エアライン, 官公庁, 解説・コラム — 2021年6月24日 12:27 JST

航空会社の職域接種、何日で乗務復帰? パイロットは国交省が指針

By
  • 共有する:
  • Print This Post

 新型コロナワクチンの職域接種が6月21日から本格化した。航空会社では1週間ほど前倒ししてスタートさせたところもあり、全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)は6月13日から、日本航空(JAL/JL、9201)は14日から、国際線に乗務する機会があるパイロットや客室乗務員から接種を始め、JALは国際線の乗客と接する空港の地上係員にも拡大している。

羽田空港内に設けられたANAの新型コロナワクチン職域接種会場=21年6月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 航空会社の職域接種に対して、接種したパイロットや客室乗務員がいつから乗務するのかが気になった読者もいたようだ。ANAとJALに乗務へ復帰するまでの期間を聞いた。

 接種に使用しているワクチンは、両社ともモデルナ製。ANAの接種者数は、初日の13日が50人、本格稼働とした14日から1日100人、21日からは同300人に接種できる体制でスタートした。JALは初日の14日が190人で週内に300人まで拡大し、当初から1日最大960人に対応できる体制で始めた。両社とも21日の接種開始を計画していたが、準備が早く整ったことなどから前倒しした。

 接種後に乗務から外れる時間は、職種や会社で異なる。パイロットはANAとJAL共通で、接種後48時間は乗務から外れる。これは職域接種開始に先立って示された国土交通省航空局(JCAB)の指針に基づくものだ。

羽田空港で新型コロナワクチンの職域接種を受けるJAL客室乗務員=21年6月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 一方、客室乗務員はJCABが示す基準はなく、ANAとJALで対応が分かれた。ANAは接種後24時間、JALは接種当日と翌日は乗務から外れることになっている。ANAは「産業医などと相談して決めた」としており、JALは「副反応が翌日のほうが出る可能性が高いため」と、ワクチンの特性を考慮したという。

 今後は運航便に乗務するパイロットや客室乗務員以外に、地上係員や整備士、グランドハンドリングスタッフ、ラウンジなどのスタッフと、空港で働く職種を中心に接種範囲を広げる。

 職域接種は、職場や大学などの学校を含む職域単位でワクチンを接種するもの。ANAはグループ社員約4万6500人、JALは同約3万6000人を対象に職域接種を始めるが、自衛隊による大規模接種なども進んできていることから、もっとも早い方法でグループ全体の接種率を高めていく。

 JALによると、職場でのワクチン接種としては、インフルエンザワクチンを毎年希望者に接種しているという。

関連リンク
職域接種に関するお知らせ(厚生労働省)
全日本空輸
日本航空

JALもワクチン職域接種 羽田でパイロットとCAから、週内に地上係員も(21年6月14日)
ANA、羽田でワクチン職域接種開始 パイロットとCAから(21年6月13日)