エアライン, 空港 — 2017年3月24日 20:00 JST

成田空港、航空会社にインセンティブ 旅客・貨物対象、非航空系収入の拡大狙う

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 成田国際空港会社(NAA)は4月1日から、旅客数や貨物量に応じ、航空会社にインセンティブを支給する制度を開始する。支給額は空港内の店舗売上高により変動する。航空会社へのインセンティブにより、NAAは物販など非航空系収入の拡大や便数維持などにつなげる。

NAAが提供する「成田空港マーケティングインセンティブ」単価(同社資料からAviation Wire作成)

航空会社向けのインセンティブ制度を開始する成田空港=15年5月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 「成田空港マーケティングインセンティブ」で、国内・国際の旅客便と国際貨物便を対象に支給する。航空会社の取扱総数と前年度比での増加分に対し単価を設定する。国際線旅客のインセンティブ単価は、前年度の店舗売上高に応じ変動させる。国内線と国際線貨物は固定する。

 前年度の売上高800億円以上1000億円未満だった場合、国際線旅客は1人あたりの取扱単価として45円、増加分には90円を支払う。国内線は取扱単価を10円、増刊単価を20円に設定する。国際線貨物は1トンを単位とし、取扱単価を100円、増加単価を200円とする。

 売上高は200億円刻みで設定する。取扱単価は1000億円以上で50円、1200億円以上で55円、1400億円以上で60円とし、増加単価はそれぞれ、取扱単価の倍額を設定する。

 2016年度の店舗売上が1000億以上、国際旅客数が10万人だった航空会社で、2017年度に1万人増加した場合、取扱単価の50円を11万人分のほか、増加分1万人に対し、増加単価100円を支払う。この場合、航空会社は650万円を受け取ることになる。

航空各社への支給事例(NAAの資料からAviation Wire作成)

 航空会社はインセンティブを、旅客数や貨物量の維持・増加に向けたマーケティング活動に投資。NAAは活動費をサポートする。

 インセンティブの提供期間は2017年4月1日から2019年3月31日までの2年間で、半期ごとに提供する。航空会社はNAAに対し、マーケティング活動計画と実施報告を提出する。

 北米とアジア各国を、これまでの成田経由から直行便の設定に切り替える航空会社が増えている。機体の性能向上などによるもので、ユナイテッド航空(UAL/UA)とシンガポール航空(SIA/SQ)は2016年、成田経由だったサンフランシスコ-シンガポール線を直行便に相次いで切り替えている。

 NAAの2016年度3月期、リテール事業の売上高は820億5700万円(前年同期比21.8%増)だった。2017年度3月期では増収を見込んでいる。

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成田国際空港

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