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全日本空輸（ANA/NH）を傘下に持つANAホールディングス（ANAHD、9202）は6月27日、株主総会を都内で開催した。配当（剰余金の処分）など会社側提案の4議案をすべて可決し、株主側の2議案はいずれも否決して閉会した。株主優待券の利便性向上や中間配当の検討など、株主還元強化を訴求した。
東京・高輪で開かれたANAホールディングスの株主総会＝25年6月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
—記事の概要—
・次期は株主還元強化
・AirJapanとピーチ統合「一切ない」
次期は株主還元強化
総会では株主からの事前質問に2問答える形で、株主還元と安全について説明。議長を務めた芝田浩二社長は「財務基盤はコロナ前の水準に戻りつつある」として、進行中の「2023-2025年度 中期経営戦略」が最終年度を迎えていることから、「次期は株主還元強化を打ち出したい。一層の配当水準引き上げを早期に実現し、中間配当制度導入も検討する」と説明した。
株主総会であいさつするANAホールディングスの芝田浩二社長を映し出すモニター＝25年6月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
また、「株主優待にも多くの意見をいただいた。使いにくさをおわびする」と述べ、利便性を改善していく姿勢を示した。
ANAは国内線の予約システムを2026年5月19日に刷新する計画。同日以降は株主優待券の利便性を改善できる見込みで、営業を統括するANAの石井智二常務は「少しでも満足していただける座席の出し方を検討したい」と述べた。
もう一つの事前質問への回答となった安全に関しては、エア・インディア（AIC/AI）のアーメダバード発ロンドン（ガトウィック）行きAI171便（ボーイング787-8型機、登録記号VT-ANB）が現地時間12日、離陸直後に墜落したことから、同型機の点検強化など、現在の取り組みを説明。ANAは787のローンチカスタマーで88機運航しているが、墜落事故の原因特定には至っていないため、必要な措置を「タイムリーに実施している」（安全統括管理者の宮前利宏常務）と説明した。
2018年と2019年に合わせて2度の墜落事故が起きた737 MAXについては、ANAは737-8（737 MAX 8）を早ければ今年度から受領を開始する計画。宮前常務は「ANAの品質担当者をボーイングに駐在させており、1機1機の作り込みを確認している」と、機体の品質管理を航空会社の立場で積極的に進めていることを強調した。
AirJapanとピーチ統合「一切ない」
会場の株主からは2件の動議も含め13人が質問。直近6カ月の株価が1株2700-2900円台で推移し、5月下旬からは日本航空（JAL/JL、9201）の株価がANAHDを上回っていることから、株価低迷に対する意見が目立った。
また、ANAHD傘下のエアージャパン（AJX/NQ）が運航する新ブランド「AirJapan」と、傘下のLCCであるピーチ・アビエーション（APJ/MM）を統合しないのか、との質問が株主から出た。2024年2月に就航したAirJapan便のロードファクター（座席利用率）は、2024年度下期は82％だったものの、就航当初の上期が55％と低調だったことから、通期では69％にとどまった。
芝田社長は「フルサービスのANA、ハイブリッドのAirJapan、LCCのピーチと、3つのブランドでマーケットをしっかり取っていく。AirJapanとピーチを統合する計画は一切ない」と断言した。
27日に開かれた第80回株主総会には、昨年より20人少ない1047人が出席。所要時間は昨年より12分長い2時間7分で、退場者は出なかった。
会社側が提案した配当（剰余金の処分）、定款の一部変更、取締役11人の選任、監査役1人の選任の4議案はすべて可決された。一方、株主提案の第5号議案「定款一部変更（上場子会社又は上場関連会社への天下りの禁止）の件」と、第6号議案「定款一部変更（共同保有の開示）の件」は、いずれも会社側が反対した上、多くの株主の賛同を得られず、否決された。
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