企業 — 2025年4月23日 14:40 JST

全日空商事、国内で宇宙実証サービス本格化へ NZ新興の超音速機活用

By
  • 共有する:
  • Print This Post

 ANAホールディングス(9202)傘下の全日空商事は4月23日、スペースプレーン(宇宙飛行機)を開発するニュージーランド新興のDawn Aerospaceと基本合意書を締結したと発表した。Dawnが開発する超音速スペースプレーンを活用し、日本市場での宇宙実証サービス展開を本格化させる。

Dawn Aerospaceが開発する超音速スペースプレーン「Mk-II Aurora」(全日空商事提供)

 Dawnの超音速スペースプレーン「Mk-II Aurora」に実証機器や観測機器を搭載し、高高度の気象観測のほか、宇宙環境下での技術実証や研究開発を進めていく。Mk-II Auroraは超音速で宇宙空間に到達するサブオービタル(弾道)機で、地上へ帰還するため再利用が可能。1日複数回の高頻度で運航できることから、従来の宇宙実証に比べて低コストなサービスを提供できるという。

 Mk-II Auroraは全長4.8メートルのスペースプレーンで、ロケットエンジンを搭載。真空・微小重力・放射線など宇宙環境下での技術実証や高高度の気象観測、超音速飛行環境下での風洞実験などへの用途を想定する。目標高度は100キロ、速度はマッハ3.5を目指し、開発を進めている。4月現在で58回の試験飛行に成功しており、到達高度は約25キロ(8万2500フィート)、最高速度はマッハ1.1に達している。

 全日空商事は新たな宇宙実証サービスを日本市場で提供することにより、国内での宇宙利活用の裾野を広げ、より活発な産業創出の促進を目指していく。またMk-II Auroraは現在ニュージーランドを拠点として運用されているが、将来的には日本国内での運用も目指し、国内拠点の選定や事業の実現可能性などを調査・分析する。

 ANAグループは「次は、宇宙へ」のスローガンを掲げ、宇宙分野での事業創出を進めている。全日空商事はエアライン系総合商社として、航空産業のノウハウなどを生かした宇宙関連サービスの開発を担っている。

打ち上げられる超音速スペースプレーン「Mk-II Aurora」(全日空商事提供)

関連リンク
宇宙ビジネス開発(全日空商事)
全日空商事
Dawn Aerospace

ANAとヴァージン、747から衛星打ち上げへ 大分空港視野に22年以降(21年11月5日)

  • 共有する:
  • Facebook
  • Twitter
  • Print This Post
キーワード: