エアライン, ボーイング, 機体, 空港 — 2024年3月13日 19:36 JST

ZIPAIR、成田-バンクーバー就航 日系LCC初、北米-アジア乗継狙う

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 ZIPAIR(ジップエア、TZP/ZG)は3月13日、成田-バンクーバー線を週3往復で開設した。日本のLCCがカナダへ就航するのは初めてで、アジア-北米間の乗り継ぎやVFR(親族友人訪問)、留学、ワーキングホリデー、観光などの需要を取り込み、7月からは週5往復に増便する。

成田空港でバンクーバー行き初便ZG22便の搭乗手続きをするZIPAIRの西田社長(左奥)ら=24年3月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
7月増便で週5往復
北米-アジア乗継需要

7月増便で週5往復

 ZIPAIRは日本航空(JAL/JL、9201)が100%出資する中長距離国際線LCC(低コスト航空会社)。運航日は往復とも月曜、水曜、土曜。冬ダイヤ最終日3月30日までの運航スケジュールは、バンクーバー行きZG22便が成田を午後4時に出発し、午前8時30分着。成田行きZG21便は午前10時30分にバンクーバーを出発して、翌日午後1時に到着する。翌31日からの夏ダイヤは成田発を午後3時40分、成田着を午後0時25分に変更する。バンクーバー着発は時期により異なる。7月23日からは火曜と金曜を増便し、週5往復運航する。

成田空港を出発するバンクーバー行き初便ZG22便を見送るZIPAIRの西田社長と社員=24年3月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

成田空港で開かれたバンクーバー線就航記念式典で挨拶するZIPAIRの西田真吾社長=24年3月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 機材はボーイング787-8型機で、座席数は2クラス290席。フルフラットシートを採用したビジネスクラスにあたる「ZIP Full-Flat(ジップ・フルフラット)」が18席、エコノミークラス「Standard(スタンダード)」が272席となる。現在8機で、2025年度に10機体制を計画している。

 バンクーバーは、カナダではトロント、モントリオールに次ぐ3番目の都市で、カナダ国内では在留邦人がもっとも多く、ZIPAIRにとっては6カ国目、9カ所目の就航地となった。バンクーバー線を含め、ZIPAIRは国際線のみ9路線を運航しており、このうち米国本土路線が3路線で、3月31日開始の夏ダイヤでは成田-サンフランシスコ、ロサンゼルスの2路線を週7往復(1日1往復)ずつ、サンノゼ線を週5往復運航する。

 13日に成田空港で開かれた就航式典で、西田真吾社長は「カナダは高い出国率で8割を超える。日本へ数度にわたり訪れて欲しい。日本からの留学生やワーキングホリデーで滞在している方からも『これで帰れる』という声を頂戴しており、そうした方々の(帰国時の)足になるようにしていきたい」とあいさつした。

成田空港で開かれたバンクーバー線就航記念式典でテープカットするZIPAIRの西田真吾社長ら=24年3月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

成田空港で開かれたバンクーバー線就航記念式典で挨拶する十河久惠成田空港事務所長=24年3月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 国土交通省の十河久惠・成田空港事務所長は「成田空港には現在フルサービスキャリア(FSC)2社合計1日2便のバンクーバー線があるが、LCCとして初めて就航いただく。航空業界はコロナ禍からの回復途上にあり、特にアウトバウンドは円安の影響もあり、回復スピードが遅い傾向にあるが、今回の新規就航は私たち日本人にとっても価格面で選択肢が広がることになる」と、インバウンド(訪日客)需要先行で回復する中、日本人が海外へ向かうアウトバウンド需要の回復に向けて、刺激材料になると歓迎した。

 西田社長によると、コロナが明けてからの乗客は7割がインバウンド、残り3割が日本人のアウトバウンドだったが、春休みの予約状況はアウトバウンドが4割くらいと、日本人の出国需要に回復傾向が見られ始めているという。

北米-アジア乗継需要

 ZIPAIRでは、観光や留学などカナダへの渡航者に加えて、バンクーバーから北米各地への乗り継ぎや、成田からアジア各地への乗り継ぎ需要を狙う。

成田空港を出発するバンクーバー行き初便ZG22便を見送るZIPAIRの西田社長と社員=24年3月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 西田社長は「バンクーバーからカナダ国内や東海岸など、カナダのゲートウェイ(玄関口)としての機能がある」とバンクーバーのポテンシャルに触れ、「予約のうち日本国籍の方が4分の1、約半分がカナダ、残りがそれ以外の海外の方で、アジアにルーツを持つ方や、その方を訪ねていく需要が強いようだ」と語った。

 貨物需要についても、成田発とバンクーバー発ともに需要があり、初便も搭載しているという。

 成田発初便のバンクーバー行きZG22便(787-8、登録記号JA828J)は、幼児含め乗客267人を乗せて16番スポットから午後4時10分に出発し、A滑走路(RWY34L)から同28分に離陸した。西田社長によると、初便の予約は満席だったといい、5月中頃までの予約もほぼ満席だという。

 バンクーバー線の片道運賃は、フルフラットシートの「ZIP Full-Flat(ジップ・フルフラット)」は成田発が10万1325円から、現地発が1050カナダドル(約11万3000円)から。エコノミークラス「Standard」は成田発が2万8950円から、現地発が300カナダドルからで、6歳以下の「U6 Standard」は成田発が1万円、現地発が104カナダドルでそれぞれ定額。燃油サーチャージの設定はないが、空港の旅客施設使用料(PSFC)などが別途必要になる。

*写真は8枚(運航スケジュールは写真下に掲載)。

ZIPAIRのフルフラットシート「ZIP Full-Flat」=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ZIPAIRのエコノミークラス「ZIP Full-Flat」=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

運航スケジュール
3/13-30
ZG22 成田(16:00)バンクーバー(08:30)運航日:月水土
ZG21 バンクーバー(10:30)成田(翌日13:00)運航日:月水土

7/23増便後
ZG22 成田(15:40)バンクーバー(08:45)運航日:月火水金土
ZG21 バンクーバー(10:45)成田(翌日12:25)運航日:月火水金土
*10月1日から26日までバンクーバー着08:25、バンクーバー発10:25。

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機内の動画(YouTube Aviation Wireチャンネル
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