エアライン — 2021年10月28日 19:30 JST

JAL、スカイミュージアム刷新 デジタル化で常に最新展示、懐かしのCMも

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 日本航空(JAL、9201)は10月28日、リニューアルした羽田空港にある見学施設「SKY MUSEUM(スカイミュージアム)」を報道関係者に公開した。2013年7月以来8年ぶりの刷新で、大型マルチディスプレイの導入やコンテンツのデジタル化などで展示内容の更新が可能になり、パイロットが実際に使用していたフライトシミュレーターを活用したコックピットや、実機から取り下ろしたビジネスクラスシートなども展示し、懐かしのテレビCMも視聴できる。

リニューアルしたJALのSKY MUSEUM=21年10月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
737のコックピット再現
歴代制服や模型、懐かしのCM
コロナで工事中断

737のコックピット再現

 ミュージアムに入ってすぐの「空のお仕事紹介」コーナーは、等身大モニターに映し出された現役社員が仕事内容を紹介。パイロットや客室乗務員、整備士、地上係員、グランドハンドリングの各職種で使う道具なども展示している。床はミュージアムが入る施設と並行しているA滑走路(RWY16R/34L)をイメージし、両端に滑走路の方位を示す「16R」と「34L」が記された。また、壁面にも大型モニターを設置し、ノートパソコンなどを接続して動画などを映し出すこともできる。

リニューアルしたJALのSKY MUSEUM=21年10月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 コックピットと客室モックアップも設置し、コックピットはグループの日本トランスオーシャン航空(JTA/NU)が使用していたボーイング737-400型機用のフルフライトシミュレーターを活用し、737のコックピットを再現。航空無線も社員がパイロットと管制官のやり取りを再現したものを用意し、実際のコックピットのような雰囲気を出した。

 客室モックアップは、ボーイング787-8型機(JA840J)の客室仕様を3クラス161席のE11仕様から現行の2クラス186席のE12仕様に改修した際、余剰となったビジネスクラスのフルフラットシート「JALスカイスイート」を活用。床には実機と同じシートを設置するレールを用意し、今後シートを変更できるようにした。また、プレミアムエコノミークラスのシートも2セット設置した。

JTAのパイロットが訓練に使用していた737-400のシミュレーターを活用したコックピット=21年10月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

787のビジネスクラスやプレミアムエコノミークラスのシートが設置された客室モックアップ=21年10月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

歴代制服や模型、懐かしのCM

 歴代制服の展示エリアも刷新し、JALとJASの歴代制服に加え、1990年代から2000年代にかけて展開したリゾート路線キャンペーン「リゾッチャ」の制服なども並べた。また、全面を透明なケースで囲うことで圧迫感をなくすとともに、各制服の後ろ姿も見られるようにした。

歴代制服の展示コーナー=21年10月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 創業時の1950年代から2010年代まで、各年代の出来事を従来のパネル中心の展示から、動画や写真による展示に刷新。機体や機内食、制服などの写真や懐かしのCMも流れ、年代ごとの貴重な品々も並んでいることから、ちょっとしたタイムスリップが味わえる。航空機の模型は同じ縮尺でそろえ、照明により翼の形の影ができたり、正面から見ると各機種ごとの翼の形状の違いも観察できる。

 70年間の歩みをサービス関連の歴史で振り返る一方で、1985年8月12日に起きた日本航空123便墜落事故や、2010年1月19日の経営破綻なども会社の出来事として取り上げた。

 JALの未来像を示すフィーチャーコーナーでは、テクノロジーや宇宙といった今後目指すものを体験できるようにした。

 比較的短期間で展示内容を更新していくエリアも設けた。現在は東京オリンピック・パラリンピックの聖火輸送に使われた聖火特別輸送機「TOKYO 2020号」(787-8、JA837J)の大型模型や、聖火を固定するクレードル(設置台)、ランタンなどを展示している。

70年間の貴重な品々が並ぶコーナー=21年10月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

歴代機材の模型が一直線に並ぶ。翼の形は影でできている=21年10月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

コロナで工事中断

 リニューアルを担当したJAL総務本部ESG推進部社会貢献グループの吉田俊也マネジャーによると、2018年から2019年にかけてコンセプトを考えていたという。しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、リニューアル工事が始まるタイミングで中断。新制服の着用が始まる2020年春の開館予定だったが延期となり、同年末から4カ月ほど工事し、今年3月に完成したものの、緊急事態宣言が続いていたことで公開を見合わせてきたという。

SKY MUSEUMのリニューアルを担当したJALの吉田俊也マネジャー=21年10月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 「コンテンツのデジタル化でいつも新鮮な内容にできるようにしました。仕事紹介は社員に自分の口で語ってもらっています。シートの展示は実機から降ろしたものはあまりないですね」と、内容を常に更新していけることや、本物であることにこだわったという。

 従来からあるスタンプラリーもデジタル化。吉田さんによると、リニューアルにより結果として非接触化が進んだという。

 JALは社会貢献活動(CSR)の一環として、機体整備工場(格納庫)の見学を1951年の会社設立間もないころから無償で実施。1994年からは統合前の旧日本エアシステム(JAS)も工場見学を開始し、2013年7月に見学施設をスカイミュージアムとしてリニューアルした。

 現在は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、工場見学を休止。代替として、オンライン会議システムを活用した「リモート工場見学」を提供しているが、見学再開も今後検討していくという。

*写真は18枚。

リニューアルしたJALのSKY MUSEUM=21年10月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

リニューアルしたJALのSKY MUSEUM=21年10月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

リニューアルしたJALのSKY MUSEUM=21年10月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

787のビジネスクラスのシートが設置された客室モックアップ=21年10月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

787のビジネスクラスのシートが設置された客室モックアップ=21年10月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

歴代制服の展示コーナー=21年10月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ライターやトランプなど70年間の貴重な品々が並ぶコーナー=21年10月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

リゾッチャのグッズなど70年間の貴重な品々が並ぶコーナー=21年10月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

歴代機材の模型が一直線に並ぶ=21年10月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

東京オリンピック・パラリンピックの聖火輸送にちなんだ展示=21年10月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

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