全日本空輸(ANA/NH)などが加盟する航空連合「スターアライアンス」は6月26日、ツーリズム業界を学ぶ専門学校・JTBツーリズムビジネスカレッジ(東京・巣鴨)で、同校の1年生を対象としたワークショップを開催した。観光業の課題と解決策を考えるワークショップで、スタアラ各社のスタッフと新入生が意見交換した。同校は2年制で新入生は来年に就職活動を控えていることから、学校側は航空業界に在籍する現役社員との交流を通じ、生徒へ就活のヒントを与えたい考え。

スターアライアンス加盟各社が開催したJTBツーリズムビジネスカレッジでのグループワーク=25年6月26日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire
—記事の概要—
・経歴異なる9社のスタッフ
・スタアラの知名度向上も狙う
経歴異なる9社のスタッフ
ワークショップのテーマは「20年後の観光業をデザインしよう」で、観光業が抱える現在と未来の課題について考え、解決策を話し合った。スタアラからはANAのほかシンガポール航空(SIA/SQ)、アシアナ航空(AAR/OZ)、タイ国際航空(THA/TG)、エバー航空(EVA/BR)、ルフトハンザ ドイツ航空(DLH/LH)を中核とするルフトハンザグループ、LOTポーランド航空(LOT/LO)、中国国際航空(エアチャイナ、CCA/CA)、ターキッシュエアラインズ(旧称トルコ航空、THY/TK)の計9社のスタッフ13人が参加。今年4月に入学した国際観光ビジネス科と国際ホテル&ブライダル科の新入生43人と意見を出し合った。
各社のスタッフは新卒入社のほか、航空他社や金融・ITなど、異業種からの転職組など経歴がさまざま。学生に自社の紹介に加え、スタッフ個人の職歴や入社後の仕事の様子などをプレゼンした。各社の社員は、未来の“新入社員”に対し「興味とできることにはギャップがあるかも」「語学などの大きな“武器”があれば、入社後はどうにもなる。武器を1つ見つけて」と語りかけた。
グループワークは1組4-5人のチーム9グループに分かれ、9社の社員がそれぞれのグループに入り交流。「環境とサスティナビリティ」「ビザや入国の手続き」「地方観光地の衰退」「多様性・文化対応」「テクノロジーとリアル体験の価値」などのテーマで話し合いを進めた。

JTBツーリズムビジネスカレッジでのワークショップに参加するターキッシュエアラインズのスタッフ=25年6月26日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

JTBツーリズムビジネスカレッジでのワークショップに参加するスターアライアンス加盟各社のスタッフ=25年6月26日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire
スタアラの知名度向上も狙う
今回のワークショップは、スタアラ側から学校へ働きかけ実現した。日本のスタアラ事務局を務めるANAの営業統括室販売企画部国際統括チームの武藤啓介マネジャーによると、「おのおのの航空会社は知られているが、スタアラの知名度が低い」ことから、今回のような出前授業を通じ、知名度向上を図りたい考えだ。
スタアラは以前、小学校などへ出向いて同様の授業を展開していたものの、新型コロナの大流行により中断。コロナ明けはおもにBtoBのセミナーなどを開催していた。今後は今回のような学校向けのワークショップを年1回程度のペースで開催していきたいという。
学生は就職活動を来年に控えることから、学校側は学生のキャリアデザインを考えるきっかけにしたい思惑がある。同校で主任講師を務める髙野雅巳先生は、就活が3月から始まることから「この1年が勝負」と述べ、新入生と現役の航空会社社員との交流に手応えを感じていた。

JTBツーリズムビジネスカレッジでのグループワークに参加するシンガポール航空のスタッフ(右)=25年6月26日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

JTBツーリズムビジネスカレッジでのグループワークに参加するLOTポーランド航空のスタッフ(中央)=25年6月26日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

中国国際航空のスタッフ(右)が参加したグループワークに声をかけるJTBツーリズムビジネスカレッジの髙野先生(左)=25年6月26日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

ワークショップに参加したスターアライアンス加盟各社のスタッフとJTBツーリズムビジネスカレッジの1年生=25年6月26日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire
関連リンク
スターアライアンス
JTBツーリズムビジネスカレッジ
・ANA、スタアラ世界一周特典航空券を6/23発券終了(25年4月13日)
・スターアライアンス、オーストリア連邦鉄道と提携拡大 グラーツなど4都市と空港接続(25年4月6日)
・スターアライアンス、伊ITAの加盟承認 26年初頭(25年4月3日)
・スターアライアンス、社長会議長にエア・カナダのルソー社長(24年12月12日)
・脱退後のスタアラ塗装機、SASはどう“処理”したか 尾翼は黒塗りに(24年12月10日)
