エアライン, 機体 — 2019年1月3日 18:05 JST

国内最長飛行のFDA秋田機長、ラストフライト 2万7000時間超える

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 日本の航空会社のパイロットで、最長の生涯飛行時間を持つフジドリームエアラインズ(FDA/JH)の秋田芳男機長(68)が1月2日、花巻発小牧(県営名古屋)行きJH358便(エンブラエル170型機、登録記号JA01FJ)で最後の乗務を終えた。47年のパイロット人生で積み上げた総飛行時間は2万7255時間、着陸回数は1万3565回となった。

小牧空港へ到着し最終乗務便となった花巻発JH358便の乗客を見送るFDAの秋田機長=19年1月2日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

—記事の概要—
YS-11で機長昇格
休むなら飛行機乗りたい

YS-11で機長昇格

 秋田さんは、1951年1月3日大阪市生まれ。小学4年生の時に八尾空港(大阪府八尾市)で見た飛行機に感動し、パイロットの道へ進もうという気持ちが芽生えたという。

最終乗務となった花巻発小牧行きJH358便の運航を終えたFDAの秋田機長=19年1月2日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

 1971年9月に、当時の東亜国内航空(TDA/JD)にパイロット訓練生として入社。日本航空機製造YS-11型機の副操縦士として乗務を始め、機長昇格もYS-11だった。

 その後、ダグラスDC-9型機やボーイング777型機、ボンバルディアDHC-8-Q400型機と、社名変更後の日本エアシステム(JAS/JD)や日本エアコミューター(JAC/JC)、日本航空(JAL/JL、9201)で、ターボプロップ(プロペラ)機からワイドボディー機まで、さまざまな機種を操縦。777時代には、8年ほど国際線も担当したという。FDAには2010年4月に入社し、エンブラエル170/175(E170/E175)の機長を定年まで勤め上げた。

 32歳でYS-11の機長になった秋田さんは、「(コクピット内で)機長と副操縦士の距離はわずか1メートル。たった1メートル左に移動するだけで、気持ちは全然違う」と、運航責任者である「PIC(Pilot in Command:機長)」に初めて指名された時に感じた重圧をこう表現した。

休むなら飛行機乗りたい

 2万7000時間を超える飛行時間に到達したことについて、秋田さんは休みを取らなかったことを理由に挙げた。飛行機が大好きで、休むくらいなら乗っていたいという気持ちが大きかったという。また、暴飲暴食を避け、睡眠をしっかりと取り、オンとオフを上手に切り替えるなど、規則正しい生活がパイロットを長く続ける秘訣だと語った。

最終日に乗務する機体をバックに記念撮影するFDAの秋田機長と社員ら=19年1月2日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

 これまではパイロットとして自らを常にコントロールしてきたが、翌日からはそうした縛りから解放される。明日からしてみたいことの問いには「暴飲暴食」と即答し、笑いを誘った。

 近年、パイロットに対する世間の目線が違ってきていることにふれ、「常に第三者の目を気にして欲しい」との言葉を後輩たちへ残した。

 最終乗務日となった2日は、計4便のフライトを担当。小牧を午後1時10分に出発する熊本行きJH325便から乗務を開始し、折り返しの熊本発小牧行きJH326便、小牧発花巻行きJH357便と操縦桿を握り、ラストフライトとなった花巻発JH358便は、乗客57人(幼児3人含む)を乗せ、小牧へ午後8時9分に到着した。降機した秋田さんは同僚たちに迎えられ、笑顔をみせた。

 秋田さんは、2014年5月23日に総飛行時間2万5000時間を達成。2日の最終便で達した2万7255時間のうち、機長としてのフライトは2万131時間だった。FDA入社後の総飛行時間は4606時間で、このうち機長として4160時間を飛んだ。今後は取締役兼運航乗員部長として、後進を育成していくという。

*写真は26枚。
*秋田機長最終日の運航実績は写真下に掲載。

乗務最終日の出発前に副操縦士(左)とブリーフィングするFDAの秋田機長=19年1月2日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

乗務最終日の出発前に副操縦士(左)とブリーフィングするFDAの秋田機長=19年1月2日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

乗務最終日の出発前に副操縦士や客室乗務員とブリーフィングするFDAの秋田機長(後列右)=19年1月2日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

FDAの同僚たちと記念撮影する秋田機長。ジェイエアに勤める息子さん(左)も招かれた=19年1月2日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

最終日に乗務する機体の外部点検を行うFDAの秋田機長=19年1月2日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

最終日に乗務する機体の外部点検を行うFDAの秋田機長=19年1月2日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

機体の外部点検を終え安全ベストを脱ぎ機内へ入るFDAの秋田機長=19年1月2日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

小牧空港で出発準備が進むFDAの秋田機長の最終乗務機=19年1月2日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

小牧空港を出発する熊本行きJH325便から地上スタッフに手を振るFDAの秋田機長=19年1月2日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

FDAの社員に見送られ小牧空港を出発する熊本行きJH325便=19年1月2日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

小牧空港を離陸する熊本行きJH325便=19年1月2日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

秋田機長が乗務する小牧発最終の花巻行きJH357便=19年1月2日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

小牧発最終便から地上スタッフに手を振る秋田機長=19年1月2日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

秋田機長最後の小牧出発便となった花巻行きJH357便=19年1月2日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

秋田機長の操縦で小牧空港を離陸する花巻行きJH357便=19年1月2日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

小牧空港に着陸する秋田機長の最終乗務便となった花巻発JH358便=19年1月2日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

小牧空港の駐機場へ向かう秋田機長の最終乗務便となった花巻発JH358便=19年1月2日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

小牧空港に到着した秋田機長の最終乗務便となった花巻発JH358便=19年1月2日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

最終乗務となった花巻発小牧行きJH358便の運航を終え副操縦士(右)と握手するFDAの秋田機長=19年1月2日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

最終乗務となった花巻発小牧行きJH358便の副操縦士や客室乗務員と記念撮影するFDAの秋田機長(前列左)=19年1月2日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

最終乗務となった花巻発小牧行きJH358便を降りるFDAの秋田機長=19年1月2日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

最終乗務となった花巻発小牧行きJH358便を降りるFDAの秋田機長=19年1月2日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

最終乗務を終え同僚と記念撮影するFDAの秋田機長=19年1月2日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

秋田機長最終日の運航実績(括弧内は定刻/実績)
JH325 小牧(13:10/13:10)→熊本(14:40/14:44)
JH326 熊本(15:10/15:15)→小牧(16:30/16:28)
JH357 小牧(17:05/17:02)→花巻(18:15/18:18)
JH358 花巻(18:50/18:52)→小牧(20:15/20:09)

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