日本航空(JAL/JL、9201)を中核とするJALグループで沖縄の離島路線を担う琉球エアーコミューター(RAC)の山田賢哉社長は、就航先の関係自治体に機材更新の概要を8月に入り説明した。RACは現行機を更新するため、デ・ハビランド・カナダDash 8-400(旧ボンバルディアQ400)型機のリファービッシュ機、いわゆるメーカー保証が付いた「認定中古機」を導入する。全5機を更新する計画で、リファービッシュ機はエンジンやプロペラ、客室内装などが新品になる。

那覇を出発するRACのQ400CC=18年2月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
RACの現行機は、後方の貨物室を拡張したDHC-8-Q400CC(1クラス50席)で、2016年4月15日に初号機(登録記号JA81RC)が、2018年2月1日に最終受領機の5号機(JA85RC)が就航した。
旅客機は一般的に就航から20年程度が更新の目安とされる中、約10年で更新することになる。なぜ半分ほどの年数で更新時期を迎えるのか。そして、新造機を調達できる仏ATR製のATR72-600ではなく、中古のDash 8-400を選ぶのか。世界でRACだけが採用したQ400CCの特殊仕様をどうするかも焦点になる。
—記事の概要—
・短距離多頻度が機体に負担
・故障多い新品ATRよりDash 8認定中古機
・世界でRACだけカーゴコンビ仕様
短距離多頻度が機体に負担
RACは沖縄県内の離島を結ぶ短距離路線が多く、1機が1日に10-12便程度を運航する。宮古-多良間線のように、離陸から着陸まで15分前後の路線もあり、短時間の飛行で離着陸を繰り返すことで飛行サイクルが早く積み上がる。機材更新は使用年数だけではなく、発着回数の多さも理由になっている。

最終定期便の運航を終えたRACのQ300。就航から11年で退役した=18年1月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
海に囲まれた沖縄特有の環境も機体には負担がかかる。RACは腐食への対応に苦労しており、塩害も機材更新を考える上で無視できない要素となっている。過去にはDHC-8-Q300(JA8936)も2007年3月の就航から約11年で退役している。
短距離路線を多頻度で運航するRACでは、一般的な旅客機の更新期間よりも早く機材を入れ替えることになる。
故障多い新品ATRよりDash 8認定中古機
Dash 8-400は新造機の引き渡しが完了しており、同型機を導入する場合は中古機を活用することになる。一方、ターボプロップ(プロペラ)機の新造機となるとATR42-600やATR72-600があるが、RACは現行のQ400CCと同じシリーズであるDash 8-400を導入する方針だ。

RAC Q400CCのコックピット=16年3月30日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JAC ATR72のコックピット=18年11月30日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
航空機は機種ごとにパイロットのライセンスが異なり、運航機材が変われば機種移行訓練が発生し、運航や整備の体制も変える必要がある。そして、国土交通省航空局(JCAB)の有識者会議では、ATR機について故障や部品供給、メーカーのサポートなどを背景とした運航品質改善が課題として取り上げられた。5機規模のRACにとっては、ライセンスが同じDash 8-400へ移行することで、機材更新の費用を抑えられる。
国内ではANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下のANAウイングス(AKX/EH)が、Dash 8-400の認定中古機7機の導入を進めている。7機はすべてLOTポーランド航空(LOT/LO)傘下だった地域航空会社Eurolotが2012年から2013年にかけて導入した無事故機で、デ・ハビランド・カナダの責任下でANA機と同仕様に改修。導入後10年は運航可能な機体で、新造機と同様に一定期間のメーカー保証が付く。

伊丹空港に到着するANAのDash 8認定中古機の初号機=26年3月6日 PHOTO: Kiyoshi OTA/Aviation Wire
世界でRACだけカーゴコンビ仕様
RACが運航しているQ400CCは、客室後方の貨物室を拡張したカーゴコンビ仕様で、採用したのは世界でRACだけ。5機すべてがこの仕様となっている。一方、専用部品が必要になることから、部品調達に時間がかかるなど、整備作業が長期化する問題も抱える。

RACのQ400CCの5号機=18年1月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
Q400CCの貨物室は23.4立方メートルで、置き換え対象となったDHC-8-Q300(1クラス50席、1機)の9.1立方メートル、DHC-8-Q100(同39席、4機)の8.5立方メートルと比較して、約2.5倍広くなり、貨物を4082キロまで搭載できる。機体片側で見た場合、後方の窓4カ所分と旅客用ドア1枚分が、拡張された部分にあたる。貨物室が拡張された場所にある、後方ドア(L2とR2ドア)は使用できず、固定されている。
貨物エリアは4区画あるが、最後尾は機体バランスの関係で、常時1000ポンド(約450キロ)のバラストを搭載する。
後継となる中古Dash 8-400を、カーゴコンビ仕様にすると追加の改修費がかかり、運航開始後も専用部品の調達に苦労することになる。RACによると、これまでの運航実績として、Q400CCほど大きな貨物室を必要としないケースも多いという。
RACは後継機の仕様について「検討中」としているが、カーゴコンビ仕様への改修コストや専用部品による整備負担、実際に必要な貨物スペースなどを踏まえると、後継機は一般的な1クラス74席仕様になるとみられる。
そして、運航品質を向上させる上で重要なのが腐食対策だ。短距離路線を多頻度で運航し、塩害の影響も受ける沖縄離島路線特有の環境に合わせた対策を盛り込むことで、機材更新と同時に運航品質の改善につなげる。

RAC Q400CCの機内=16年3月30日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

Q400CCの客室最後部=18年1月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

Q100と比べて2.5倍の広さとなったQ400CCの貨物室=16年3月30日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
関連リンク
琉球エアーコミューター
Q400CC
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