JALのA350-1000検討報道、パリ航空ショー注目 初のRRエンジン搭載エアバス機となるか

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 日本経済新聞は3月24日、日本航空(JAL、9201)がエアバスA350 XWB型機の導入検討を開始したと報じた。JALのA350導入検討はボーイング787型機の納入遅延が決まった5年前の2008年2月にロイター通信が報じており2度目。

A350 XWBのイメージイラスト(エアバス提供)

 前回は787を当時55機導入する計画のうち20機程度をA350へ変更する可能性があると伝えられたが、今回は2017年以降に20機程度導入して欧米路線のボーイング777型機を置き換える計画としている。

 A350の特徴や現在JALが保有する777の状況などをまとめた。

初のRRエンジン

 JALが導入を検討するとされるのは、A350ファミリーでもっとも大きいA350-1000。客室幅は5.61メートルで、メーカー標準座席数は3クラスで350席(ファースト24席、ビジネス62席、エコノミー264席)、最大座席数は495席。航続距離は1万4800キロメートルで、2015年から引き渡しが予定されている。

 一方、JALが欧米路線など長距離路線で使用している777-300ERは、客室幅が5.86メートル、メーカー標準座席数は365席(ファースト22席、ビジネス70席、エコノミー273席)、航続距離は1万4490キロメートル。A350-1000は現在不在の777-300ERのライバルとなる。後継機の777Xは2019年ごろの就航で、機体サイズは現行の777に比べると若干大きくなると見込まれる。

 導入が実現すると、A350-1000は旧日本エアシステム(JAS)が合併前に導入し退役済みのA300を除くと、JALとして導入する初のエアバス機となる。また、従来JAL機のエンジンはGEやプラット・アンド・ホイットニーと米国製が採用されてきたが、A350のエンジンは英ロールス・ロイス社製トレントXWBが独占供給されるため、JAL初のロールス・ロイス製エンジンを搭載する機体が誕生する可能性が出てきた。

国際線の輸送力増強

 現在JALが保有する777は46機。内訳は国内線用が22機で15機の777-200と7機の777-300、国際線用が24機で11機の777-200ER、13機の777-300ERとなっている。

 国内線用777の座席数は、777-200が3クラス375席でファースト14席、クラスJ82席、普通席279席。777-300が2クラス500席でクラスJ78席、普通席422席となっており、777-200のうち7機は旧日本エアシステム(JAS)が発注した機体だ。

 国際線用は777-200ERが3クラス245席でビジネス56席、プレミアムエコノミー40席、エコノミー149席、または2クラス312席でビジネス28席、エコノミー284席。777-300ERは新仕様機スカイスイートが4クラス232席でファースト8席、ビジネス49席、プレミアムエコノミー40席、エコノミー135席となっている。

 仮にA350-1000を20機発注することが確定し、すべて国際線用機材だとすると、現在777-300ERを13機で運航している長距離国際線の拡大や、11機の777-200ERで運航している路線の機材大型化が考えられる。

納入遅延リスク

 世界の航空会社を見渡してみても、価格交渉や納入遅延リスクを考えてボーイングとエアバスの2社に分散発注するのが主流で、JALのようにボーイング1社へ依存する例は珍しくなった。

 この流れはフルサービス航空会社(FSC)のみならず、18日に発表されたインドネシアのライオン・エア(LNI)によるA320neoなど234機の大量発注のように、機材統一をコスト削減策のひとつとしてきた低コスト航空会社(LCC)でもみられる世界的な流れだ。

 JALは787を45機発注しており、内訳は787-8が25機、長胴型の787-9が20機。受領した機体は787-8が7機のみで、国際線に787を投入するJALとしては、今後トラブルが万一発生しても、稼ぎ頭である国際線の機材計画を柔軟に調整できる体制を整えたい思惑もあるとみられる。

パリ航空ショーに注目

 機体メーカーの大型案件は航空ショーで発表されることが多い。今年は6月17日から23日までパリ航空ショーが行われるので、発注が決まればここで発表される可能性が高い。

 海外の航空会社と戦う以上、機材計画でも同様のリスク分散体制が構築されれば、より堅実な経営となるだろう。

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