エアバス, エアライン, 機体, 解説・コラム — 2019年9月1日 09:30 JST

JAL A350唯一の弱点を探る 訓練飛行同乗で見えた良かった点・残念な点

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 日本航空(JAL/JL、9201)がきょう9月1日に就航させるエアバスの最新鋭機A350-900。静粛性や快適性が売りの機体で、航空会社がしのぎを削る羽田-福岡線が初便に選ばれた。

 就航に先立つ8月27日、JALはA350の訓練飛行を報道関係者に公開した。すでにパイロットたちが感じたボーイング機との違いや、最新鋭機ゆえの優位性などは28日掲載の記事「JAL、A350訓練飛行公開 9月に羽田-福岡就航、離着陸時も静かな機内」で取り上げた。

 しかし、乗客の立場からすると、快適に過ごせるのかや他社と比べた際の優位性が気になるところ。離陸時や着陸時の静粛性は上記記事などでも触れたとおりで、着陸時にエンジンのスラストリバーサー(逆推力装置)を使って減速する際も、聞き慣れた轟音とは無縁の静かさだった。A350唯一のエンジンであるロールス・ロイス製トレントXWBは燃費改善だけでなく、低騒音も優れている点だと感じた。

訓練飛行で成田を出発し新千歳へ向かうJALのA350-900初号機の機内。静かで快適な機内に弱点はあるのか=19年8月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 では、航空会社ごとの個性が出るシートはどうだろうか。機内でノートパソコンを使う頻度が高い記者(私)が一番気になるのは、テーブルや電源コンセントの使い勝手だ。今回は、JALのA350のシートで感じた良い点と残念な点を取り上げる。

—記事の概要—
映画の続きが見られる個人用モニター
どのクラスも快適な座り心地
普通席でPCを充電すると…

映画の続きが見られる個人用モニター

 JALのA350は、標準型のA350-900は国内線用ボーイング777-200型機の、長胴型のA350-1000は長距離国際線用777-300ERを置き換える。最初に導入するA350-900は、初号機から3号機までが特別塗装機で機体後部にA350のロゴを大きく描き、初号機は“挑戦”を示す「レッド」、8月31日に羽田に到着した2号機(JA02XJ)は“革新”の「シルバー」、現在飛行試験をトゥールーズで行っている3号機(JA03XJ)は“エコ”の「グリーン」を採用した。翼端には、いずれもJALのシンボルカラーである赤を配している。

映画などの続きが見られる8桁のレジュームコード(一部画像処理しています)=19年8月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 今回就航するA350-900の座席数は3クラス369席で、ファーストクラスが12席(2-2-2席配列)、クラスJが94席(2-4-2席)、普通席が263席(3-3-3席)。現行の777-200(3クラス375席:ファースト14席、クラスJ 82席、普通席279席)と比べると、ファーストは2席減、クラスJは12席増、普通席が16席減となり、全体では6席減る。

 全クラス全席に電源コンセントと充電用USB端子、個人用モニターを備え、機内インターネット接続「JAL Wi-Fiサービス」は従来と同じく無料提供。出発して地上走行を開始してから、着陸後に駐機場へ到着するまで利用できるようになった。映画などのビデオコンテンツは、途中で視聴を中断しても次回搭乗時に続きを楽しめる。

 私は機内では原稿を書いたり写真を編集して過ごすことが多く、映画などを見る機会はまずないが、周囲で話を聞くとスマートフォンを手にする人が増えた今も、機内で映画を見る人は思った以上にいる。A350の機内エンターテインメント(IFE)では、個人用モニターに表示される8桁の数字「レジュームコード」をメモし、次回搭乗時に「続きから再生」画面でこれを入力すると、続きが視聴できる仕組みになっていた。国内線のフライトは長くても2時間30分程度なので、こうした工夫は評価できる。

 また、機体カメラの映像も従来からある機体前方に加え、エアバス機で採用が多い垂直尾翼からの映像も見られるので、映画を見るほどの時間ではないが、暇を持て余した時や、真ん中席になった際などに楽しめるだろう。これらのモニター映像は、訓練飛行時に撮影した動画にも収めたので、こちらもご覧いただきたい。

どのクラスも快適な座り心地

 シートの座り心地も、個室感のあるファーストクラスはもちろんのこと、今回12席増えたクラスJや、もっともリーズナブルな普通席も座り心地がよかった。特に日本の航空機内装品メーカーのジャムコ(7408)と共同開発したファーストクラスはソファのようで、機内でくつろぎたい人は一度座ってみる価値はあるのではないか。

JAL A350ファーストクラスの個人用モニター=19年8月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 一方で、ファーストクラスほどの差額を払いたくない人にとって、クラスJは一考の価値があるだろう。位置や角度が調整可能な新機構のレッグレストを導入したり、折りたたみ式テーブルを出さなくてもドリンクを置けるよう、中央に境界線が引かれた大型カクテルトレイ、ひじ掛け下にもiPad miniを念頭に置いた収納スペースを設けるなど、快適性が追求されている。普通席よりゆとりのあるシートで過ごしたいが、機内食までは必要としない人にとって、クラスJはうってつけだ。

 普通席はクラスJと同じ独レカロ製。シートピッチは31インチ(約79センチ)で従来と同じだが、座面形状などの工夫で疲れにくいと感じた。私は今回の訓練飛行で、エンジンに近い普通席最前列を中心に過ごしたが、身長179センチ、ぽっこりお腹が気になる私でも、2列目以降のシートも含めて快適だった。ある条件を除けば……。

普通席でPCを充電すると…

 私は機内でほぼノートパソコンを使用しており、A350は普通席にも電源コンセントが付いたと知った時は朗報だと思った。また、前席の上側という位置も、実際に使うまでは使いやすそうだと感じていた。

電源コンセントを使い13インチのMacBook Proを置いたJAL A350普通席のテーブル=19年8月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 普通席で唯一不満に感じたのは、この電源コンセントで充電しながらノートパソコンを使う時だった。私は13インチのMacBook Proを使っており、電源アダプターには電源ケーブルをつなげているが、コンセントがちょうどノートパソコンのモニターとぶつかる位置にあり、ノートパソコンをかなりテーブル前側に置くか、コンセントを使わないようにしないと、仕事をするのは厳しい状態だった。先端が折れ曲がる電源ケーブルを使うと、少しは改善できる可能性がある。機内で仕事をするならクラスJ以上に乗ってね、ということなのかもしれない。

 では、クラスJはどうかというと、従来のシートと同じく折りたたみ式の片持ちテーブルなので、ノートパソコンで長時間作業するのは安定性の面でやや厳しい。というのも、ファーストクラスのテーブルが同じ折りたたみ式ながら非常に安定しているからだ。先にこのテーブルを使ったこともあり、クラスJのテーブルは正直物足りなく感じてしまった。しかし、テーブルを安定して使用するコツをつかめば、クラスJはコストパフォーマンスがいいシートだろう。

 ちなみにファーストクラスには電動マッサージ機能が付いているが、ほかのシートに付いているものと同様、震えてますね、という感じのものだった。

 最近はノートパソコンのバッテリー駆動時間も延び、街中に電源コンセントを備えるカフェなどが増えたが、地方都市では充電したいタイミングでこうした場所が使えないことが多々ある。空港のラウンジが「ここにいけば必ずコーヒーを一杯飲みながら充電できる」というポジションなのに対し、大手航空会社の普通席は、最近までそうした立ち位置ではなかった。

 A350の客室内は高度6000フィート(1829メートル)以下の状態を一定に保てるほか、客室のゾーンごとに空調をきめ細かく管理でき、機内の空気も2-3分ごとに入れ換えて快適性を向上させている。静かで快適なA350で、唯一の弱点と言えるのが、充電をしながらのノートパソコン使用だった。

*写真は13枚。



JAL A350ファーストクラスのテーブルに置いた13インチのMacBook Pro=19年8月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JAL A350クラスJのテーブルに置いた13インチのMacBook Pro=19年8月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JAL A350普通席のテーブルに置いた13インチのMacBook Pro=19年8月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

13インチのMacBook Proを置いたJAL A350普通席のテーブル=19年8月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

電源コンセントを使い13インチのMacBook Proを置いたJAL A350普通席のテーブル=19年8月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

電源コンセントを使い13インチのMacBook Proを置いたJAL A350普通席のテーブル=19年8月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

電源コンセントを使い13インチのMacBook Proを置いたJAL A350普通席のテーブル=19年8月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

電源コンセントを使い13インチのMacBook Proを置いたJAL A350普通席のテーブル=19年8月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

電源コンセントを使い13インチのMacBook Proを置いたJAL A350普通席のテーブル=19年8月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関連リンク
A350就航記念特別サイト(JAL)

機内から撮影した離着陸や機内(YouTube Aviation Wireチャンネル
JAL A350 訓練飛行中の機内(新千歳→中部)
JAL A350 訓練飛行中の機内(ファーストクラス、成田→新千歳)
JAL A350 成田離陸(機内から見たJA01XJ 訓練飛行)
JAL A350の機内(ファーストクラス→クラスJ→普通席)

訓練飛行公開
JAL、A350訓練飛行公開 9月に羽田-福岡就航、離着陸時も静かな機内(19年8月28日)

写真特集・JAL A350-900福岡公開
(1)ファーストクラスはゆとりある個室風(19年8月18日)
(2)クラスJは新レッグレストで座り心地向上(19年8月19日)
(3)普通席も全席モニター完備(19年8月24日)
(4)大型モニター並ぶコックピットや落ち着いたラバトリー(19年8月25日)

福岡出身のA350運航乗員部長に聞く
「パイロットはおもてなしの舞台装置をコントロールする側」 JAL A350運航乗員部長・立花機長に聞く(19年8月26日)

2号機が羽田到着
JALのA350、シルバーロゴ2号機が羽田到着 レッドの初号機と並ぶ(19年8月31日)

3号機も初飛行
JALのA350、3号機が初飛行 グリーンロゴ後部に描く(19年8月30日)

特集・JAL A350初号機受領
離陸編 翼を振りトゥールーズをフライパス(19年6月15日)
デリバリー編 鶴イメージしたバレエでお披露目(19年6月15日)