空港 — 2012年10月24日 21:45 JST

新関空会社、15年度中にLCCターミナル増設へ 中期計画発表

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 新関西国際空港会社は10月24日、2012年度から14年度までの3カ年の中期経営計画を発表した。関西空港は国際線着陸料の引き下げなどで、14年度には低コスト航空会社(LCC)が国際線に占める割合を25%まで引き上げる。15年度中のオープンを目指すLCC用第3ターミナルの整備や、フルサービス航空会社(FSC)向けにエアバスA380型機用ボーディングブリッジの整備も着手する。

中期経営計画の位置づけ(新関空会社の資料から)

関空は15年度中にLCC用第3ターミナル、中期計画中にA380対応

 関空では国際線着陸料を28日開始の冬スケジュールから5%引き下げ、航空機の重量1トンあたり2090円を1990円にする。13年3月末の夏スケジュールからは、国際線や国内線を増便または機材を大型化した場合、着陸料を初年度80%、2年目50%、3年目30%を割り引く。また、深夜早朝(午前1時から午前5時59分まで)は着陸料を50%引きにする。

国際線のLCC就航割合(新関空会社の資料から)

 着陸料の割引などにより、週間便数の拡大を図る。中国路線は週158便(11年時点)から週220便(14年度中)、韓国路線は週143便(同)を週200便(同)、香港・台湾路線は週86便(同)を週120便(同)、東南アジア路線は週85便(同)を週120便(同)へ拡大する。

 国際線に占めるLCCの割合は、12年夏期の14.4%から14年夏期には25%へ引き上げる。一方、FSC向けでは14年度までにエアバスA380型機が就航できるよう、ボーディングブリッジの整備を需要動向を見極めながら進める。

 LCC専用ターミナルは28日に第2ターミナルとして開業するが、15年度中には第3ターミナルのオープンをめざす。2つのLCC専用ターミナルで拠点化を進める。

 国際線の主な新規就航地は、長距離路線ではロンドンやロサンゼルス、中国では天津や重慶、アジアではジャカルタやインド、ミャンマーなどで、ロシアや東欧へも就航する。

 航空貨物については、14年春にフェデラル エクスプレス(フェデックス)が北太平洋地区ハブを開設するが、これに続く航空貨物会社の拠点誘致を推進。医薬品や食料品の輸出入ビジネスモデルの構築も目指す。

 空港へのアクセス改善や商業エリアの収益強化も行う。鉄道会社と協力し、施設使用料の引き下げに合わせて鉄道料金の値下げを実施。商業施設では、空港の観光スポット化による搭乗客以外の利用増加をねらう。関空の商業施設収入は14年度に11年度比25%増の331億円を計画し、伊丹空港のターミナルビルはリニューアルを行う。

伊丹はプロペラ機枠を737やA320に

 伊丹空港は、プロペラ機枠70便140発着分を13年3月末からボーイング737型機やエアバスA320型機などの低騒音機枠へ切り替えを段階的に実施。14年度中に全枠を低騒音機枠化する。

 新関空会社によると、737やA320はボンバルディアDHC-8型機の騒音値と同程度以下になるという。同時に、13年3月末から新千歳や那覇など長距離便の運用制限を見直す。

売上1505億円、営業利益353億円

 これらの施策により、14年度には発着回数を11年度の23.1万回(関空10.8+伊丹12.3万回)から30%増の30.5万回、旅客数を2677万人(関空1386+伊丹1291万人)から23%増の3300万人、貨物量を82.5万トン(関空71.2+伊丹11.3万トン)から21%増の101万トンへ輸送量増加を目指す。発着回数30.5万回の内訳は、関空の国際線が10.5万回、国内線が6.5万回、伊丹が13.5万回となっている。

 14年度の売上は11年度比26%増の1505億円、営業利益は353億円を計画する。営業費用は外注費の見直しや調達方法の改善などにより、11年度比で年間16億円を削減。着陸料割引などの原資に充てる。

14年度目標の輸送量(新関空会社の資料から)

関空の国際線と国内線、伊丹の発着回数(新関空会社の資料から)

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