エアライン, 企業, 官公庁 — 2017年3月23日 20:33 JST

JALとANA、3度目のなでしこ銘柄 経産省と東証、47社選出

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 経済産業省と東京証券取引所は3月23日、女性の活躍推進に優れた企業を選定する2016年度の「なでしこ銘柄」47社を発表した。海運業・空運業部門では日本航空(JAL/JL、9201)とANAホールディングス(9202)を選出した。経産省と東証は中長期の企業価値向上を重視する投資家に、魅力ある銘柄として紹介する。JALは2014年度から3年連続、ANAHDは2年連続3度目の選出となる。

なでしこ銘柄に選出された47社の代表者=17年3月23日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

3505社対象に調査

従業員数など両社の女性比率(経産省の資料からAviation Wire作成)

 女性活躍推進に優れた上場企業を、なでしこ銘柄として投資家に紹介することで、表彰各社の女性活躍への取り組みを加速させることを狙う。2012年度に開始し、当初は東証一部の上場企業を対象としていたが、2015年度から東証二部、マザーズ、JASDAQを含む全上場企業に拡大。3505社を対象に調査し、489社から回答を得た。

 JALとANAHD以外の選定企業では、野村総合研究所(4307)やセブン&アイ・ホールディングス(3382)など15社が初選出。日産自動車(7201)と東京急行電鉄(東急、9005)、KDDI(9433)の3社は、2012年度から5年連続で選出された。

 政府は女性活躍推進法の成立に伴い、従業員が301人以上の企業や団体に対し、女性管理職の割合を2020年までに30%以上に引き上げる目標を掲げている。301人以上の企業・団体は女性の活躍推進に向け、行動計画の策定などが新たに義務づけられている。

JAL:男性に女性サポートの意識醸成

 JALは2015年11月、女性活躍支援の研究組織「JALなでしこラボ」を設立。子育てと仕事の両立など、JALグループ全体で男女を問わず組織横断的に課題の共有や人材活用の可能性を探り、研究成果をグループで共有している。担当役員にはJAL初となる女性の常勤取締役で、客室乗務員出身の大川順子専務を据えている。

 2016年10月からは2期目に入り、「BIAS(バイアス)とVISION(ビジョン)」をテーマに掲げている。BIASは「考え方の偏り、先入観」などのような意味で、「自由な発想」の対極と位置づけた。また、どのようなビジョンでダイバーシティ(多様性)を進めるかをテーマに研究し、1期目を深掘りして展開している。

 大川専務は昨年のなでしこ銘柄選出時、女性の活躍は男性の力やサポートがないと成功しないとしていた。現在は「(男性に)サポートすることが大切だ、という意識が醸成された」とし、「『女性のことだから男性には関係ない』ではなく、全社の話題として捉えることができている」と述べた。

 社内では性別や障がいの有無、「LGBT」などいわゆる性的少数者、国籍を問わない多様性(ダイバーシティ)のある考え方が浸透しているようだ。

なでしこ銘柄に選ばれたJALの大川専務(中央)=17年3月23日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

ANA:女性管理職26人増

 ANAHDは2014年2月、「ポジティブアクション宣言」で女性活躍推進を経営戦略と位置づけた。女性社員のキャリア開発や意識改革、働き方改革に重点を置いている。2773人の管理職(前年度比82人減)のうち女性は338人(26人増)で、女性比率は12.2%。前年度と比較し、1.3ポイント上昇した。

 また、ANAグループ各社に女性活躍推進担当者を設置し、グループ全体でD&I(ダイバーシティ&インクルージョン、多様性と受容)の取り組みを強化している。

 ANAは多様な人材を活用するため、人材育成の組織「ANA人財大学」を2007年に設置している。

なでしこ銘柄の認定証を持つANAの河本宏子専務=17年3月23日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

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経済産業省
日本取引所グループ
日本航空
ANAホールディングス
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