エアバス, エアライン, 機体, 解説・コラム — 2018年1月16日 16:53 JST

エアバス、A380生産中止を示唆 明暗握るエミレーツ

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 エアバスのジョン・リーヒー民間航空機部門顧客担当COO(最高執行責任者)は現地時間1月15日、総2階建てのエアバスA380型機の生産について、今後大口顧客であるエミレーツ航空(UAE/EK)から受注できない場合、生産中止を検討せざるを得ないと語った。

*エミレーツがA380を追加発注。記事はこちら

生産中止がささやかれるA380=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 A380は、2005年4月27日に初飛行。2017年12月末時点でエミレーツなど18社から317機受注し、222機が引き渡し済み。受注残は95機となっている。受注のうち、エミレーツが142機と半数近くを占め、2017年はエールフランス航空(AFR/AF)が2機をキャンセルしている。

 日本の航空会社では、全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(9202)が3機発注。2019年春から、成田-ホノルル線に投入する。

 A380の2017年の引き渡しは15機で、今年からは従来の月産3機を同1機に減産。2019年までは、年12機ずつ生産していく計画だ。今年のカタログ価格は4億4560万ドル(約494億円)で、前年比1.99%値上げされた。

エミレーツ航空A380のファーストクラス=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 エアバスが15日にオンラインで開いた会見で、リーヒー氏はA380について、「エミレーツと取引できない場合、プログラムを中止する以外に選択肢がないと思う」と述べた上で、現在進めているエミレーツとの契約締結を目指すと語った。

 2017年6月に開かれたパリ航空ショーで、エアバスはA380の改良版「A380plus」の開発調査を発表。現行機と比較し、1席あたりの運航コストを13%削減できるようになる。

 競合のボーイングも、A380と同じくエンジンが4基ある「4発機」は苦戦している。2016年7月には、「ジャンボ」の愛称で親しまれている747の最新型747-8について、需要が見込めない場合は生産中止を検討すると表明している。

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