エアライン — 2022年10月6日 12:02 JST

ANA、冬の一時金支給へ 3年ぶり月例賃金2カ月分

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 ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下の全日本空輸(ANA/NH)は10月5日、今冬の一時金を月例賃金2カ月分とする提案を労働組合に示した。冬の一時金支給は3年前の2019年以来で、コロナ前の水準となる。旅客需要の回復に伴うもの。

冬の一時金支給を労組に提案したANA=22年8月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ANAは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による業績悪化に伴い、2020年度の一時金は夏が1カ月分、冬がゼロだった。2021年度は記録が残る1962(昭和37)年以降では初めて、年間を通して一時金をゼロとし、今年度は夏に1カ月分を支給した。

 ANAによると、同社の夏と冬の「一時金」は業績連動のものではなく、コロナ前は基準となる年収を月例賃金12カ月分、夏の一時金2カ月分、冬の一時金2カ月分の合計額とし、このほかに業績連動型の一時金を年度末に支給していた。今回の提案は生活給にあたる冬の一時金の支給を再開することで、社員の生活に対する不安を払拭する狙いがある。

 今回の提案では、業績連動の一時金については最大1.0カ月分とした。業績が想定を超えて好調だった場合も、月例賃金1カ月分という上限を設けることで、復配や今後のリスクに備えた財務体質の改善に充てる。

 一時金以外の人件費削減では、2020年度から管理職の手当などを削減し、2021年1月から今年3月までは一般職の月例賃金を一律5%減額していた。

 8月1日に発表した2022年4-6月期(23年3月期第1四半期)連結決算(日本基準)は、純損益が10億200万円の黒字(前年同期は511億5900万円の赤字)となり、2019年度の第3四半期以来10四半期ぶりに黒字転換した。本業のもうけを示す営業損益は13億円の赤字だったが、営業外損益で為替差益を計上したことなどが奏功した。通期では210億円の最終黒字を目指す。

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