エアライン, 空港, 解説・コラム — 2017年2月17日 19:00 JST

東北や函館「宣伝が大事」中国国際航空、馮日本支社長インタビュー

By
  • 共有する:
  • Print This Post

 2017年は日中国交正常化45周年を迎え、来年は日中平和友好条約40周年と、日中間で節目の年が続く。中国各地からの旺盛な訪日需要と、中国側の税制改正などで一服感がある「爆買い」に代表される個人消費と、2020年の年間訪日客数4000万人を実現する上で、中国は切っても切れないマーケットだ。

 一方、日本からの訪中需要は、両国間の政治的緊張の高まりにより、ひところは下落の一途をたどっていたが、2016年からはこの傾向に歯止めが掛かりつつある。

中国国際航空の馮支社長=17年1月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 こうした中、中国のナショナルフラッグキャリアである中国国際航空(エアチャイナ、CCA/CA)の日本地区支社長に、馮力(ひょう・りき)氏が2016年10月に着任。これまでに12年間の日本勤務経験があり、本社では路線を誘致したい日本各地の知事を出迎えるポジションも務めた知日派だ。

 馮支社長は、1989年に中国国際航空へ入社。2009年から東京支店長、2010年から華北営業本部副本部長、2013年から本社営業本部副本部長を歴任し、2016年10月の日本地区支社長就任となった。

 中国国際航空は1949年設立。当時の社名は中国民航で、後の分社化で現在の社名となった。日本へは1974年9月に東京と大阪へ就航し、2014年に就航40周年を迎えた。現在は東京(成田・羽田)と大阪(関西)、札幌(新千歳)、仙台、広島、名古屋(中部)、福岡、沖縄(那覇)の8都市と中国を結ぶ路線を運航しており、航空連合は全日本空輸(ANA/NH)と同じスターアライアンスに加盟している。

 趣味はサッカーやプロ野球観戦、ウォーキングで、好きな言葉は「郷に入れば郷に従え」という馮支社長に、日本市場の現状や今後の期待を聞いた。

—記事の概要—
訪日4000万人「日本人はまじめだから必ず達成する」
羽田「増便したいが出来ない」
東北や函館「宣伝が大事」

訪日4000万人「日本人はまじめだから必ず達成する」

── 中国国際航空の現状は。

馮支社長:昨年1年間の搭乗率は国際線が70%台後半で80%近かった。中国の国内線は元気なので85%くらいまでいく。利益も国内線の方が多い。

 日本路線は70%台後半で、インバウンド(訪日)がすごく増えているのが原因の一つだ。現在、日中間は1週間に149便運航している。もうちょっと元気になってもいいかなと思う。

 機材はピークとオフシーズンで分けており、もうちょっと元気になれば大きな機材を持ってくる。

── 中国からの訪日客、日本からの訪中客の現状はどうか。

羽田を離陸する中国国際航空のA330=15年12月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

馮支社長:訪日客は2014年が240万人、2015年が499万人で、2016年は637万人に達した。

 これに対して、訪中客は2014年は271万人だったが、2015年に249万人となり、2016年は258万人になった。増加率は3.6%で、良いニュースだ。

 今年は中日間としては日中国交正常化45周年、来年は日中平和友好条約40周年と交流が多くなる 私たち航空会社としてはうれしい。

 日本政府は2020年までに年間訪日客数4000万人を掲げているが、かなり難しいと思う。なぜならホテルの数が問題になる可能性があるからだ。でも、日本人はまじめだから必ず達成する。

 私の推測では、日中間で少なくとも中国人は倍になる。中国人の訪日客数が倍にならないと、4000万人は難しいだろう。中国人の訪日客数は1400万人から1500万人はいけると思う。

 民泊とビザの緩和は有効だ。

── 日本路線を見ると、中国国際航空は茨城空港へ乗り入れたが、早期に撤退した。訪日客は羽田や成田、関西へ降り立っているが、地方空港の現状はどうか。

馮支社長:地方空港は正直に申し上げて飛びたいところがある。しかし、なかなか利益が出ない状況になったところもある。競争が激しいことと、ほとんどが(中国からの)インバウンドであることだ。バランスが大事で、ビジネス客がいないと、やはり難しい。

── ひと昔前の日系航空会社と比べると、撤退や減便の判断が早いように感じる。

馮支社長:本社の判断も早い。機材変更や運賃調整も早い。それは良いところだ。これからは、より早く、性格にしないといけない。一方、飛ばしたら維持することを大事にしたい。(就任から1月で)まだ3カ月なので、地方都市をまわっている。岩手や新潟、函館、仙台などをまわる。

羽田「増便したいが出来ない」

── 羽田から地方への送客や日系航空会社との関係は。

馮支社長:スターアライアンスなので、地方への送客はANAに協力していただいている。また、日本航空(JAL/JL、9201)とは昔からの関係が強い。地方ではJALがグランドハンドリングをやっているところもある。

 メインはスターアライアンスであることは間違いないが、中国は古い友人を忘れない。

── 日系航空会社はLCCも含め、中国へ攻め込んできている。

馮支社長:影響はあると思うが仕方がない。あとは羽田の発着枠の問題がある。増便したいが出来ない状況だ。

 それは仕方がないことなので、現状でがんばらないといけない。しかし、発着枠さえあれば必ず増便する。

── 一方で、中国のLCCも日本に入ってきている。

馮支社長:お客様の需要が拡大するために意味があることだと思う。LCCも“家族”であり、大歓迎だ。航空需要が大きくなると、航空会社全体が得をする。LCCがイヤだということは、われわれは考えていない。

 私たちはフルサービス航空会社で、客層が異なる。ハブ(拠点)を作り、中国だけではなく全世界に行く。日本支社でもスローガンを社内で公募し、「中国へ、そして世界へ」というものを選んだ。北京から6大陸へ行ける航空会社であることをアピールしていきたい。

 ハブは北京と上海、深セン、成都。北京が中心だが、ほかのハブからも国際線が飛んでいる。(4つのハブを結んで出来る)四角やひし形は中国では縁起が良い。

 そして、中国と欧州間のシェアは一番持っており、中国と米国間はユナイテッド航空(UAL/UA)と1、2位を競っている。羽田を朝出て、北京を午後出発する欧州便も出ている。

 LCCが誕生したことで、みんなが旅行に行けるようになった。「平民化」だ。そしてこれからは、少人数中心の旅行に変わる。これは私たちの対応も変わらなければならない。そして爆買いなど買い物需要の冷静化だ。

── 日本の話に戻すと、欧米の航空会社の中には、羽田と成田の2空港への乗り入れを一本化したいという意向の社もある。

馮支社長:羽田は利便性が高く、ビジネス客が利用する。そして国際線と国内線接続、国際線同士の接続がある。ビジネスと乗り継ぎ客以外は、価格で成田へ誘導する。

 ある友人は日本を訪れた際、成田に行きたがる。免税店が多く、ホテルも安い。つまり、利用者の好みもあるので、今はあまり問題はない。空港から利用者がどこへ行くのかというのもある。

── 羽田と成田に分散していてデメリットはないのか。

馮支社長:正直に言えば(ひとつのほうが)売りやすい。われわれも羽田と成田に別れていてお金も掛かるが、それは仕方がない。中国でも、北京の空港は2つになる。

 ただ、羽田に発着枠があれば増便したい。これは成田を減らすということではなく、上積みするものだ。

東北や函館「宣伝が大事」

── 今後日本市場をどうしていきたいか。

馮支社長:中国からのインバウンドも、日本からのアウトバウンドも力を入れたい。私が以前日本にいた時は、日本人客が7割、中国人が3割だった。最近は日本人が3割だ。

 2011年の東日本大震災のころから変わったのではないか。2010年は日本に居たので、私の記憶の中では日中の比率逆転は2015年だ。

── 需要が伸びれば機材を大型化する可能性はあるのか。

馮支社長:昔は修学旅行などで大きな機材を飛ばしていたこともあった。ボーイング747も夢ではない。

 発着枠が限られている以上、機材変更しなければならない。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、地方空港の運休した路線も再開させたい。

 なぜ東北地方をまわるのかと言うと、東北復興に向けてだ。仙台便の増便を検討している。上海経由の北京-仙台線の増便や、大連経由の北京-仙台線の再開を検討している。

── 中国人旅行者は東北や仙台に関心があるのか。

馮支社長:宣伝が大事だ。いま中国で北海道は人気がすごい。これは北海道が舞台の中国映画の影響だと思う。

 一方、東北は知られていない。東日本大震災は有名だが。しかし、お米やお酒がおいしく、よい温泉がたくさんある。良いところをうまく宣伝すればいい。

 1回目の旅行は「東京イン、大阪アウト」が定番だが、これからは魅力があれば地方を訪れるだろう。ビザの条件が厳しいので、緩和されれば地方に行くだろう。

 (路線を撤退した)函館市長には5回くらい本社でお目にかかった。函館も再開したい。函館は夜景もあり、ロマンチックだ。函館で映画を撮影したらと市長におすすめした。函館山の夜景はとてもきれいだ。

杭州から茨城に到着したCA755便初便。同路線は4カ月で撤退した=16年1月30日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

── 函館再開は前向きなのか。

馮支社長:一度飛んだら、止めるようなことはしたくない。

── 機材についてはどうか。

馮支社長:ボーイング777-300ERが23機あり、3機追加する。2015年から導入している747-8は6機、あと3機入れるので9機になる。787-9は7機で、あと8機入れる。

 エアバスA350-900は今年1機、来年3機導入し、全部で10機になる。これから検討するのは、A330neoや737 MAXなどだ。うちの機材の機齢は若く、平均5.9年。一番元気な機体だ。

── 機内などのサービスは日本でどのようにしていきたいか。

馮支社長:ビジネスクラスでは、就航地の名物を入れた日本人に合わせた機内食を提供している。「郷には入れば郷に従え」で、その地方にあったサービスが大切だ。

 日本人は求めるサービス水準が高いが、本社で各国の特徴を研究している。がんばって合わせていきたい。

 日本人の客室乗務員も、100人まで増やす。昨年は20人台の採用を実施した。地上係員も採用する。中国路線だけではなく、欧米路線にも日本人が乗るからだ。日本から北京を経由し、欧州へと乗っていただきたい。

── 馮支社長は採用時にどういうことを重視しているのか。

馮支社長:サービス業だから、その感覚を重視している。その考えがないと仕事を続けるのは難しい。

 例え面接を通知する電話をした時の応対や、面接に遅刻しないか、座り方、話し方だ。

── 日本の支店で一番やりたいことは何か。

馮支社長:サービスを出来るだけ統一したい。何でも一緒にやり、お客様が同じ水準のサービスを受けられるようにしたい。羽田から中国へ行き、福岡へ帰ってきても大丈夫なようにしたい。日本の社員がひとつになる。

 もう一つは日本人のアウトバウンド回復だ。昔は大盛況だった。世界遺産が数多くある。新しいコースを作って、旅行会社や日本政府観光局(JNTO)と協力して回復させたい。日中両方向のお客様と、ビジネス客がいないと難しい。政治が良ければ交流が盛んになり、交流が盛んになればお客様も増える。ビジネス客も多くなる。

関連リンク
中国国際航空

中国国際航空、仙台増便へ 函館再開も検討(17年2月2日)
中国国際航空、成田-西寧就航 成都便延伸で週4往復(16年8月10日)
中国国際航空、羽田でファンイベント(16年6月25日)
中国国際航空、787-9初号機受領 中国で初(16年5月26日)
中国国際航空、茨城撤退へ 就航4カ月、日本人客伸び悩み(16年5月18日)
中国国際航空、北京-札幌など3路線増便 上海-成田はA330に大型化(16年3月25日)

  • 共有する:
  • Facebook
  • Twitter
  • Print This Post