エアライン, 解説・コラム — 2013年8月19日 21:00 JST

ANA、客室乗務員を正社員採用へ 14年度から

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 全日本空輸(ANA)は8月19日、2014年度から客室乗務員(CA)を正社員として採用すると発表した。正社員化によりCA自らの将来を描きやすくし、意欲的に働く人を早期に登用することで、サービスと顧客満足度の強化につなげたい考え。現行制度では契約社員として入社し、3年後に本人の希望や適性、勤務実績などを踏まえて正社員に登用していた。現在契約社員として働いているCAも、来年4月1日付で正社員契約に原則切り替える。

客室乗務員の全正社員化を説明するANAの河本客室センター長=8月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 現行制度は1995年に、当時世界的にみて高水準だった同社CAの給与水準を抑制することなどを目的として導入。ANAグループのCAは約6000人で、このうち約1600人が契約社員として働いている。ANAによると、契約社員の約8割が3年経過時に正社員となり、残り2割は契約社員として期間延長を行うという。

 ANAの契約社員のCAは、地上職を一定期間経験したり、責任者を務めることができない。正社員化により、意欲や能力がある人は、マネジメント業務など早期から役割や業務領域を拡大させ、各クラスの責任者となるパーサーや、総責任者のチーフパーサーを目指すモチベーション向上を狙う。

 新制度へ移行後の平均年収は、現在の450万円と同水準となる見通し。年金や退職金など、会社側の負担が増加する面もあるが、離職率を抑えることで毎年400人から500人程度採用している新人を1割ほど削減できると見ており、訓練費など新人育成コストを抑えられることで、人件費の大幅増にはならないという。

 契約社員として現在働いているCAは、本人が希望すれば来年4月1日付で正社員に切り替わるが、2年間の制度移行期間を設け、後から雇用形態を選ぶことも可能。

 ANA取締役執行役員の河本宏子客室センター長は、「今の制度は20年掛けて育ててきたもので、制度が破綻したわけではない。社会環境が変わる中で、そのままで行くのか、変えるのかを天秤にかけた」と制度を改める理由を述べた。また、CAや労働組合からの働きかけによる制度変更ではないとした。

 ANAによると、他の航空会社から転職してくる既卒者も、契約社員として採用しなければならないため、CAとして相応の乗務実績があっても新人と同列に扱わなければならない点が弊害になっていたという。

 また、現時点ではANAのCA志望者数は減っていないとしているが、安定的に長く働ける環境を用意することで、他業種を含めて優秀な人材の獲得競争が激化する中、採用競争力を高めたい考えを示した。

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