エアライン, 機体, 解説・コラム — 2013年5月29日 11:17 JST

LCCとリージョナル機で地方路線活性化を 運輸政策研が提言

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 2006年を境に減少傾向にある日本の国内線旅客数。機材の小型化や低コスト航空会社(LCC)の地方進出を奨励することで、地方路線の維持の可能性を探る提言を、一般財団法人運輸政策研究機構の運輸政策研究所で客員研究員を務める橋本安男氏がまとめた。

運輸政策研究所の橋本氏が示した08年の大手航空会社の機材構成=5月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 橋本氏によると、01年から10年までの10年間に、国内線で撤退や休止した地方路線は69路線。このうち、57路線が10年間に撤退や休止した路線で、新規開設後10年までに休止した路線が11路線、一時的な休止が1路線だった。

 空港別で見ると、関西空港が16路線でもっとも多く、新千歳空港が9路線と続いた。橋本氏は「両空港は路線の母数が多いのも要因」としつつ、新千歳路線では乗継割引の運賃設定で、撤退や休止となった路線があったと指摘した。

リージョナル機の比率低い日本

 日本航空(JAL、9201)や全日本空輸(ANA)の国内線機材は、近年まで大型化をたどった。海外の航空会社と機材構成を比較した例として、08年時点でデルタ航空(DAL)は、ボンバルディアのCRJシリーズなど100席未満のリージョナル小型機の構成比率が全体の47%、ルフトハンザ ドイツ航空(DLH)が34%であるのに対し、JALが16%、ANAが9%と欧米2社と比べて比率が低いとした。

 リージョナル機の利用が日本で少なかった点について、橋本氏は「2000年までは需要が増加しており、羽田への一極集中が日本固有の問題」と、羽田の容量不足を日本の航空市場の特殊要因のひとつに挙げた。

 「機材の大型化が航空会社にとっては最適解であり、経営上楽な判断であったことに加え、リージョナル(地域)航空会社の扱いが1999年の航空法改正まで不定期航空運送事業の位置づけで、法的にも民間航空会社の主要プレーヤーの枠外だった」と背景を解説した。

機材小型化やLCCで地方路線維持を

地方路線維持に小型機や地域航空会社、LCC活用を提言する橋本氏=5月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 また、2つ目の特殊要因として、新幹線との競合を挙げた。東海道・山陽新幹線では、2004年にのぞみ号の大増発が実施され、これまで新幹線で所要時間4時間以上の目的地は、航空機利用が増加に転じる分岐点であった羽田-広島線の利用も、減少傾向になった。

 新幹線との競合については、ピーチ・アビエーション(APJ)の関西-福岡線や関西-長崎線が好調であることから、運賃の安いLCCであれば対抗可能であるとした。一方で定時運航率の向上など、LCCの運航品質改善が不可欠であると述べた。

 海外の国内線需要の事例として、フランスは日本と比較して約4分の1の旅客数で路線数は約半分、英国も旅客数は日本の約4分の1だが、路線数はほぼ同等で維持しているとの調査結果を示した。

 英国の路線維持能力が高い点について、橋本氏は「全体のシェアのうち、7割を地域航空会社とLCCが占めている」と指摘。今後日本で地方路線を維持していくためには、リージョナル航空会社や小型機の活用や、運賃の安いLCCの地方路線への進出を奨励することが重要だとした。また、国や地方自治体による支援制度を、小型機活用やLCC進出で補えない分野で、補完する形で導入すべきだと提言した。

 一方で、燃油費高騰により50席以下の小型機が相次いで生産停止となっており、機材更新を行う際の選択肢が限定される点を課題に挙げた。

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運輸政策研究機構

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