エアライン — 2022年2月15日 21:34 JST

手荷物の返却アナウンス、JALグループのトップは誰だ JGS、コンテストで技術競う

By
  • 共有する:
  • Print This Post

 「お預かりした手荷物を回転台にて返却します。非常に似た手荷物があるため、取り間違いのないようにご注意ください」──。国内線で預け入れた手荷物を、到着空港の手荷物受取所で返却を待つ間に、このようなアナウンスを耳にしたことのある人も多いだろう。基幹空港でのアナウンスは日本航空(JAL/JL、9201)の場合、グループ会社でグランドハンドリング(地上支援)業務を担うJALグランドサービス(JGS)が担当している。

羽田空港第1ターミナル南側到着口でアナウンスをデモ披露するJGSの伊藤さん=22年2月15日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 JGSは2月15日、到着時の手荷物受取所でのアナウンス技術を競うコンテストを初開催した。社員自らが考案した企画で、基幹空港で手荷物の取扱業務を担うJGSグループ各社から8人が参加し、スキルの向上とグループ各社の連携強化を狙う。

JGSの花田社長=22年2月15日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 JGSは受託手荷物の搭載や降機など、アナウンスのほか全般を担っている。同社の花田正樹社長は国内線手荷物の受託状況について「肌感覚だが」と前置きした上で、伊丹や福岡などのビジネス客が多い路線では1-2割程度で、8-9割程度が荷物を預けずに機内へ持ち込むという。一方で沖縄などの観光路線では逆転し、8-9割近くが手荷物を預けるようだ。

「拡販」アナウンスも披露

 参加したのは羽田と新千歳、伊丹、福岡の各空港の手荷物受取所でのアナウンス業務を担当するJGSグループ各社の8人。アナウンスは日本語と英語の2カ国語で、手荷物が出てくる回転台番号の案内など通常のものに加え、受取所内でのソーシャルディスタンスの確保や、次回利用時に上級クラス「ファーストクラス」や中間クラス「クラスJ」への搭乗を促す「拡販」など、出場者ごとに異なる内容のものでスキルを競った。

 会場は羽田空港内にあるJGSの事業所で、羽田所属のJGS社員は対面式でアナウンスを披露。そのほかの拠点にいるグループ社員は、ビデオ会議ツール「Zoom」を通じて出場した。

JGSが開催した手荷物の返却アナウンス技術コンテスト=22年2月15日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

花田社長「レベル高いアナウンス」

 最優秀賞を受賞したのは、羽田を担当するJGSの伊藤由希子さん。伊藤さんは受賞後のあいさつで「手荷物受取所でのアナウンスは、お客さまが最後に聞くアナウンス。『JALのアナウンスは安心だ』と聞いていただけるように、4支店合同で取り組んでいきたい」と話し、スキルのさらなる向上を目指すとした。

 また、アナウンスが最も優れていた「アナウンス部門」は、伊丹を担当するJALグランドサービス大阪(JGSO)の川原彩実さんが、最も印象に残った「印象部門」は、福岡を担当するJALグランドサービス九州(JGSQ)の小林暁さんが、それぞれ受賞した。

 8人の実技終了後、花田社長は自身の審査の最大点と最少点が2点差だったことを例に挙げ「レベルの高いアナウンスだった」と評価。今回のコンテストは「スキル向上を目指して、社員自らが考えた企画」と満足した様子で振り返ったものの、「もっとバージョンアップしてもらいたい」と、さらなる向上を求めた。

手荷物の返却アナウンス技術を披露するJGSの伊藤さん=22年2月15日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

Zoom越しに手荷物の返却アナウンス技術を披露するJGSOの川原さん=22年2月15日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

Zoom越しに手荷物の返却アナウンス技術を披露するJGSQの小林さん=22年2月15日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

手荷物の返却アナウンスコンテストでJGSの花田社長(左)から賞状と目録を受け取る最優秀賞を受賞した伊藤さん=22年2月15日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

手荷物の返却アナウンスコンテストで最優秀賞を受賞したJGSの伊藤さん=22年2月15日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

初開催となった手荷物返却アナウンスコンテストを企画したJGSのスタッフと最優秀賞の伊藤さん(後列右)。前列は出場者の堀出さん(左)と中嶋さん(右)=22年2月15日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

コンテスト参加者(出場順、敬称略)
JALグランドサービス札幌(JGSS)
 吉口 徹哉

JALグランドサービス(JGS)
 中嶋 亜理佐
 堀出 詩織
 伊藤 由希子

JALグランドサービス大阪(JGSO)
 中野 陸
 川原 彩実

JALグランドサービス九州(JGSQ)
 古賀 瀬寧
 小林 暁

関連リンク
JALグランドサービス
日本航空

JGS
成田の航空科学博物館、館内を抗菌コーティング JGSが受託(21年8月7日)
JAL、搭乗手続き非接触化の全国展開完了 抗ウイルスコーティングも(21年7月28日)
ZIPAIR、787の抗菌コーティング完了 ホノルル再開前にコロナ対策(21年6月2日)
JAL、機内に長時間持続の抗菌剤 1回で3年以上、グループ全機に(21年4月23日)
JAL、羽田の全ステップ車を抗ウイルスコーティング(21年3月9日)
JGS、グラハン国際基準「ISAGO」取得で安全・品質向上 コロナ後の新規受託目指す(21年1月25日)
JAL、成田空港近くでネギ収穫手伝い「低い姿勢が大変」(20年6月14日)
「ここは大丈夫かな?よりも安心を」JALの機内消毒、スタッフに聞く(20年6月4日)