エアライン, 官公庁, 空港 — 2016年9月13日 20:43 JST

新千歳空港のすり抜け、国交省が再発防止策「警察に通報」

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 国土交通省航空局(JCAB)は9月13日、航空各社や全国の空港管理者などに対し、保安検査場でのすり抜けへの再発防止策を指示した。8月に新千歳空港で、2万人以上の乗客に欠航などの影響が及んだ問題を受けたもので、搭乗口や検査場での確認を徹底する。遅くとも10月末までに実施し、すり抜けを発見した際は警察に通報する。

フラッパーゲートで侵入阻止

 再発防止策では、搭乗券を持たない乗客は保安検査場で入場させず、手荷物検査を受け付けないようにする。その上で、搭乗口で乗客が搭乗券を持っていない場合は、搭乗を認めない。

 すり抜けが起きた保安検査場の通路や隙間には、当面の措置としてゲートやフェンスを設置。その後、オフィスビルの入口などに設置するような「フラッパーゲート型」の設備を導入する。また、検査を担当する警備員は検査場内の持ち場を離れないようにし、搭乗手続きに関するトラブルは、航空会社の係員が対応するよう徹底する。

JCABが定めた再発防止策(同局の資料から)

170便2万2000人以上に影響

保安検査をすり抜けた女はエア・ドゥ便で羽田に到着(資料写真)=14年5月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 新千歳空港での保安検査すり抜けは、8月5日午後0時13分ごろ、国内線ターミナルビルの保安検査場で発生。若い女性客1人が金属探知機を通過しないまま、エア・ドゥ(ADO/HD)の午後0時20分発羽田行きHD20便に搭乗した。

 女が保安検査場で搭乗券を読み取り機にかざした際、搭乗手続きが完了していなかったため、エラーが出た。警備員が保安検査場の入口で待機を指示したが、対応を協議するために警備員が離れた隙に、検査場の金属探知器横の幅約1メートルの隙間から制限エリアに侵入。その後、行方が分からなくなったため、警備員が空港内を探した。

 保安検査場を通過後の制限エリア側では、北海道警の警察官が警備していた。

 午後0時20分、保安検査をすり抜けた女が搭乗口に到着。エア・ドゥの地上旅客係員に「搭乗券をなくした」と申告した。購入履歴や本人確認がとれたことで係員が搭乗させ、HD20便は午後0時28分に出発した。

 出発後の午後0時38分、女が金属探知機を通過していないことが判明し、保安検査場を閉鎖。国内線全便の運航を停止し、午後1時15分から機内や搭乗待合室など、制限エリア内にいた約1000人にのぼる全乗客がエリア外に出され、午後2時30分から検査をやり直した。その後、午後2時59分に運航を再開した。

 これにより欠航11便と、遅延159便の計170便、2万2397人に影響が及んだ。一方、保安検査を受けずに搭乗した女は、午後1時57分に羽田に到着。身柄を拘束されることなく空港を後にした。

 国交省は「不正入場などにより生じる旅客の再検査、航空便の欠航や遅延などの損害は、賠償請求の対象となり得る。発見次第、警察に通報する」として、検査場の係員の指示に従うよう、強く呼びかけている。

関連リンク
国土交通省
新千歳空港

エア・ドゥ、新千歳空港すり抜け「賠償請求しない」(16年10月6日)
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