日本航空(JAL/JL、9201)は、格納庫などで構成する羽田空港の見学施設「JAL SKY MUSEUM(JALスカイミュージアム)」を4年ぶりにリニューアルする。11月1日に刷新し、夕方の「トワイライト枠」など見学枠を増やすと共に、見学時間を拡大。長い年月が経過した展示品の補修や維持、新規制作などに充てる入場料を大人のみ設け、展示の更新頻度を従来より高め、繰り返し訪れてもらえるミュージアムを目指す。

トワイライト枠ではJALスカイミュージアムの格納庫から夕暮れの羽田空港を撮影できる=25年10月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
—記事の概要—
・トワイライト枠で夕暮れの羽田
・着物制服も展示
・見学時間20分延長
・新コンテンツで還元
トワイライト枠で夕暮れの羽田
JALは今回、見学枠を再編し、昼過ぎの午後1時30分開始の枠と、夕方午後4時30分枠の2枠を新設した。夕方の「トワイライト枠」は、幻想的な夕日を格納庫越しに撮影できる時間帯として再設定された。

トワイライト枠を設けたJALスカイミュージアムの格納庫見学=25年10月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
スカイミュージアム責任者のJAL総務本部ESG推進部社会貢献グループの吉田俊也グループ長は、「かなり大きいカメラを持って来場される方が多いです」と話し、飛行機を撮影したい来館者に、これまでとは違う時間帯の羽田を撮ってもらおうと、トワイライト枠を設けた。
吉田さんによると、40代から60代の来場者が多く、大人向けの展示や体験の充実が求められていた。一方、小学生をはじめ子供向けには、航空教室などを企画していきたいという。
トワイライト枠は週に2-3日開催する予定で、日の入りの時刻の関係上、冬季など設定しない期間があるという。

トワイライト枠を設けたJALスカイミュージアムの格納庫から撮影したA滑走路に着陸するJALの767-300ER JA658J=25年10月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

トワイライト枠でJALスカイミュージアムのラウンジから撮影したJALのA350-1000 JA08WJ=25年10月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
格納庫での撮影のほか、羽田第1ターミナルに面する「ラウンジ」では、発着するJAL機に加え、誘導路を行き交う、さまざまな航空会社の機体も撮影できる。
また、現在は週に2日ある休館日は水曜のみに変更。11月からは週6日間開館する。
着物制服も展示
4年ぶりのリニューアルとなったことから、「ミュージアムエリア」の展示内容も刷新。これまでは1950年代から10年刻みで年代順に並べていた展示構成を見直し、アーカイブゾーンでは「アメニティキット」「シティガイド」「扇子」「1950年代のパンフレット」など、アイテムごとの展示に改め、JALが提供してきたサービスなどの変遷を追いやすい構成となった。

機内で着用していた着物(右)を展示するJALスカイミュージアムの歴代制服コーナー=25年10月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

機内で着用していた着物(右から2番目)を展示するJALスカイミュージアムの歴代制服コーナー=25年10月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
また、歴代制服の展示エリアには、かつて客室乗務員が機内で実際に着用していた着物も加わった。JALの客室乗務員の制服は現在11代目で、着物は歴代の中でも人気の高い5代目と並んで展示している。
未来を紹介する「フューチャーゾーン」では、新たに奄美アイランドでのドローン活用や空飛ぶクルマなど、JALグループの先進的な取り組みを紹介する動画コンテンツも加えられた。
今後は半年程度を目安に、展示の入れ替えを検討したいという。

11月にリニューアルするJALスカイミュージアムのアメニティ展示=25年10月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

11月にリニューアルするJALスカイミュージアムに展示されたファーストクラス用アメニティ=25年10月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

11月にリニューアルするJALスカイミュージアムに展示された扇子=25年10月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

11月にリニューアルするJALスカイミュージアムに展示されたシティマップ=25年10月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

11月にリニューアルするJALスカイミュージアムに展示された1950年代のパンフレット=25年10月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
見学時間20分延長
見学時間は、従来の110分から130分に20分延長した。ミュージアムエリアの見学が60分、格納庫見学が50分だったが、最後にもう一度ミュージアムに戻り、20分間を見学やおみやげの購入などに充ててもらう。

JALスカイミュージアムで販売しているオリジナルグッズの新商品=25年10月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
吉田さんによると、「見忘れたもの、買い忘れたものがカバーできる」時間を確保することが顧客体験の向上につながるといい、ロッカーへの荷物の出し入れを含め、来館者の過ごし方の自由度を高めた。
また、無料で利用できる手荷物のロッカーを117個新設。ミュージアムエリアや格納庫見学時に手ぶらで移動できるようになった。おみやげとしては、紙コップ由来の紙糸を使ったタオルハンカチやポーチ、ペンケースといったリサイクル製品、金箔付きの「御翔印」(1周年記念・数量限定)など、企画性の高い商品を取り揃えた。
JAL社会貢献グループで、スカイミュージアムやおみやげの企画を担当した岡愛梨主任は「おしゃれで日常使いがしやすく、ミュージアムを思い出していただけることを意識しました」という。
新コンテンツで還元
11月から導入する大人(13歳以上)1000円の入場料は、展示品の更新や維持管理などに充てる「専用予算」と位置づけた。吉田さんは「運営費は引き続き社会貢献としてJALが負担する」と説明し、入場料は現在は公開していない資料の展示化や、新コンテンツづくりに活用し、リピーターに還元する。

11月にリニューアルするJALスカイミュージアムのエントランス=25年10月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

11月にリニューアルするJALスカイミュージアムのエントランス=25年10月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
12歳以下は無料を維持し、小学生未満は入場不可。「JAL STEAM SCHOOL」(1500円)や「ライフベスト着用体験」(1500円)、「機内食&FUJI号プレミアムコース」(8000円)といった従来から有償のコースは料金を据え置き、入場料を含めた金額とした。
今回のリニューアルで、吉田さんは「トワイライトは昼間と違った景色が楽しめると思います。ぜひ来ていただきたいです」と話していた。今後は5代目制服のハンドバッグや帽子、靴なども公開を予定しているという。

JALスカイミュージアム=25年10月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
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