中国東方航空MU5735便墜落事故、中国当局が「国家安全」で公表拒否

By
  • 共有する:
  • Print This Post

 2022年3月に中国で起きた中国東方航空(CES/MU)の昆明発広州行きMU5735便(ボーイング737-800型機、登録記号B-1791)墜落事故をめぐり、中国民用航空局(CAAC)が国家安全と社会安定を理由に調査情報の公表を拒否していることが、現地報道などで明らかになった。

中国東方航空の737-800(資料写真)=PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 MU5735便の墜落事故は、広西チワン族自治区梧州付近で2022年3月21日に発生。乗客123人と乗員9人の計132人が死亡した。CAACが2024年3月20日に公表した、現時点でもっとも新しい公開済みの調査進捗報告によると、事故当日の機体や乗員、管制、燃料などに問題は確認されておらず、引き続き原因分析を進めるとしていた。

 これまでの報道を総合すると、専門家の間では、パイロットの1人が故意に墜落させた可能性が指摘されている。中国政府が「国家安全と社会安定」の観点で公表を拒んでいる背景として、こうした人為的な要因が関係しているとみられる。

 CAACは事故に関する情報公開の要請に対し、今年5月19日付で公表を拒否する書面を出した。書面では、調査情報を公開すると国家安全や社会安定に危害を及ぼす可能性があるとして、関連法規に基づき非公開とすることを決定したとしている。

 航空機の位置情報を提供するウェブサイト「フライトレーダー24(Flightradar24)」によると、MU5735便は広西チワン族自治区の梧州上空で高度2万9100フィート(約8870メートル)を記録後、3分後の同22分には高度3225フィート(約983メートル)まで急降下しており、山中に墜落した。機体は2015年6月に引き渡された。

 中国本土では、1994年6月6日に中国西北航空機の墜落事故で160人(乗客146人、乗員14人)全員が死亡して以来、28年ぶりの大惨事となった。

関連リンク
中国東方航空

中国東方航空MU5735便墜落、操縦室で意図的操作か WSJ報道(22年5月18日)
中国東方航空、737-800運航再開 墜落から1カ月(22年4月18日)
中国東方航空MU5735便墜落、FAAやボーイングなども調査参加(22年3月22日)
中国東方航空の737墜落 132人搭乗、昆明発広州行きMU5735便(22年3月21日)

  • 共有する:
  • Facebook
  • Twitter
  • Print This Post