エアバス, エアライン, 機体, 空港, 解説・コラム — 2024年5月23日 14:19 JST

羽田空港、JALのA350翼端同士が接触 札幌行き503便と搭乗前505便

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 羽田空港で5月23日午前7時28分ごろ、日本航空(JAL/JL、9201)の札幌(新千歳)行きJL503便(エアバスA350-900型機、登録記号JA02XJ)がスポット(駐機場)から出発する際、隣のスポットへ牽引されてきた札幌行きJL505便に使う同型機(A350-900、JA09XJ)と主翼の翼端同士が接触した。この影響で、JL503便と折り返しの札幌発羽田行きJL504便が欠航し、臨時便1往復2便の運航が決まった。JL505便は機材を変更し、1時間45分遅れで出発した。詳しい原因は調査中で、この接触によるけが人はなかった。

羽田出発時に左主翼端が同型機の翼端と接触したJALのA350-900 JA02XJ(資料写真)=22年6月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 JL503便は乗客316人(幼児4人含む)と乗員12人(パイロット2人、客室乗務員10人)の計328人を乗せ、羽田の16番スポットを定刻より6分遅れの午前7時26分に出発。牽引車で機体をスポットから押し出す「プッシュバック」と呼ばれる形でJL503便が出発したところ、隣の17番スポットへ牽引車で牽引されてきた、次便の札幌行きJL505便に使用する同型機と主翼の翼端同士が接触した。JL505便は搭乗開始前で乗客や乗員は乗っていなかった。

 接触したのはA350-900同士で、JL503便の機体は左の主翼先端部「ウイングレット」にある「スタティック・ディスチャージャー(放電索)」が、JL505便で使用予定だった機体は右主翼のウイングレット部分が接触した。

 ウイングレットは空力特性を向上するために設けられた翼端の上向きにカーブした部分で、スタティック・ディスチャージャーは機体に蓄積された静電気を空中に放電するウイングレットの端に取り付けられたヒゲのような部位となる。

A350-900の左主翼ウイングレットとヒゲのようなスタティック・ディスチャージャー(資料写真)=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

A350-900の左主翼ウイングレットとスタティック・ディスチャージャー(資料写真)=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 機体の点検作業が発生したことから、JL503便と折り返しの504便が欠航。臨時便として羽田発札幌行きJL4501便(定刻午後1時5分発、787-9、JA878J)と、折り返しの羽田行きJL4502便が設定された。

 JL505便は機材をA350-900の9号機(JA09XJ)から3号機(JA03XJ)に変更し、定刻より1時間45分遅れの午前11時に乗客389人(幼児4人含む)と乗員14人(パイロット2人、客室乗務員12人)を乗せ、15番スポットから出発した。

 JALでは福岡空港で5月10日に、羽田行きJL312便(ボーイング787-8型機、JA847J)が滑走路手前の誘導路上で停止し、JALグループのジェイエア(JAR/XM)が運航する松山行きJL3595便(エンブラエル170型機、JA214J)が離陸を中止するトラブルがあった。国土交通省航空局(JCAB)によると、航空法が定める「重大インシデント」には該当しないトラブルだった。

 また、スポットでの翼端同士の接触は、今年2月1日に伊丹空港でも発生。全日本空輸(ANA/NH)の伊丹発松山行きNH1637便(デ・ハビランド・カナダDash 8-400〔旧称ボンバルディアQ400〕、JA850A)と、福岡発伊丹行きNH422便(同、JA855A)の右翼端同士がスポットで接触した。

 今年に入り航空局が重大インシデントに認定した事例としては、4月7日に米子空港沖でANAの羽田発米子行きNH389便(737-800、JA69AN)が着陸のため進入態勢に入っていた際、機体が低高度になりGPWS(対地接近警報装置)が作動し、着陸をやり直した事例がある。

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