エアバス, エアライン, 機体, 空港, 解説・コラム — 2015年7月21日 18:30 JST

エアアジア・ジャパン、中部に16年春就航 訪日重視、福岡・札幌・ソウルへ

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 日本へ再参入を目指すエアアジア・ジャパンは7月21日、国土交通省航空局(JCAB)に対して航空運送事業の許可申請を行った。2016年春に中部空港(セントレア)を拠点として、国内線と国際線に同時再参入する。

 運休しているエアアジアX(XAX/D7)のクアラルンプール-中部線も再開させ、アジアからの訪日(インバウンド)需要取り込みを中心に、路線展開を図る。

中部から福岡、札幌、ソウルへ

中部空港に再就航するエアアジア・ジャパン=13年3月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 エアアジア・ジャパンは2014年7月1日の既報の通り、中部空港を拠点として再就航。機材はエアバスA320型機(180席)を使用する。計画通りエアアジア・グループから新造機をリース導入する。

 当初は2機でスタートし、2016年末に6機、2017年末に11機、2018年末に16機と年5機ずつ増機する。需給バランスによっては、20機程度まで増やす見通し。

 就航時期は、夏ダイヤが始まる2016年3月下旬を予定。国内線2路線と国際線1路線でスタートし、国際線を中心に路線を拡大していく。2013年10月で日本から撤退した旧エアアジア・ジャパンは、中部-福岡線と札幌線、ソウル(仁川)線を運航していたことから、この3路線を復活させるとみられる。

エアアジア・ジャパンのネットワーク予想図(Aviation Wire作成)

 路線と運賃は、今年11月に正式発表する見込み。旧エアアジア・ジャパンでは、中部-福岡線を1日1往復で開設後、同2往復に増便。札幌線とソウル線は1日1往復ずつ運航していた。

 3路線開設後の路線展開としては、国際線を中心に路線を拡充していくとしており、旧エアアジア・ジャパン時代に就航していた台北(桃園)へ乗り入れる可能性が高い。

 新エアアジア・ジャパンは、中部を拠点に選んだ理由として、24時間空港で発着枠に余裕があることや、周辺人口の規模、韓国と同規模のGDP(国内総生産)などを挙げている。また、経済規模の割に、中部を拠点とするLCCが存在しないことも理由としている。LCC向けの新ターミナル整備についても、空港を運営する中部国際空港会社と調整を進める。

 航空券販売については、ウェブ直販と地元旅行代理店経由を併用。旅行代理店とは、ツアーの企画なども視野に連携を進める。

訪日客重視に転換

 新エアアジア・ジャパンは当初、今夏の就航を目指していた。就航が遅れた理由として、訪日需要の取り込みに絞った戦略に変えたことを同社は挙げている。また国内線と国際線を同時就航させる計画に変更したことも、遅れた理由だという。

 利用低迷により、就航から1年足らずの今年2月に運休した、エアアジアXのクアラルンプール-中部線も再開させることで、エアアジア・グループの知名度が高いインドネシアやフィリピンといった、ビザ要件が緩和されて訪日需要が旺盛な東南アジアからの送客を図る。

 訪日客の訪問先として、中部からは京都や富士山、中部北陸9県で構成する「昇龍道」といった観光地との連携を進める。ホテルが慢性的に満室になっている京都については、隣接する滋賀県経由などのルートも検討する。

 JCABに航空運送事業の許可を申請したことにより、人材確保も本格化させる。新エアアジア・ジャパンの社員は現在100人弱で、このうち半数近くが中部空港のオフィスに勤めている。2016年春の就航までに、220人程度の規模に拡充する。

 すでに客室乗務員は、チーフパーサー(先任客室乗務員)候補がまもなく入社する見込み。空港旅客係員(グランドスタッフ)についても、中部空港勤務を中心に採用を始めており、8月1日と2日に中部地域で説明会を開催する。

 本店所在地も、現在の東京・港区から中部空港のオフィスへ移す。

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