エアライン — 2018年4月9日 06:01 JST

ANA、アバター事業始動 遠隔操作で接客、釣りや素潜り体験も

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 全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)は、空港にいる外国人客に対し、遠隔操作で手荷物の預け方を説明したり、東京にいながら地方で釣りを体験するといった「AVATAR」(アバター)事業に参入し、来春をめどにサービスを始める。

羽田空港の自動手荷物預け機の横で利用者に使い方を説明するANAのアバター=18年3月29日 PHOTO: Yoshikazu TSUNO/Aviation Wire

アバター事業について説明するANAホールディングスの片野坂社長=18年3月29日 PHOTO: Yoshikazu TSUNO/Aviation Wire

 遠隔操作するロボットには現在、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)などの技術が用いられているものがある。ANAのアバター事業では、これらやロボティクス、センサー、通信、触覚技術など個別に発展している技術を融合し、一体でさまざま用途に利用できる「ジェネラル・アバター」の実用化を目指す。

 実現に向け、大分県を遠隔地でのテストを実施する場に選定。県内の海上釣り堀を利用した釣り体験や、海中に潜らせたアバターを利用し、遠隔で素潜りや貝の収穫が体験出来るサービスを検討している。また、沖縄美ら海水族館の水槽を、東京などから遠隔観賞する実証実験も検討する。

 空港でのサービスとしては、自動手荷物預け機「ANA Baggage Drop サービス(ABD)」の近くにアバターを設置し、離れた場所から利用者の質問に答えるサービスを検討。訪日外国人が増えていることから、多言語対応を限られた人数でこなすといった活用方法を検証していく。

 ジェネラル・アバターの実用化に向け、ANAは米国の非営利団体、XPRIZE財団が主催する国際賞金レースに参画。「ANA AVATAR XPRIZE」として、2021年10月に本選を開く総額1000万ドルの賞金レースを始めた。

 ANAHDの片野坂真哉社長は、アバター事業を2018-2022年度の中期経営戦略で、新しい未来を創る取り組みの一環と位置づける。片野坂社長は、「アバターはVRとは違った一歩進んだ技術。医療や災害救助、教育などに活用できる。体は移動していないのに、リアルに体験できるので、けがをしたけれども釣りをしたいといった時に、(魚の)当たりや引きを体験できる。疑似体験により本物にふれたくなる」と述べた。

 来春のサービス開始時は、羽田空港などでの実施を検討しているという。

*写真は6枚。

羽田空港の自動手荷物預け機の横で利用者に使い方を説明するANAのアバター=18年3月29日 PHOTO: Yoshikazu TSUNO/Aviation Wire

羽田空港の自動手荷物預け機の横で利用者に使い方を説明するANAのアバター=18年3月29日 PHOTO: Yoshikazu TSUNO/Aviation Wire

アバターで釣りを体験する女性=18年3月29日 PHOTO: Yoshikazu TSUNO/Aviation Wire

アバター技術を活用した沖縄美ら海水族館の観賞例=18年3月29日 PHOTO: Yoshikazu TSUNO/Aviation Wire

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