国土交通省は、羽田空港第1・第2両ターミナルを接続するための人工地盤の整備を本格化する。ターミナル南側の首都高湾岸線上に人工地盤を構築してエプロンを拡張し、スポット(駐機場)を新設すると共に、両ターミナルと結ぶコンコースなどを整備する。都心と羽田を結ぶJR東日本(東日本旅客鉄道、9020)の「羽田空港アクセス線(仮称)」が2031年度に開業を計画しており、早ければ2030年代前半にターミナルの利便性向上を図る。

羽田第1・第2両ターミナルを結ぶ人工地盤のイメージ(国交省の資料から)
国交省は2022年度から人工地盤整備の検討に着手(関連記事1)。第1と第2ターミナルを結ぶコンコースを整備することで、空港利用者が両ターミナルを往来できるようにするほか、航空機のタキシング(地上走行)距離の大幅短縮や、A滑走路(RWY16R/34L)を航空機が横断することによる非効率性の改善など、発着回数の増加により顕在化している空港運用上の課題解決を図る。
人工地盤整備の調査が進んだことから、国交省は基本設計を2026年末までに終え、着工に向けた準備を進める。
羽田のターミナルは3つあり、日本航空(JAL/JL、9201)とスカイマーク(SKY/BC)、スターフライヤー(SFJ/7G、9206)が乗り入れる1993年9月27日開業の第1、全日本空輸(ANA/NH)とエア・ドゥ(ADO/HD)、ソラシドエア(SNJ/6J)が利用する2004年12月1日開業の第2、国際線のみ乗り入れる2010年10月21日開業の第3がある。第3ターミナルは、2020年3月29日に第2ターミナルの国際線施設が開業した際、旧称の国際線ターミナルから改称した。

羽田空港第2ターミナルの本館とサテライトを結ぶ接続部の通路=25年3月 PHOTO: Kiyoshi OTA/Aviation Wire

羽田空港第1ターミナル北側サテライト施設のイメージ(日本空港ビル提供)
第2ターミナルは本館のほか、2018年12月10日に供用開始となった北側のサテライト施設があり、今年3月19日には両施設を結ぶ「接続部」が供用開始となり、2027年春にはサテライトの延伸を計画している(関連記事2)。
第1ターミナルも北側にサテライト施設を建設中で、2026年夏のオープンを計画。また、ターミナル開業から30年以上経過し、エプロンの舗装が老朽化していることから、液状化対策の地盤改良に合わせ、舗装の打ち替えも進めるなど、空港の機能強化と並行して防災・減災対策も進めていく。
*羽田2タミサテライト延伸の詳報はこちら。

羽田空港=20年4月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
2タミサテライト延伸
・羽田2タミ、サテライト27年春に延伸 保安検査場課題に(25年11月6日)
1-2タミ接続
・国交省の26年度概算要求、羽田空港に692億円 空港整備勘定は4213億円(25年8月28日)
・羽田空港、第1・第2ターミナル接続を国交省検討 首都高上に人工地盤(21年8月27日)
・羽田空港、第1と第2ターミナル拡充 22年着工、エプロン改修も(20年12月10日)
2タミのサテライト
・羽田空港、2タミ本館とサテライト直結 3/19からバス不要、ANA国際線も拡充へ(25年3月10日)
・羽田空港、2タミのサテライト公開 ANA系12月から発着、吹き抜けで開放感演出(18年11月22日)
1タミのサテライト
・羽田空港、第1ターミナル北側サテライトが26年夏開業 初の木造・鉄骨ハイブリッド構造(24年5月7日)
