大韓航空(KAL/KE)は、アシアナ航空(AAR/OZ)との統合を控え、企業ロゴの刷新や機内サービスの強化を進めている。都内で4月に開いた報道関係者向け説明会では、同社のイ・ソグ(李碩雨)日本地域本部長が統合を見据えたブランド戦略や日本路線の展開について説明。日本市場の取り組みや機材戦略などについても言及し、「世界で最も愛される航空会社」を目指す姿勢を強調した。
—記事の概要—
・アシアナ統合見据えた新ブランド
・大型機「たくさん入れるのは難しい」
アシアナ統合見据えた新ブランド
大韓航空は新しいロゴや機体デザインを現地時間3月11日に韓国・ソウルで発表。1984年以来41年ぶりにロゴを刷新した新デザイン初号機となる中型機ボーイング787-10型機(2クラス325席、登録記号HL8515)は、翌12日のソウル(仁川)発成田行きKE703便となった。

成田空港に到着する大韓航空の新デザイン初号機787-10によるソウル発KE703便=25年3月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
今回の説明会では、統合を象徴するロゴ刷新について「原点に戻って、新しく考え直す時期」と表現。新たなブランドの下で「ダイナミックな未来へ飛躍したい」とする思いが込められているという。
新しいロゴは、従来の太極マークの伝統を継承しながら、より現代的で洗練されたデザインへと進化。基本構成は変わらないものの、曲線のバランスや色のコントラストを調整することで、動きとエネルギーをより際立たせたという。
「KOREAN AIR」のロゴタイプも変更され、筆で描いたような柔らかなカーブの文字により、韓国の伝統美とモダンなデザインの融合を表現。カラーは「Korean Air Dark Blue」を基調とし、洗練されたブランドイメージを強調している。
機体デザインも一新し、水色からメタリック調に変更。新しい太極マークとともに、柔らかな曲線が機体全体に流れるように描かれている。
貨物機を含む機材数は162機。新デザインへの塗装変更は「3年程度かけて統一した塗装にしていく」との方針を説明した。アシアナ航空との統合後は、貨物事業をエア・インチョン(AIH/KJ)へ移管することになる。

新しい機内食を発表した大韓航空(同社提供)
また、機内食とアメニティを一新。ファーストクラスとビジネスクラスには「霜降りビビンバ」「アワビ丼」などの韓国料理を提供し、ソウルのレストラン「Cesta」のシェフ、キム・セギョン氏が監修した。
上級クラスだけではなく、エコノミークラスでも韓国料理や多国籍メニューを展開していく。
食器はフランスのベルナルドやアルマーニ・カサ、寝具にはイタリアのフレッテを採用。アメニティは英国のグラフ製で、再生素材の使用や包装の簡素化など、環境配慮にも取り組んでいる。
大型機「たくさん入れるのは難しい」
日本路線の機材戦略について、イ本部長は「販売の立場からは、特に羽田は大型機材にしたいという思いはある」と説明。「コロナ前より運航回数はかなり回復しているが、機材が小型化している。我々だけでなく、世界的にもA380やジャンボ機を運航していた航空会社が、そうした機材を徐々に減らし、効率的な飛行機を運用することが多くなっている。そのため、提供座席数だけを見ると減っている傾向がある」と述べた。

神戸空港を離陸する大韓航空のA321neo=25年4月18日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

大韓航空のイ・ソグ日本地域本部長=25年4月25日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
「ある意味では、(機材の小型化は)収益性を高めるためのトレンドや工夫の一つだと思う。我々も大型機材を段々と減らしており、昔のように大型機材を日韓路線にたくさん入れるのは難しいと思う」と語り、A380(3クラス407席)や747-8(3クラス368席)のような大型機を投入する可能性は低いという。
「今は新しい機材のA321neo(2クラス182席)が日韓路線の主力になっている。大型機材はできる限り入れたいという気持ちはあるが、機材数などを考えると昔のように入れるのは、なかなか難しいのではないか」とした。

フルフラットシートを採用した大韓航空のA321neoのビジネスクラス=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
イ氏は日本の地方空港の課題にも言及。グランドハンドリング(地上支援)業務では「大韓航空も自らグラハンに入り、札幌(新千歳)で業務を行っている」と述べた上で、保安検査や人手不足の問題、スロット制限により「就航できない時間帯や航空会社もある」と説明した。
一方、昨年問題となった地方での給油体制については「国の支援もあって改善されつつある」とした。
こうしたなか、神戸空港に新設された第2ターミナルに4月18日の開業初日から乗り入れ、ソウル(仁川)-神戸間の国際チャーター便を最新のA321neoによる運航で開設した。日本市場での展開を広げながら、新ブランドの浸透を図っていく。
関連リンク
大韓航空
新デザインとサービス
・大韓航空、初の新塗装787-10就航 雨の成田に初便(25年3月12日)
・大韓航空、41年ぶりロゴ刷新 新塗装787-10初便は3/12成田行きKE703便(25年3月11日)
・大韓航空、機内食とアメニティ刷新 新ロゴとともにサービス強化(25年3月11日)
神戸就航
・大韓航空、神戸-ソウル就航 最新A321neoで1日2往復(25年4月19日)
アシアナ子会社化
・大韓航空、アシアナ株取得し子会社化 準備期間後に合併へ(24年12月12日)
A350-900
・大韓航空、A350-900就航 関空に初便、福岡も(25年1月27日)
写真特集・大韓航空787-10(全3回)
(1)ビジネスクラスはドア付き個室「プレステージ・スイート2.0」
(2)エコノミーは4K対応13インチ画面
(終)胴体最長68.3mの787