ANA、売上高過去最高も営業益43%減 通期予想は据え置き=26年4-6月期

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 全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)が7月29日に発表した2026年4-6月期(27年3月期第1四半期)連結決算(日本基準)は、純利益が前年同期比15.4%減の194億1100万円だった。国際線旅客の伸びや、前年同期に連結対象外だった日本貨物航空(NCA/KZ)の連結効果で、売上高は22.6%増の6727億2900万円となり、第1四半期として過去最高を更新した一方、燃油費などの増加で営業利益は43.5%減の207億8200万円となった。通期業績予想は据え置いた。

—記事の概要—
FSC
貨物・NCA
LCC
財務・為替
27年3月期予想
ボーイング機受領遅延

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26年4-6月期の純利益が前年同期比15.4%減となったANAホールディングス=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 4-6月期の経常利益は37.3%減の225億1300万円。営業費用は27.4%増の6519億円で、営業利益率は3.6ポイント低下し3.1%となった。売上高は1240億円増えたものの、営業費用が1400億円増えたことで、営業利益は160億円減少した。

 売上高のうち、航空事業は24.9%増の6208億円。営業利益は48.7%減の181億円だった。前年同期には連結対象外だったNCAの売上高579億円が加わったほか、ANAの国際旅客が413億円、貨物・郵便が163億円、ピーチ・アビエーション(APJ/MM)が64億円増えた。一方、3月末で運航を休止したエアージャパン(AJX/NQ)によるAirJapan便の収入29億円がなくなった。

 航空事業の営業利益は前年同期を172億円下回ったものの、ANAHDが計画した110億円の赤字に対して181億円の黒字となり、計画を290億円上回った。国際旅客の売上高が計画を85億円、ANAとNCAを合わせた国際貨物収入が120億円上回ったほか、燃油費が計画を145億円下回った。

 航空事業の営業費用は30.6%増の6026億円。主な内訳は、燃油費・燃料税が869億円増の1875億円、その他が120億円増の665億円、外部委託費が93億円増の867億円、整備部品・外注費が87億円増の615億円、航空機材賃借費が78億円増の463億円、減価償却費が55億円増の426億円、空港使用料が49億円増の327億円、人件費が47億円増の623億円だった。各費用にはNCAの連結化による増加分を含む。

 ANAHDは、中東情勢の緊迫化に伴う燃油急騰による第1四半期の収支影響を、320億円の悪化と試算した。燃油急騰による費用増710億円に対し、燃油ヘッジで160億円、運賃や燃油サーチャージで200億円、コスト削減などで30億円を補い、燃油急騰で増えた費用のカバー率は期初計画の21%から55%に改善した。

 ANAを中核とするFSC(フルサービス航空会社)のうち、国際旅客収入は20.0%増の2476億円。有償旅客数は14.3%増の236万3000人、座席供給量を示すASK(有効座席キロ)は4.0%増の156億5100万座席キロ、有償旅客を運んだ距離を示すRPK(有償旅客キロ)は11.6%増の133億1200万人キロ、ロードファクター(座席利用率、L/F)は5.7ポイント上昇し85.1%だった。

 旅客収入を有償旅客数で割った単価は5.0%上昇し10万4763円、ASKで割ったユニットレベニューは15.4%上昇し15.8円、RPKで割ったイールドは7.6%上昇し18.6円となった。訪日需要や日本発需要を取り込み、早期予約の積み上げと高単価の直前需要の獲得が寄与した。

 国内旅客収入は1.1%増の1636億円。有償旅客数は3.9%増の1064万2000人、ASKは1.1%減の112億2900万座席キロ、RPKは4.4%増の84億9300万人キロ、L/Fは4.0ポイント上昇し75.6%だった。

 一方、単価は2.7%低下し1万5379円、イールドは3.2%低下し19.3円となった。旅客数の増加が65億円の増収要因となったものの、単価低下が45億円の減収要因となった。

 グループCFO(最高財務責任者)を務めるANAHDの中堀公博副社長は会見で、5月19日に導入した新運賃体系では過去の予約動向を把握できず、価格設定を慎重にしすぎたと説明。早期需要の取り込みや、搭乗間際の高単価需要へのセルアップに課題があったという。移行から2カ月以上が経過し、イールドマネジメントの手法を修正しつつあるとし、第2四半期の単価は計画水準まで改善する見通しを示した。

貨物・NCA

 国際貨物収入は、前年同期にNCAが連結対象外だったため単純比較できないが、ANAとNCAの合計で1087億円となり、前年同期のANA単独422億円の約2.6倍だった。輸送重量は64.2%増の29万1000トン、重量単価は56.6%上昇し1キロ当たり373円となった。

 ANA単独の国際貨物収入は37.9%増の583億円。輸送重量は1.2%増の17万9000トンにとどまった一方、重量単価は36.3%上昇し325円となった。AI関連の半導体や電子部品を中心に需要が旺盛で、需給の引き締まりや長距離路線の拡大が単価を押し上げた。

 NCAの貨物収入は504億円、輸送重量は11万1000トン、重量単価は451円だった。ANAHDは2027年4月1日にANA CargoとNCA、NCA Japanを統合する計画で、貨物スペースの共同管理や海外での販売、倉庫業務の一体化を進めている。

LCC

 LCC(低コスト航空会社)事業のピーチは、売上高が22.0%増の357億円。有償旅客数は9.3%増の241万8000人、ASKは6.6%増の35億600万座席キロ、RPKは10.7%増の29億2100万人キロ、L/Fは3.1ポイント上昇し83.3%だった。

 単価は11.6%上昇し1万4772円、ユニットレベニューは14.5%上昇し10.2円、イールドは10.2%上昇し12.2円となった。国際線では上海線の需給が引き締まったほか、前年に香港線などで需要が落ち込んだ反動も増収につながった。

 AirJapanブランドは3月末で運航を休止しており、前年同期に29億円だった収入は今期計上されていない。

財務・為替

 6月末の有利子負債残高は、3月末から214億円増の1兆1931億円。自己資本比率は2.1ポイント低下し35.6%となった。配当金の支払いや自己株式の取得、繰延ヘッジ損益の減少などで、自己資本は946億円減の1兆3973億円となった。

 営業活動によるキャッシュフローは892億円の収入、有価証券の償還などにより、投資活動によるキャッシュフローは1750億円の収入となった。3カ月超の譲渡性預金などを除く実質フリーキャッシュフローは142億円の黒字だった。

 為替と燃油の第1四半期実績は、為替レートが1米ドル159.2円、燃油費はドバイ原油が1バレル112.5米ドル、シンガポールケロシンが同182.5米ドルとなった。ANAHDの前提は為替が155円、ドバイ原油が130米ドル、シンガポールケロシンが200米ドルで、燃油市況は想定を下回った一方、為替は想定より円安だった。

27年3月期予想

 2027年3月期通期の連結業績予想は、4月30日発表から据え置いた。売上高は2026年3月期比9.1%増の2兆7700億円、営業利益は31.0%減の1500億円、経常利益は37.6%減の1370億円、純利益は43.2%減の960億円を見込む。年間配当予想も60円で変更しなかった。

 燃油の算出前提は、ドバイ原油が7-9月期に1バレル100米ドル、下期は75米ドル、シンガポールケロシンが7-9月期に120米ドル、下期は90米ドル。為替は1米ドル155円としている。

 一方、7月27日時点のシンガポールケロシンは約150米ドル、為替は1米ドル160円超となっており、第2四半期の動向を踏まえて下期の前提を見直す。国際線では、欧州線やハワイ線など日本発レジャー需要の価格反応が第1四半期より強まる兆候があるという。

 中堀グループCFOは、イールドマネジメントの修正内容を精査し、価格弾力性を抑えながら収入を伸ばすことが最大の課題との認識を示した。国内線単価については、第2四半期に計画水準まで改善する見通しを示している。

ボーイング機受領遅延

 ANAHDは4-6月期決算と同時に、ボーイング機の受領時期の遅れも発表。737-8(737 MAX 8)の受領時期は、従来の今年6月以降から10月以降に後ろ倒しとなる。ユニバーサルデザイン仕様の化粧室の承認に時間を要しているためで、ANAHDは今年度の事業計画への影響はないとしている。

 新ビジネスクラス「THE Room FX」を搭載する787-9の国際線新仕様機も、各種承認に時間を要しており、受領時期を8月以降から11月以降へ変更した。現時点で事業計画への大きな影響は見込んでいないが、さらに遅れた場合は欧州線の機材繰りに影響する可能性がある。

 開発中の次世代大型機777-9(777X)は、2027年度下期以降の受領を予定する。既存の777-300ER型機の退役時期を延ばすなどし、中期計画で掲げる国際線の事業展開に影響が出ないよう手配を進めている。

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