ICAO(国際民間航空機関)の大沼俊之理事会議長とフアン・カルロス・サラサール事務局長は現地時間9月11日、2001年に起きた米同時多発テロから11日で25年を迎えたことから共同声明を発表し、犠牲者2977人を追悼するとともに、同様の事態を二度と起こさないため航空保安への取り組みを続ける姿勢を示した。声明では、9.11後に整備された国際的な法制度や監査体制を振り返り、サイバーセキュリティや無人航空機システム(UAS)の悪用など、新たな脅威への対応が必要だとしている。

9.11テロが起きたニューヨークのWTC(世界貿易センター)=24年1月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ICAO(同機関のサイトから)
ICAOによると、9.11以前には東京条約やハーグ条約、モントリオール条約などが、ハイジャックや破壊行為といった航空保安上の脅威への対応を念頭に整備されていた。9.11では航空機そのものが武器として使われ、事件から2週間以内に169カ国がモントリオールのICAO本部に集まり、航空機を武器として使用することを非難し、民間航空を標的とする将来のテロを防ぐため国際協力を進める決議を全会一致で採択した。
その後、2010年には北京条約と北京議定書が採択された。新たな攻撃手段を犯罪化し、生物・化学的脅威やテロの組織者、資金提供者を対象にするとともに、国境を越えた協力や捜査、犯罪人引き渡しの仕組みを強化し、サイバー脆弱性の初期的な兆候にも対応した。
ICAOと加盟国は、1944年のシカゴ条約と附属書に基づく技術・規制面の枠組みも見直し、世界的な航空保安計画を整備したほか、各国の実施状況を監視するICAOの「Universal Security Audit Programme」を導入した。
一方、1970年代に策定された航空保安関連の条約がほぼ世界的に批准されているのに対し、北京条約と北京議定書を批准したICAO加盟国は3分の1未満にとどまる。ICAOは、変化する脅威に法的枠組みを追随させるため、両条約への幅広い参加が重要だとしている。

9.11テロが起きたニューヨークのWTC(世界貿易センター)=24年1月25日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

9.11テロが起きたニューヨークのWTC(世界貿易センター)=24年1月25日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
現在の脅威としては、サイバーセキュリティや内部関係者による脅威、UASの悪用などを挙げた。国連とのテロ対策協力もUASのテロ利用への対応に向けられているほか、航法への妨害やサプライチェーンへの侵害、紛争地域から民間航空へ及ぶリスクにも柔軟な対応が必要だとした。
また、すべての国が国際基準を満たせているわけではなく、一つの国・地域の不備が航空システム全体へ波及する可能性があると指摘。訓練や専門知識、技術、独立した監督への継続的な投資が必要としており、ICAOは加盟国への義務的な監査を実施するとともに、能力構築を支援している。
ICAOは、航空便数や旅客数が増える中でも航空保安は世界的に改善しているとの認識を示した。その上で、民間航空に対する不法妨害行為による死者をなくすには、各国政府や航空業界、国連機関、国際機関による継続的で強固な協力が必要とし、その実現が9.11をはじめとする民間航空への攻撃の犠牲者に対する最大の追悼になるとした。
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