エアライン, ボーイング, 官公庁, 機体, 空港 — 2024年4月2日 18:31 JST

JAL、着陸直前の揺れでCA 4人負傷 メルボルン発成田行きJL774便

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 4月1日午後3時30分ごろ、成田空港まで南東約150キロの上空で、日本航空(JAL/JL、9201)のメルボルン発成田行きJL774便(ボーイング787-8型機、登録記号JA843J)が突然大きな揺れに遭遇し、客室乗務員4人が負傷した。うち1人の骨折が判明したことから、国土交通省航空局(JCAB)は2日、「航空事故」に認定した。残り3人も捻挫(ねんざ)と診断された。

成田へ着陸直前に起きた突然の揺れで客室乗務員が負傷したJAL(資料写真)=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 JL774便は乗客146人(幼児1人含む)と乗員11人(パイロット3人、客室乗務員8人)の計157人を乗せ、メルボルンを定刻の現地時間1日午前8時20分に出発。機体が突然大きく揺れたのは1日午後3時30分ごろで、成田空港まで南東約150キロ地点の高度約1万7000フィート(約5180メートル)を降下中、シートベルトサイン点灯直後に客室乗務員が着陸前の安全確認業務中に発生した。

 負傷した客室乗務員4人のうち、1人が右足首をひねり、到着後に病院で診察を受けたところ、レントゲン検査で「右下腿(脛骨、腓骨)の骨折」と診断された。

 「航空事故」とは、航空法第76条に定められている「航空機の墜落、衝突又は火災」「航空機による人の死傷又は物件の損壊」「航空機内にある者の死亡(自然死等を除く)又は行方不明」「航行中の航空機の損傷」を指し、骨折などのけが人が出た際も認定される。また、航空事故につながりかねない事態は「重大インシデント」になる。

 2022年度の航空事故や重大インシデントは、航空事故は8件、重大インシデントは3件、安全上のトラブルは1095件。航空事故8件のうち、6件が機体の揺れに伴う事故で、国の運輸安全委員会(JTSB)によると過去20年で最も多かった。

 これを受け、JTSBは3月発行の「運輸安全委員会ダイジェスト」で、「機体動揺による事故の防止に向けて」との提言を発表。機体動揺事故は発生場所に偏りがなく「どこであっても発生しうる」としており、乗客の事故はシートベルト着用で防げているケースがあるのに対して、客室乗務員は立って作業することが多く、突然の揺れに対して防御姿勢を十分とれない状況が多いと分析した。

 ダイジェストに取り組み事例を寄稿したJALでは、気象情報など既存の情報を補足するツールとして、揺れ情報を運航中の機体から収集するシステムを2023年度からトライアル運用していることを紹介した。一方で、JTSBは「自然現象が相手である乱気流等による動揺事故防止の抜本的な対策は容易ではない」として、当面は現状の防止策を着実に実行するしかない、と結んでいる。

関連リンク
日本航空
運輸安全委員会ダイジェスト(運輸安全委員会)

22年度の航空事故8件、重大インシデントは3件=国交省(23年9月14日)