エアライン, 空港 — 2023年5月11日 14:00 JST

伊丹のANAフェスタ、全店舗5/31閉店 出張回復遅れ「安定的な収益見込めない」

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 全日本空輸(ANA/NH)を中核とするANAグループで空港売店や飲食店を展開するANA FESTA(ANAフェスタ)は、伊丹空港で運営する全店舗を5月31日で閉店する。空港を運営する関西エアポート(KAP)によると、店舗によっては運営がANAフェスタ社から他社に代わり営業を続けたり、跡地に新たな店舗が入ることから、利用者に大きな影響はない見込みだという。

5月31日で閉店する伊丹空港のANAフェスタ=20年8月5日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 今回閉店する物販店は、空港売店「ANA FESTA」の伊丹ゲートギフト店、伊丹ゲートコンビニ店の2店舗と、ANAフェスタ社が運営する「じゃらんマルシェ」「アンリ・シャルパンティエ -兵庫エディション-」「まねき」「浪芳庵」「豊岡鞄 伊丹空港ゲート店」の5店舗を合わせた全7店舗。店舗により運営を他社が引き継ぐ可能性もあるが、ANA FESTAは閉店する。

 ANAフェスタ社が運営する飲食店も、閉店や運営を他社に代えて継続することになり、ANAフェスタ社としては伊丹から物販・飲食ともに撤退する。また、新型コロナで需要が大きく落ち込んだ関西空港からも撤退済み。

 ANAフェスタ社の親会社である全日空商事によると、閉店理由は「安定的な収益が見込めないため」。伊丹で大きな割合を占める出張需要が、テレワークやオンライン会議の普及でコロナ前の水準に戻りきっていないことなどが影響しているという。

 ANAを傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)が4月27日に発表した今年度の国内線旅客の見通しは、コロナ前と比べて平均85%までの回復にとどまる。

 全日空商事とANAフェスタ社は、無人決済店舗「ANA FESTA GO」の1号店を2021年8月に羽田空港、2店舗目を2022年6月に中部空港にオープンしたほか、今年3月からはANA FESTA来店時にマイルが貯まる共同実証実験「顔認証スタンプラリー」を行うなど、従来型空港売店のビジネスモデルから変革を進めている。

 KAPによると、利用者側に大きな影響はなさそうだという。ANA FESTAの跡地には別の空港売店が入る見通しで、スターバックスコーヒーなど伊丹でANAフェスタ社が運営していた飲食店の一部は、運営元を代えて営業を続ける見込み。

 伊丹空港のターミナルは、約50年ぶりとなるリニューアルを終えて2020年8月5日にグランドオープン。保安検査場通過後に設けた商業エリアは、ウォークスルー型を国内線ターミナルでは日本で初めて導入した。

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