エアライン, 空港 — 2016年8月31日 15:45 JST

ANAエアラインスクール、東京も空港係員コース「受講生の自信につなげたい」

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 全日本空輸(ANA/NH)の現役客室乗務員(CA)らが講師を務める「ANAエアラインスクール」が、10月から空港の地上旅客係員(グランドスタッフ)を目指す学生向けの新コース「グランドスタッフ ベーシックコース」を開設する。成田空港での実務体験も用意する。

ANAエアラインスクール東京校グランドスタッフコースで講師を務める成田空港の地上旅客係員の(左から)岡井早紀さん、小柳亜沙美さん、谷中友里恵さん、権田智美さん、蒲生麻衣さん=16年8月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

3カ月間で講義16回

3年前の13年10月に開講したANAエアラインスクール=13年10月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ANAエアラインスクールは、2013年10月に都内に開講。航空会社がCA養成を念頭に置いたスクールを開設したのは世界初で、大学生や専門学校生を対象としたダブルスクール形式になっている。現在、東京校は港区高輪に、2014年6月開設の大阪校は梅田にスクールを構えており、ANAグループでの採用を保証するものではないが、受講生の就職活動を支援する。

 東京校に開設するグランドスタッフコースは、今年2月に開講した大阪校に続くもの。運営するANAビジネスソリューションによると、CAを養成する「キャビンアテンダントコ-ス」の受講生の中には、地上旅客係員を目指す学生も多かったことから、大阪校に続いて新コース開設を決めた。大阪校では定員16人に対し、約4倍の応募があったという。

 講師は、成田空港でANA便の旅客サービス業務などを手掛けるグループ会社、ANA成田エアポートサービスに所属する、インストラクター資格を持つ現役係員5人が担当。1回1時間30分の講義を、10月3日から12月3日までの3カ月間で16回開く。募集人数は16人で、申し込みは9月19日まで。応募時点で、大学や専門学校などに在籍している学生が対象となる。

 受講料は18万円で、このほかに入会金2万円とテキスト代2万円が必要。金額はいずれも税抜き。

 全16回の講座のうち、10月3日から11月25日まではCA向けベーシックコースと共通プログラムで、1週間に2講座ずつ受講。社会人としての心構えや言葉づかい、声の出し方、接遇の基本などを学ぶ。

 グランドスタッフ講座は、12月3日の午前10時から午後5時30分までで、旅客サービスの基礎知識やコミュニケーション力、行動力などの講義を受ける。また、12月17日と18日の2日間、成田空港での実務体験も設ける。

 9月11日午後3時から、新コースの説明会を東京校で開催する。また、エアラインスクールは2014年7月の関西外国語大学を皮切りに教育連携協定を20校と締結しており、グランドスタッフコースの全国展開を進めている。

「受講生の自信につなげたい」

ANAエアラインスクールの講師加藤さん(右)の研修を受ける成田空港の地上旅客係員の(左手前から時計回りで)小柳さん、谷中さん、権田さん、蒲生さん、岡井さん=16年8月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 開講に先立ち、ANAエアラインスクールで講師を務める成田空港の旅客係員5人が、CAコースの講師から指導法などのレクチャーを受ける研修が8月、空港内で開かれた。5人は上司の推薦などで選抜された。

 「“天職”と“転職”はどちらも“てんしょく”。受講生が誤解しやすい言葉は、ホワイトボードに書くようにしましょう」。ANAの国際線チーフパーサーで、インストラクターとして多くのCAを社内で育ててきた加藤絵里子さんは、エアラインスクールで講師を務める。相手に伝わる話し方など、受講生が迷わずに学べる教え方を係員たちに伝えた。

 また、5人はこれまで新人教育に携わってきたが、今回教える受講生は“社外”の人。加藤さんは「専門用語をなるべく避けるなど、わかりやすく説明しましょう」と、講義する相手の違いを理解して話を進めるよう、アドバイスした。

 加藤さんのレクチャーを受けた旅客係員は、1分間のスピーチで、出社時に起きたことなどを同僚の係員たちに披露。出社前に立ち寄ったコーヒーショップでの店員の接客や、通勤で乗るバスの運転手の応対など、自分の心に残った出来事を話した。

 「情景が思い浮かぶように」といったアドバイスを加藤さんから受けると、徐々に表現豊かなスピーチに変化していった。

 空港での窓口業務に加え、新人や入社から年月が経った社員の教育に携わる小柳亜沙美さんは、スピーチの際に表情が緊張していたのが気になったが、徐々にほぐれていったという。

 旅客係員は、広い空港を走り回るなど、接客能力だけではなく体力も求められる。求める後輩像として「元気がある人」を挙げた小柳さんは、「受講生の少しでも自信につながる講義をしたいです」と抱負を話す。

 国際線の搭乗手続きシステム変更時、社内プロジェクトチームに参加した経験を持つ権田智美さんは、中学時代に教育実習生から「相手のことをよく見ているから、それを活かせる仕事ができるといいね」と言われたことを胸に、旅客係員を目指すようになった。

 今回の研修は「準備段階で不安がありました」と話す権田さんは、指導を受けていく中で、講師としての自信をつけていった。「受講生が、自分の良いところをわかってもらえるようにしていきたいです」と思いを語った。

ANAエアラインスクールの講師加藤さん(左)の研修を受ける成田空港の地上旅客係員=16年8月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAエアラインスクールの講師加藤さん(中央)の研修を受ける成田空港の地上旅客係員=16年8月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAエアラインスクールの講師加藤さん(中央)の研修を受ける成田空港の地上旅客係員の小柳さん(左)と谷中さん=16年8月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

研修を受ける成田空港の地上旅客係員の(左手前から時計回りで)小柳さん、谷中さん、権田さん、蒲生さん、岡井さん=16年8月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

1分間スピーチを披露する岡井さん=16年8月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

1分間スピーチを披露する小柳さん=16年8月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

1分間スピーチを披露する谷中さん=16年8月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

1分間スピーチを披露する権田さん=16年8月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

1分間スピーチを披露する蒲生さん=16年8月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

表現力の講義を受ける地上旅客係員=16年8月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

成田空港で乗客の預け荷物にタグを付ける蒲生さん=16年8月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

成田空港で乗客の預け荷物にタグを付ける蒲生さん=16年8月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

成田空港で乗客に航空券を手渡す蒲生さん=16年8月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

成田空港で乗客に航空券を手渡す蒲生さん=16年8月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

成田空港で利用者に端末の使い方を説明する岡井さん=16年8月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

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