線(仮称)」が開業予定で、京浜急行電鉄(9006)も羽田空港第1・第2ターミナル駅を改良し、列車の入れ替えを行う「引上線」の工事を国と進めている。ターミナル改修も、早ければ2030年代前半の供用開始を視野に計画が進む。
*羽田1-2タミ接続の詳報はこちら。
1-2タミ接続
・羽田空港、第1・第2ターミナル接続2030年代に 首都高またぐ人工地盤の設計開始へ(25年11月5日)
1-2タミ接続用人工地盤
・国交省の26年度概算要求、羽田空港に692億円 空港整備勘定は4213億円(25年8月28日)
・羽田空港、第1・第2ターミナル接続を国交省検討 首都高上に人工地盤(21年8月27日)
・羽田空港、第1と第2ターミナル拡充 22年着工、エプロン改修も(20年12月10日)
2タミのサテライト
・羽田空港、2タミ本館とサテライト直結 3/19からバス不要、ANA国際線も拡充へ(25年3月10日)
・羽田空港、2タミのサテライト公開 ANA系12月から発着、吹き抜けで開放感演出(18年11月22日)
1タミのサテライト
・羽田空港、第1ターミナル北側サテライトが26年夏開業 初の木造・鉄骨ハイブリッド構造(24年5月7日)
