日本航空(JAL/JL、9201)が100%出資する中長距離LCCのZIPAIR(ジップエア、TZP/ZG)は10月28日、成田と米フロリダ州オーランドを結ぶチャーター便を2026年の2月下旬から3月上旬に運航すると発表した。日本初となるオーランドへのチャーター便で、フロリダ ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートへのパッケージツアーも用意する。

オーランドへのチャーター便就航を発表するZIPAIRの西田真吾社長(左)ら=25年10月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
チャーター便は2月23日(祝)から3月10日まで、計4往復8便運航。往路は成田を午後に出発してオーランドには同日午後着、復路はオーランドを午後に出発して、成田には翌日夜に到着する。
運航日は、成田発が2月23日、28日、3月5日、オーランド発は現地時間28日、3月5日、10日。パッケージツアーは7日間で、JTBとエイチ・アイ・エス(HIS、9603)が販売し、個人手配はZIPAIRのウェブサイトで12月初旬から扱う見通し。
個人手配の場合、ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートの4日間以上のテーマパークチケットを購入し、同施設直営ホテルを5連泊以上予約購入する必要がある。
機材はボーイング787-8型機で、座席数は2クラス290席。フルフラットシート「ZIP Full-Flat(ジップ・フルフラット)」が18席、エコノミークラス「Standard(スタンダード)」が272席で、スマートフォンなどWi-Fi機器による機内インターネット接続サービスは無料で利用できる。また、ZIPAIRと米スペースXが実証実験を進めてきた衛星通信「Starlink(スターリンク)」による無料ネット接続サービスを、オーランドへのチャーター便から始める見通し。

ZIPAIRの787-8=25年10月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

フルフラットベッドになるZIPAIRの上級席「ZIP Full-Flat」=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
28日に都内で開いた説明会で、ZIPAIRの西田真吾社長は「特に若年層にマッチした、魅力的なマーケットでオーランド乗り入れを決めた」と説明。今年3月に就航した同社最長路線である成田-ヒューストン線による長距離運航、10月の成田-台北(桃園)間のチャーター便運航と、2つのチャレンジにより、オーランドへの就航に自信を持ったという。定期便化も、機材の増機などにあわせて検討していくという。
ディズニー・ディスティネーション・インターナショナルの澤田智子・マーケティング&ビジネスストラテジー ディレクターは「日本からオーランドは米国やカナダで乗り継ぎ20時間かかるが、今回の直行便は約13時間だ」と、移動時間の短縮や乗り継ぎの不安を解消できるとし、これまで来園を諦めていた人にも訪れて欲しいという。
「フロリダは2026年で開園55周年。パッケージツアーは4つのテーママークを満喫できるスケジュールで、オーランドには午後の早い時間帯に到着を予定している」と、現地での滞在時間を長くできるという。また、ZIPAIRのチャーター便の特典として、成田発オーランド行きの乗客に、ディズニーワールドのグッズをプレゼントするほか、往復利用など条件を満たす利用者には、「特別キャラクターグリーティング」やデザートを食べながら特別エリアでショーを楽しめる特典を用意する。

ZIPAIRのエコノミークラス「Standard」=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
フロリダ州のアレックス・ケリー商務長官は「160社以上の日本企業が進出している」と、ディズニーなどの観光面だけでなく、ビジネス面でも日本とフロリダの結びつきが強いことを強調した。
中野潤也・在マイアミ日本国総領事は「フロリダ州のGDP(国内総生産)は豪州と並ぶ規模で全米4位。日本のGDPの約40%にあたり、来年はオーランドから投資ランキング1位のタンパまで鉄道が延伸される」と、ビジネス需要の高さに触れた。
また、オーランド国際空港などによるグレーター・オーランド・アビエーション・オーソリティーのヴィッキー・ハラミジョCCO(最高商務責任者)は、「ZIPAIRは新しいターミナルCに乗り入れる。空港から自動車で2時間圏内には、フロリダ在住日本人の56%、アジア系の55%にあたる約48万人と、およそ50万人が住んでいる。米国では、タイミングがすべて、とよく言われるが、両地域をつなぐ絶好の機会だ」と、就航を歓迎した。
2020年6月3日に就航しZIPAIRは、JALが100%出資する中長距離LCC(低コスト航空会社)。現在の就航地は10都市で、バンコク、ソウル、ホノルル、シンガポール、ロサンゼルス、サンノゼ、サンフランシスコ、マニラ、バンクーバー、ヒューストンへ乗り入れており、太平洋を横断した初のLCCとなった。機材は787-8が8機で、2026年度に新造機を2機受領して10機体制を構築し、2027年度から787-9を10機導入して、2030年代前半に向けて事業規模を現在の2倍以上に拡大していく。
関連リンク
ZIPAIR
Disney
Orlando International Airport
機材
・ZIPAIR、787-9を27年度以降導入 JAL機を10機規模改修(25年3月19日)
台北
・ZIPAIR、初の台北チャーター 訪日客向け10月に(25年7月31日)
・ZIPAIR、冬ダイヤにも台北就航へ 行政手続き難航で開設延期(21年9月7日)
・ZIPAIR、アジア2路線開設へ 3号機は今年後半(21年4月7日)
機内の動画(YouTube Aviation Wireチャンネル)
・ZIPAIR 787-8 JA822J機内公開 フルフラットシートも
写真特集・ZIPAIR 787-8の機内
(1)フルフラット上級席ZIP Full-Flatは長時間も快適
(2)個人用モニターなし、タブレット置きと電源完備のレカロ製普通席
(3)LCC初のウォシュレット付きトイレ
