解説・コラム — 2023年12月31日 14:07 JST

スペースジェット開発中止スクープが年間1位 2023年の年間注目記事

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 2023年1年間によく読まれた記事をまとめました。一番読まれたものは、本紙スクープの三菱重工業(7011)の国産ジェット旅客機「三菱スペースジェット(旧MRJ)」開発中止決定の記事でした。

開発中止が決定した三菱スペースジェットの飛行試験3号機=19年6月18日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

第1位 【独自】スペースジェット、開発中止決定 次期戦闘機に知見生かす

 スペースジェットは2020年10月30日に開発が事実上凍結され、パリやファンボロー航空ショーを巡り飛行展示を披露した試験3号機(登録記号JA23MJ)も昨年2022年に解体済み。開発中止がいつ正式に発表になるかがこのところの焦点でした。Aviation Wireでは2月6日午後4時3分に掲載し、Yahoo!ニュースや日経テレコンなど契約先各社へ配信しました。

 当紙では11年前の2012年2月の創刊以来、幾度となく航空関連のスクープを放っておりますが、この記事はその影響が特に大きかったと感じています。翌日7日にスペースジェット開発中止の正式発表。当初は泉澤清次社長の出席は予定されていませんでしたが、早朝に三菱重工から社長出席の連絡が入りました。

 スペースジェットの開発中止はとても残念です。三菱重工の本プロジェクトに対する批判は本紙も含め出ていますが、記者会見の質疑応答で本件をスクープした本紙を一番最初に指名してくださった広報さんには深く感謝申し上げます。本紙もこれまで、スペースジェットには好意的なものも、批判的なものも、是是非非で書いてきました。本件もひっそり発表したかったのではと思いますが、そうした中でスクープした社をリスペクトする姿勢は、報道関係者だけでなく、他企業の広報担当者からも称賛する声がありました。

 広報と記者との関係についても、色々と考えるきっかけになったニュースでもありました。

 ちなみに元旦スクープとなった日本航空(JAL/JL、9201)のエアバスA350-1000就航は、第5位でした。

 スクープはその報道機関の存在価値や記者の実力が試されるものですが、「読まれる記事」は必ずしも同じではありません。アクセス数は重要な指標ではありますが、読まれる記事、読まれそうな記事だけを読者の皆様に提供するだけでは、報道機関とは言えません。ただの暇つぶしコンテンツの提供者に過ぎません。

 公共性や社会的意義のあるニュースは必ずしも読まれるとは限りませんが、影響力のある方に届いて徐々に物事が動くきっかけになるケースもあります。2024年も、Aviation Wireは多様な見方でニュースバリューを見定め、記事をお届けしていきます。

第2位 JAL、非航空系利用でも上位会員「JGC」入会 24年1月から新制度、FLY ONも継続

 第2位は、JALが11月14日に発表したマイルサービスの上位会員制度「JALグローバルクラブ(JGC)」の入会資格見直し。2024年1月からは、搭乗実績に加えて自社のクレジットカードなど非航空系サービスの利用でもたまる「Life Status(LS)ポイント」を基準にします。

 一方で、1年間の搭乗実績を示す「FLY ONポイント」は継続。優先搭乗やラウンジ利用などJAL便の利用時に受けられる特典の判定基準は、従来通りFLY ONポイントとなります。

第3位 ANA、非航空サービス利用でマイル上級会員 搭乗実績に上乗せ

 第3位は、全日本空輸(ANA/NH)のマイル制度「ANAマイレージクラブ(AMC)」の上級会員資格の取得条件見直し。2025年度のステータスは、クレジットカードや通販サイトなど非航空系の「ライフソリューションサービス」の利用が多い人が取得しやすいようにします。

 ANAもJALも、非航空系事業の利用が多い人に恩恵がある制度に見直す、という点が共通しています。

 年間ベスト10のほか、上期と下期の各ベスト3もまとめました。本年も航空経済紙「Aviation Wire」をご覧いただきありがとうございました。2024年も御愛読のほど、よろしくお願い申し上げます。

 よいお年をお迎えください。と言いつつ、記事は31日夜まで掲載することになると思いますので、お付き合いください。

2023年の注目記事
1. 【独自】スペースジェット、開発中止決定 次期戦闘機に知見生かす

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