機体, 解説・コラム — 2025年10月18日 13:30 JST

エンブラエル ニューデリーに新オフィス開設 インド事業拡大

By
  • 共有する:
  • Print This Post

 エンブラエルは現地時間10月17日、インドの首都ニューデリーに新オフィスを開設した。現地法人の全額出資子会社として、エアロシティの複合施設「ワールドマーク4」に入居した。

ニューデリーのエンブラエル新オフィス開設を祝う関係者(同社提供)

 開所式には、ブラジルのジェラウ・アルクミン副大統領とジョゼ・ムシオ国防大臣、インドのキンジャラプ・ラモハン・ナイドゥ民間航空大臣、ケネス・フェリクス・ハチンスキ・ダ・ノブレガ駐インド・ブラジル大使らが出席した。今回の開設は、インドでのエンブラエルの長期的な関与を深めるもので、民間航空機や防衛、ビジネスジェット、サービスとサポート、都市型エアモビリティ(UAM)など全事業領域の拡大を視野に入れている。

 新オフィスは、インド国内の航空宇宙・防衛産業の発展機会を取り込む拠点となる。今後は調達やサプライチェーン、エンジニアリングなどの専門部門を拡充し、現地の産業発展政策「アトマニルバル・バーラト(自立したインド)」や「メイク・イン・インディア」への協力を進めていく。

 エンブラエルのインド進出は2005年に始まり、リージョナルジェット機「Eジェット」の運航を通じ、地域航空市場を開拓してきた。現在は民インド空軍や政府機関、ビジネスジェット事業者、航空会社合わせて11機種約50機のエンブラエル機が運航されている。

 今回の開設はインドとブラジルの関係強化の象徴でもあり、エンブラエルは今後、インド国内のステークホルダーや顧客、航空宇宙サプライチェーンとの関係を深める。

 エンブラエルはインドで複数分野の事業を展開。防衛分野では、ERJ145を基にした早期警戒管制機「Netra」がインド空軍で運用され、レガシー600はインド空軍と国境警備隊(BSF)が政府要人輸送に使用している。多目的輸送機C-390「ミレニアム」は、インド空軍の中型輸送機(MTA)計画への提案機種として位置づけられている。

 民間航空分野では、Eジェットファミリーが地方都市間の接続を強化しており、スターエア(SDG/S5)は全機をエンブラエル機でそろえ、E175とERJ145を運航している。

 都市型エアモビリティ分野では、エンブラエル傘下のEve Air Mobility(イブ・アーバン・エア・モビリティ)がインドで事業を拡大中。ジェットセットゴーと連携し、都市航空交通管理ソフト「Vector」の導入を検討しているほか、ハンチ・モビリティと共同で、ベンガルール(旧バンガロール)でのeVTOL(電動垂直離着陸機)通勤便の導入可能性を調査している。

 エンブラエルのフランシスコ・ゴメス・ネト社長兼CEO(最高経営責任者)は、「今回の開設はインド市場での新たな章の幕開けであり、全事業分野を横断してパートナーや顧客、サプライヤーとの連携を強化する」と述べたうえで、「インドの航空宇宙産業の成長と自立、航空ハブ化の実現を支援する」と語った。

 また、防衛・セキュリティ部門のジョアン・ボスコ・コスタ・ジュニア社長兼CEOは、「今回のオフィス開設は、インドでのさらなる成長への意欲の表れだ」と述べ、「C-390は、インド空軍に新たな能力をもたらす最適な機体だと確信している」と強調した。

関連リンク
Embraer

エンブラエル、民間機納入増 BJは前年並み=25年7-9月期実績(25年10月3日)
エンブラエル、ビジネスジェット納入2000機に 23年で達成(25年8月29日)
ANA、E190-E2パリ航空ショーで正式発注 28年度から国内初導入、エンブラエルとも初契約(25年6月17日)
エンブラエル系Eve、eVTOL最大50機の基本契約獲得 27年にサンパウロ就航(25年6月15日)
エンブラエル民間機CEO、ANAのE190-E2導入「大きな意味」(25年4月22日)
エンブラエルCEO、737MAX・A320neo市場の参入否定「実現能力は持っている」(24年6月19日)

  • 共有する:
  • Facebook
  • Twitter
  • Print This Post
キーワード: