三菱重工業(7011)は、空港や都市間輸送に対応する次世代新交通システム「Prismo(プリズモ)」を開発した。従来のAGT(自動案内軌条式旅客輸送システム)と比較して、消費電力とCO2(二酸化炭素)排出量を約10%削減可能な設計となっており、駅での急速充電を可能にする独自のエネルギーマネジメントシステムを初めて搭載している。最高時速は80キロで、架線が不要な「架線レス」仕様と、レールが1本の「センターガイド方式」が特徴だ。
走行方式は、従来の車両両側にレールを設ける「サイドガイド方式」ではなく、車体下部の中央に1本のレールを設ける「センターガイド方式」を採用。これにより軌道構造物をスリム化し、景観への影響を抑えつつ、建設や保守のコスト削減にもつなげている。
最小曲線半径22メートル、最大勾配10%への対応により、住宅密集地や高低差のある地形でも導入しやすい。静粛性と低振動性能にも優れており、都市部や観光地、さらには空港の手荷物搬送といった多様な用途での展開が見込まれている。
三菱電機などと共同開発した高出力バッテリー「MHPB」を採用し、走行中の回生電力の再利用にも対応。停電時でも次の駅まで走行できる冗長性を備え、公共交通機関としての信頼性と継続運行性を両立している。
(動画制作:メディア・メトル)
関連リンク
Prismo – 未来の脱炭素モビリティへ
三菱重工業
動画(YouTube Aviation Wireチャンネル)
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