エアライン — 2022年3月2日 18:35 JST

ANA平子社長「南回りが一番有力」モスクワ就航は需要注視

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 全日本空輸(ANA/NH)の平子裕志社長は3月2日、自社の国際線がロシア領空を迂回(うかい)して飛行する場合、南回りが有力になるとの見方を示した。2日時点で同社の欧州路線はロシア領空を飛行する通常運航を続けているが、今後の選択肢として言及した。

ANAの平子社長=22年3月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 かつて日本を発着する欧州路線は米アラスカ州アンカレッジ経由などで運航されていたが、1990年代前半のソ連(当時)崩壊後は空域開放が進み、現在はロシア領空を飛行するルートが一般的。平子社長は「アンカレッジは(エンジン1基が不作動時の)ETOPS(イートップス)で運航する場合、ダイバート先に(条件が)良い空港がロシア以外に取れない可能性があるので、南回りが一番有力だ」と述べた。

 ロシア領空を飛行できなくなると、欧州路線を運航時はロシア南側の中国やカザフスタンなどの領空へ迂回(うかい)する「南回り」の経路に変更するなど、影響が出る可能性がある。

 ANAが現在運航している欧州路線は、羽田-ロンドン、パリ、フランクフルト、成田-ブリュッセルの4路線。1週間当たり約40便運航している。

 ETOPSは、エンジンが1基停止しても一定時間飛行可能になる承認。緊急時に着陸できる空港が限定される洋上飛行などを念頭に置いたもので、当初はエンジンが2基の双発機のみを対象としていたが、2015年からは4発機でも取得している事例がある。ボーイング787型機などの双発機では、エンジン単発でも最大180分(3時間)飛行できる「ETOPS 180」などを取得している。太平洋上などでは、緊急時に空港が見つかったとしても小型機しか離着陸できないところも多いためだ。

 また、就航が延期となっている羽田-モスクワ線については「ロシアへの渡航需要がこれからどれだけ維持できるかが大事なポイントだ。需要がなくなってしまったり、他社も運航しているマーケットなので、採算が取れなくなると非常に厳しい選択を迫られる可能性はある。ただ、今の状況で判断できるものではないのは確かだ」と語った。

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