関西・伊丹・神戸の関西3空港を運営する関西エアポート(KAP)が12月1日に発表した2025年4-9月期連結決算は、純利益が前年同期比34%増の226億円で、中間期としては3期連続で最終黒字となった。インバウンドを中心とした国際線旅客の増加や万博関連需要が寄与し、航空・非航空の両分野で収益を伸ばした。
—記事の概要—
・25年4-9月期
・26年3月期見通し
25年4-9月期
売上高に当たる営業収益は18%増の1397億円、EBITDA(利払前税引前償却前営業利益)が18%増の626億円、営業利益が29%増の394億円、経常利益が36%増の340億円と、増収増益だった。

インバウンドをメインターゲットにした関空の国際線新ラウンジ「KIX Lounge Kansai」=25年3月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
営業収益の内訳は、着陸料など航空系が18%増の560億円、免税店など非航空系は19%増の837億円で、航空系を277億円上回った。
旅客実績は、関空は国際線旅客便の発着回数が前年同期比21%増の7万6070回と、中間期としては開港以来最多を記録。国際線旅客数は16%増の1386万人で、外国人旅客は16%増の1101万人、日本人旅客も16%増の280万人となった。国内線は1%減の335万人だった。
伊丹空港は9%増の821万人。4月から国際チャーター便の乗り入れが始まった神戸空港は16%増の212万人で、国内線が2%増の186万人、国際チャーターは26万人(うち外国人が22万人)となった。
3空港合計の旅客数は11%増の2753万人で、発着回数も8%増の19.7万回となり、いずれも中間期としては過去最多を記録した。
関空の国際貨物は、リチウムイオン電池などのスポット需要やEコマース輸送の堅調な推移により、取扱量は4%増の38万6000トン。発着回数は前年同期と同水準の8956回で推移した。
非航空系収入は、国際線エリアの商業施設などが引き続き収益をけん引し、中間期として過去最高の837億円を記録。コロナ前の2019年度同期比で19%増となった。直営・テナントともに堅調で、免税と物販・飲食は直営店舗収入が20%ずつ増加し、その他収入(不動産、構内営業料、ホテルなど)も17%増となった。
26年3月期見通し
2026年3月期の通期見通しは非開示。2016年4月に民営化後、KAPは通期の業績予想を一度も開示していない。
非開示の理由として、民営化時から社長を務める山谷佳之社長は、空港運営事業は不確実性が高く、親会社であるオリックス(8591)と仏空港運営会社ヴァンシ・エアポートが上場していることを理由に挙げている。
一方で、羽田空港のターミナルを運営する日本空港ビルデング(9706)は上場しており、中部空港(セントレア)を運営する中部国際空港会社はトヨタ自動車(7203)をはじめ多くの上場企業が出資。ほかの空港運営会社も、三菱地所(8802)など上場企業が株主に名を連ねている。
関連リンク
関西エアポート
関西国際空港
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関空新ラウンジお披露目
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上期実績
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決算
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