豪州運輸安全局(ATSB)は、スカイマーク(SKY/BC、9204)のパイロット訓練生ら2人が死亡した小型機墜落事故の予備報告書を現地時間6月23日に公表した。事故機の前脚(ノーズギア)アクチュエーターのロッド端部が破断し、予備調査で進行性の疲労亀裂の兆候が確認された。

破断したアクチュエーターロッド端部(ATSBの予備報告書から)
事故は4月29日午後2時9分ごろ、南オーストラリア州アデレードのパラフィールド空港で発生。フライト・トレーニング・アデレードが運航するダイヤモンドDA42型機(登録記号VH-YQP)が離陸直後に格納庫へ衝突し、訓練生と教官が訓練飛行中に亡くなった。格納庫内にいた9人も病院へ搬送された。スカイマークは5月8日、搭乗していたのが同社の訓練生だったと発表している。
事故機は滑走路03L(RWY03L)を離陸後、主脚を格納したものの、前脚は下りたままだった。機体は滑走路方位から左へ逸れ、教官が「エンジン故障」と無線連絡した後、最高高度161フィート(約49メートル)から急降下し、左主翼が格納庫に衝突した。
残骸調査では、破断した前脚アクチュエーターが脚柱から外れていた。ATSBは、主脚が格納された一方で前脚が下りたままだった状況について、ロッド端部が事故前に破断していた場合と整合するとした。外れたアクチュエーターが機首輪の操向装置や方向舵の操縦系統に干渉した可能性について、詳しい調査を続けている。ATSBは、事故経過を説明するほかの可能性も検討している。
一方、ATSBは部品の破断や操縦系統への干渉が墜落原因だったとは認定していない。教官が通報したエンジン故障についても、左エンジンが実際に故障したのか、訓練で出力を絞った模擬故障だったのかを含めて調査を続ける。
ATSBは予備報告書と同時に、DA42の運航者向けに安全注意情報を公表した。メーカーが発行したMSB(強制サービスブリテン)や、EASA(欧州航空安全庁)のAD(耐空性改善命令)を確認し、破断した前脚アクチュエーターが脚格納時に方向舵の操縦系統へ干渉する可能性に注意するよう促した。
事故機は3月13日に、方向舵操縦系統や前脚アクチュエーター取付レバーを対象とする関連文書に基づく非破壊検査を受け、異常は確認されなかった。ATSBは回収した前脚部品や左右のエンジン、整備記録などを詳しく調べ、2026年第4四半期に最終報告書を公表する見通し。

飛行経路の概要(白線が飛行経路、ATSBの予備報告書から)

同型機の前脚部品(ATSBの予備報告書から)

事故機の全景(ATSBの予備報告書から)
関連リンク
ATSB
・スカイマーク訓練生、豪州で死亡 小型機墜落事故(26年5月8日 )
