空港 — 2019年6月28日 10:05 JST

中部空港、犬塚新社長が就任「あぐらかくと競争負ける」

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 中部空港(セントレア)を運営する中部国際空港会社の新社長に6月27日、大株主であるトヨタ自動車(7203)出身の犬塚力氏が就任した。前社長の友添雅直氏は相談役に就いた。

中部国際空港会社の犬塚新社長=19年6月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

建設が進む中部空港の第2ターミナル=19年3月28日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 犬塚新社長は、1982年にトヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)入社。トヨタ自動車乗務やトヨタファイナンシャルサービスの社長、トヨタ自動車の販売金融事業本部長を歴任した。

 中部空港は、9月20日にLCCをターゲットにした第2ターミナルが開業し、2020年2月には開港15周年を迎える。犬塚新社長は、「安全安心の確保を最優先に、飛躍的な成長を実現し、地域に愛され、親しまれる空港を目指す」と抱負を語った。

 第2ターミナルには、中部を拠点とするエアアジア・ジャパン(WAJ/DJ)など5社が就航。「国内屈指の使いやすいLCCターミナルだ」と自信を示した。激化する国内外の空港との路線誘致争いについては、「需要が多いのは東南アジアや中国、地域の要望は米国のダラス。LCCとフルサービス航空会社を問わず誘致したい」と語った。

「あぐらをかくと競争に負ける」と語る犬塚新社長=19年6月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 競合となる空港については、「利用者の多い羽田・成田やLCC誘致では関空と、他空港から学ぶことが多い。規模感よりも、エリアごとの最先端をベンチマークにしたい」と、各空港の良い点を吸収して発展させる考えを示した。

 一方、2005年の開港以来使用している第1ターミナルは、商業施設の充実など、国内空港では先進的な取り組みが注目されてきた。「中期計画で掲げる年間1500万人を達成する上で、第1も利便性と快適性を向上しなければならない」と、運営の効率改善などを検討していくという。

 非航空系収入については、「開港以来の強みだが、結果的に他空港もどんどんやっている。いまの状況にあぐらをかくと、競争に負ける」と、社員に危機感の共有を求めた。

 中部空港の2018年度通期実績によると、国際線と国内線を合わせた総旅客数は前年度比7%増の1235万6882人となり、7年連続で前年を上回った。地元が要望する第2滑走路については、「順調に成長させ、これはいけるぞと実績で示すことが大事だ」と、必要性を裏付ける旅客数や発着回数が不可欠との見方を示した。

略歴
犬塚 力(いぬづか・りき)
1959年4月15日生
1982年4月 トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)入社
2011年4月 トヨタ自動車常務役員
2015年4月 トヨタファイナンシャルサービス顧問
2015年5月 同社 代表取締役社長
2016年4月 トヨタ自動車販売金融事業本部本部長
2018年1月 トヨタファイナンシャルサービス監査役

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