羽田空港のターミナルを運営する日本空港ビルデング(9706)と、全日本空輸(ANA/NH)は3月10日、第2ターミナル本館と北側サテライトの接続部を報道関係者に公開した。19日から供用を開始し、本館とサテライトの接続部に国内線の搭乗口を5カ所新設。これにより、第2ターミナルを発着するANAの国際線を拡充できるようになり、夏ダイヤ初日の30日から4便増えて計34便になる。
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3月19日に供用開始となる羽田空港第2ターミナル本館とサテライトの接続部にある51B搭乗口付近=25年3月10日 PHOTO: Kiyoshi OTA/Aviation Wire
—記事の概要—
・直結でバス不要に
・2タミ発着国際線も拡充
直結でバス不要に
本館と北側サテライトはこれまでバスに乗る必要があったが、徒歩で移動が可能になる。接続部の面積は約2万1000平方メートルで、搭乗口5カ所(50A、50B、51A、51B、52)を新設。このうち、50A/Bと51A/Bの搭乗口4カ所は「固定橋マルチ運用搭乗口」となり、ボーイング737型機やエアバスA320・A321型機クラスの小型機は同時に2機、787などの中型機や大型機は1機駐機できる。

3月19日に供用開始となる羽田空港第2ターミナル本館とサテライトを結ぶ接続部=25年3月10日 PHOTO: Kiyoshi OTA/Aviation Wire

3月19日に供用開始となる羽田空港第2ターミナル接続部にある52番搭乗口付近=25年3月10日 PHOTO: Kiyoshi OTA/Aviation Wire

接続部供用開始後の羽田2タミのスポット(空ビル提供)
ANAによると、現在サテライトとして運用している46番から48番の搭乗口は、本館接続により47番から49番に変更。これにより、乗客は本館との連絡バスに乗る必要がなくなり、保安検査場通過後から搭乗までの時間を短縮できる。保安検査場Aを起点に、もっとも遠い新47番搭乗口までは約10分で、距離にすると約700メートルとなる。
接続部の供用開始により、国内線で連絡バスを利用する便は、出発・到着ともに1日あたり4割から2割程度に減少する見込み。
保安検査後エリアには、新たな商業施設も開業。セブンイレブン羽田空港T2出発ゲート店がオープンし、かつてあった江戸前鮨『又こい家』が復活する。

羽田空港第2ターミナルの本館側53-57番搭乗口とサテライト側47-52番搭乗口の案内表示=25年3月10日 PHOTO: Kiyoshi OTA/Aviation Wire

3月19日に供用開始となる羽田空港第2ターミナル本館とサテライトの接続部にある52番搭乗口=25年3月10日 PHOTO: Kiyoshi OTA/Aviation Wire
2タミ発着国際線も拡充
第2ターミナルは2004年12月1日に開業した本館のほか、2018年12月10日に供用開始となった本館北側のサテライト施設がある。サテライトは、建設当初から本館との接続を想定した構造になっているが、これまでは本館とサテライトの間に政府専用機の発着などに使う貴賓室があったため、連絡バスで結んでいた。

羽田空港2タミ本館とサテライト接続工事の増築部(イメージ、日本空港ビル提供)
貴賓室は、2020年10月に東側貨物地区の北側に新設された新施設へ移転したため、第2ターミナル本館北側とサテライトを結ぶ通路とスポット(駐機場)を整備できるようになった。
第2ターミナル本館と接続されることにより、従来「サテライト」と呼ばれていたエリアの名称は廃止。また、「北ピア」「南ピア」といった名称も使われなくなり、ターミナル内の案内をシンプルにする。
接続部のオープンで国内線の搭乗口が増えることから、第2ターミナル発着の国際線も拡充し、国内線との乗り継ぎ利便性を向上。19日からは66番から70番の搭乗口は国際線専用になる。
夏ダイヤ初日の30日からは、国際線は4便増便されて計34便になる。
また、ターミナル内では複数人乗りの自動走行モビリティ「iino(イイノ)」を日本で初めて本格導入。低床設計で最大6人が乗車でき、時速2.5キロ(最大5キロ)で走行する。運用時間は午前8時から午後8時までを予定している。
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3月19日に供用開始となる羽田空港第2ターミナル本館とサテライトを結ぶ接続部に設けられた51B搭乗口付近=25年3月10日 PHOTO: Kiyoshi OTA/Aviation Wire

3月19日に供用開始となる羽田空港第2ターミナル本館とサテライトを結ぶ接続部に設けられた50B搭乗口付近=25年3月10日 PHOTO: Kiyoshi OTA/Aviation Wire

羽田空港第2ターミナルの本館側とサテライト側を結ぶ自動走行モビリティ「iino」のデモンストレーション=25年3月10日 PHOTO: Kiyoshi OTA/Aviation Wire

3月19日に供用開始となる羽田空港第2ターミナル本館とサテライトを結ぶ接続部の到着口へ向かう通路=25年3月10日 PHOTO: Kiyoshi OTA/Aviation Wire

3月19日に供用開始となる羽田空港第2ターミナル本館とサテライトを結ぶ接続部=25年3月10日 PHOTO: Kiyoshi OTA/Aviation Wire
写真特集
・サテライト-2タミ本館直結でバス移動不要 写真特集・搭乗口増える羽田接続部(25年3月12日)
2タミのサテライト
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・開放感とゆったりした席で差別化 写真特集・羽田第2ターミナル サテライト(18年11月24日)
羽田の機能強化
・羽田空港、第1ターミナル北側サテライトが26年夏開業 初の木造・鉄骨ハイブリッド構造(24年5月7日)
・羽田空港、2タミ本館とサテライト接続工事 徒歩移動可に、25年春開業(23年4月4日)
・羽田空港、第1と第2ターミナル拡充 22年着工、エプロン改修も(20年12月10日)