エアライン, 企業 — 2026年4月27日 13:22 JST

JAL、羽田空港で人型ロボット実証実験 国内初グラハン省力化目指す

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 日本航空(JAL/JL、9201)グループでグランドハンドリング(地上支援)を担うJALグランドサービス(JGS)とGMO AI&ロボティクス商事(GMO AIR)は4月27日、羽田空港でヒューマノイドロボット(人型ロボット)活用の実証実験を5月から始めると発表した。空港でのヒューマノイドロボット活用に向けた実証実験としては国内初だといい、2029年以降の実用化を目指す。

羽田空港のJAL格納庫で貨物コンテナを押すヒューマノイドロボット=26年4月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
28年度実用化視野
中国製に懸念も「まずやってみる」

28年度実用化視野

 対象はグランドハンドリング業務全般で、手荷物や貨物の搭降載、機内清掃などが検討領域。手始めに、貨物コンテナをドーリー(台車)から飛行機の床下貨物室へ積み込むGSE(特殊車両)「ハイリフトローダー」へ移す作業や、ドーリー上でコンテナの向きを変える作業などを検証する。取り組み期間は5月から2028年までを予定し、ロボットの活用で省人化や効率化、作業負荷軽減を目指す。

羽田空港でグラハン業務の実証実験に使うヒューマノイドロボット(右)を紹介するJGSの鈴木美輝社長(中央左)とGMO AIの内田朋宏社長(同右)ら=26年4月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 今回の検証では、最初に各業務をロボットに教え、その後一連の動作として作業できるように開発を進める。JGSで本件を担当する吉岡智也氏によると、ドーリーのストッパーを解除して貨物コンテナを回転させたり、ドーリーからハイリフトローダーへコンテナを押して動かす作業といった、動作ごとに開発して、2027年下期ごろから各動作をつなげ、実際の作業の流れを実現させるという。

 航空業界では、インバウンドの増加などによる需要拡大が続く一方、生産年齢人口の減少に伴い、グランドハンドリング領域の将来的な人材不足が深刻化している。航空機の誘導や手荷物・貨物の搭降載は安全確保のため高度なスキルが求められ、身体的な負荷も大きいことから、JGSとGMO AIRは省人化と負荷軽減につながるロボット活用の可能性を検証する。


グラハン業務でのヒューマノイドロボットの活用を説明するJGSの吉岡智也氏=26年4月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

グラハン業務でのヒューマノイドロボットの活用を説明するJGSの吉岡智也氏=26年4月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 空港のグランドハンドリング業務は、航空機周辺の限られたスペースで多様なGSEを扱うなど、人の手作業を前提とした環境で行われている。このため、固定式の自動化設備や単一機能のロボットでは、既存インフラや複雑な作業動線への柔軟な対応が難しいという。両社は、人間と同等の可動域と適応力を持つヒューマノイドロボットに着目した。

 人型ロボットであれば、現行の空港施設や機材構造を大幅に改修せず導入でき、1台で複数の業務が可能。将来的には手荷物の積み込みから機内清掃、GSEの操作まで幅広い業務への活用を見込む。最先端のAI技術と人型ならではの柔軟性を組み合わせ、持続可能なオペレーション体制の構築につなげる。

 JGSの鈴木美輝社長は「実情に合わせて、2028年度末には一部の作業領域で業務を置き換えることが目標」と述べ、人がやらなくてもよい作業をロボットに置き換えることを想定している。

中国製に懸念も「まずやってみる」

 検証するヒューマノイドロボットは、子供サイズのUnitree G1(130cm、35kg、連続2時間稼働、間接数29カ所)と、大人サイズのUBTECH Walker E(172cm、73kg、連続3時間稼働、間接数41カ所)の2機種で、いずれも中国製。実用化後、中国政府の意向や指示に開発元が従わざるを得なくなるなど、安全保障上の問題に対する懸念がある。

羽田空港のJAL格納庫で貨物コンテナを押すヒューマノイドロボット=26年4月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 当紙の指摘に対し、GMO AIの内田朋宏社長は「(中国製が)安全保障上あまりよくないのは指摘通りだが、市場でちゃんと動くヒューマノイドが限られている」と説明。「なによりもやることが大事なので、まず中国のものでやってみるが、どこかで国産や海外製で安全性やセキュリティ-面をしっかり検証したものに切り替えるのは必要だと思う」と語った。

羽田空港でグラハン業務の実証実験に使うヒューマノイドロボット=26年4月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 実証実験は段階的に進める。初期段階では空港現場の業務を可視化・分析し、ヒューマノイドロボットが安全に作業できる領域を特定。その後、実際の空港環境を想定した動作検証を重ね、人の作業を補完する形での運用を探る。

 今回はGMO AIからロボットを“派遣”する形で検証を進め、新型ロボットが登場した際には、交代も検討しているという。

関連リンク
日本航空
JALグランドサービス
GMO AIR

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