企業, 空港 — 2024年1月15日 08:00 JST

日本空港無線サービスが導入 5G活用した次世代無線モトローラWAVE PTX[AD]

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 空港をはじめ、公共交通機関を支えるツールとして、日常業務で多用する無線システムは重要だ。従来からの音声通話によるやり取りに加え、動画や画像、文字情報を使い、現場で発生している状況を、より迅速かつ適切に共有するシステムが求められている。

モトローラ・ソリューションズの北畠氏(左)と日本空港無線サービスの山田氏

 特に台風や地震といった自然災害が発生した場合、携帯電話などが繋がりにくくなることも多く、空港会社やエアラインなどの地上係員は、社内の各部署との迅速な情報共有、旅客の避難誘導などを確実に行う必要がある。そして、自社だけでなく、警察や消防、警備会社、乗り入れる鉄道会社やバス会社など、さまざまな組織と情報共有できれば、より適切な判断を下せるケースが増えるだろう。

TETRAに加えて5G/4GLTE/Wi-Fi等複数のネットワークをつなぐWAVE PTX

 世界各国で使用されている業務用無線システムに目を向けると、「TETRA(TErrestrial TrunkedRAdio)」が主流だ。欧州統一規格の公共安全機関向けデジタル移動通信システムで、サミット会議やスポーツイベント、各国の軍や警察、消防、自治体と、さまざまな分野で導入が進んでいる。

モトローラ・ソリューションズのWAVE PTX

 TETRAは世界で80以上の空港で採用実績があり、日本では2016年以降、成田空港や羽田空港、関西空港、中部空港、那覇空港で通信基盤である空港MCA無線として稼働している。空港での業務用無線として専用の基地局を設置するTETRAは、地震・台風等の大きな災害の際、また携帯キャリアによる大規模通信障害等の際にも、空港運営業務の現場を支える無線通信サービスとして機能し続け、エアラインおよび空港運営会社等のお客様から多くの信頼を得てきた。日本空港無線サービス株式会社(NAR、千葉県成田市)では、今後このTETRAシステムのアップデートにより機能拡充と利便性向上を進める予定。

 一方、TETRAを手掛けるモトローラ・ソリューションズでは、TETRAを拡張する技術として、PTT(Push To Talk)をWAVEブロードバンドPTTに進化させ、音声、テキストに加えてデータ、ビデオ情報を瞬間かつ迅速に、そして必要な人々をつなげるための「WAVE PTX」(Push To “X“⁻あらゆる情報(x)をPTTのeXperienceで提供)を開発。さまざまな無線機、4G、5Gネットワークを活用でき、スマートフォンやタブレット、パソコンなど、あらゆるデバイス間で即時の双方向通信を実現し、TETRAの信頼性を維持しつつ、通信ネットワーク範囲と容量を拡大できるサービスだ。

 モトローラ・ソリューションズの北畠好章代表取締役と、成田空港などでTETRAを提供し続けてきた日本空港無線サービス(株)の山田健サービスセンタ次長に、WAVE PTXの優位性などを伺った。

通話ごとに暗号化

 「WAVE PTXは、動画や写真、チャット、および位置情報を携帯回線等のインターネットを使って送ることもあるため、通話ごとに暗号化されるので、実質盗聴はできません」と北畠氏はWAVE PTXの特徴を挙げた。空港で運用する場合、冗長性や信頼性だけでなく、通話の秘匿性といったセキュリティも不可欠な要素だ。

通話ごとに暗号化するWAVE PTX

 そして、さまざまな通信ネットワークに接続できる点もWAVE PTXの優位性であり、高速で大容量の5Gを使えば、従来よりもストレスなく動画のようなコンテンツを共有できる。

 モトローラ・ソリューションズが開発した技術「PTT over Cellular」を使ったサービスであるWAVE PTX。北畠氏は業界標準規格に準拠していることで、さまざまなサービスと接続できる点がポイントだという。

3GPP標準完全準拠

 「WAVE PTXは、4G、5Gモバイル技術の標準化団体である3PP(3rd Generation Partnership Project)が策定した標準に完全に準拠しています。他社が構築したシステムともマルチベンダー接続ができます。機能を拡張した際もバックワード・コンパチビリティ(後方互換性)を担保し、以前の機能が動くようにしています」(北畠氏)と、拡張性や互換性が高いサービスを提供できるという。

 「2018年くらいからPTTを手掛けており、最初は米軍に世界中のネットワークをつなぎ、セキュアな通信を提供するところから始まりました」(北畠氏)と、稼働実績があり、信頼性もあるサービスとなっている。

航空機周辺のエンジン近くでもクリアに聞き取れるノイズキャンセル機能

 日本空港無線サービス(株)ではTETRAシステムのアップデートとしてWAVE PTXの機能追加を図っていくとして、空港内での様々な業務領域で働くスタッフ間で利用する端末機種に関わらず、TETRAとWAVE PTX間でシームレスなグループ通話を実現し、災害や事故等の緊急時に、より効率的かつ円滑な業務継続を支援できるようになります」と、山田氏はTETRAとWAVE PTXを導入して統合利用することのメリットを挙げた。

日本空港無線サービスの山田氏。WAVE PTXは空港外との情報共有にも威力を発揮するという

 また、「TETRAは空港等の広い施設・敷地内を広範囲に高品質でカバーすることができる一方、ナローバンドの通信であるため通話とショートメッセージを中心としていましたが、WAVE PTXの統合活用により、災害時に『現場から動画を対策本部に送りたい』といった、TETRA単体では難しかった要望に応えられるようになりました。昨今の新しい働き方や休日・夜間にオフィスにいないスタッフを交えての場所を問わないグループ通信も可能となります」と、従来からあるTETRAに加えてWAVE PTXとの統合利用により通信範囲と容量の両面で拡張できる点を挙げた。

 山田氏は「TETRAは世界80以上の主要空港で実績があり、端末もノイズ対策がしっかりしていて、きれいに伝わります。空港ではエンジンの大きな音がしますが、ちゃんと聞こえます。耐久性もあり、ハードに使っていただいても高い信頼性があります」と、専用設計の端末も無線ネットワークを構築する上で重要な要素だという。

マイクもスピーカーも自前の専用端末

 WAVE PTXは一般のスマートフォンでも導入できるが、モトローラ・ソリューションズではノイズ対策や無線機のように使えるボタンを備えた専用端末も用意している。

専用端末の特徴を説明するモトローラ・ソリューションズの北畠氏

 北畠氏は専用端末のノイズ対策について「ノイズキャンセルは3つのマイクが付いていて、前面に1つ、背面に2つあります。前面から入る音は話者が伝えたい言葉、背面から来る音は雑音と判断し、さらにソフトウェアのアルゴリズムで精度の高い解析をして、ノイズをキャンセルしています」と仕組みを説明する。

 さらに無線機で長い歴史と経験を持つモトローラ・ソリューションズならではの特徴が、キーコンポーネントの内製化だ。

 「市販のスマートフォンと違い、マイクもスピーカーも自前で作っています。95年前から無線機を作っているノウハウがあるので、音質が違います。(米国防省が定める)MIL規格にも、ずっと前から準拠しているんです」(北畠氏)と、市販のスマートフォンと同じAndroid OSを採用しながらも、従来からある無線機と同様の設計思想で作られている。

 専用端末の場合、災害などで仮に携帯電話回線が使えなくなっても、バックアップ回線としてTETRAを利用することも可能だ。「TETRAと組み合わせてご利用いただいている場合、携帯網等が機能しない場合でもTETRAがライフラインとして機能し続けます。IP接続可能なネットワークとの接続インターフェースを用意しています」(北畠氏)と、標準規格に準拠しているゆえ、柔軟性のあるシステム構築が可能だ。

端末を選ばずアクセスできる柔軟性

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、業界を問わずテレワークが注目された。空港でWAVE PTXを導入した場合、例えば非番の管理職が自宅から通信ネットワークに入ることもできる。

日本空港無線サービスの山田氏(左)とモトローラ・ソリューションズの北畠氏

 山田氏は「WAVE PTXは非常に柔軟にできていて、IDとパスワードがあれば端末を選ばずにその場で使える柔軟性があります。TETRAのアップデートとしてWAVE PTXの機能を実装、最終試験中の段階にあり、休日・夜間の緊急対応はもとより、地震・大雪等の自然災害対応や事故発生時等の緊急対応の際にご活用いただけると思います」と話す。

 さまざまなネットワークや端末を柔軟に接続できるモトローラ・ソリューションズのWAVE PTX。今後はTETRA提供空港はもとより空港周辺の自治体にも、防災用途も含めて提案していきたいという。

モトローラ・ソリューションズの北畠氏(左)と日本空港無線サービスの山田氏

制作協力:モトローラ・ソリューションズ株式会社
撮影協力:成田国際空港株式会社

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