本田技研工業(7267)の研究開発子会社である本田技術研究所は6月17日、自社開発した再使用型ロケットの実験機による離着陸実験に初めて成功したと発表した。到達高度は271.4メートルで、着地位置は目標から37センチの誤差に抑え、飛行時間は56.6秒だった。再使用型ロケットの事業化は、現時点で決定していない。

ホンダが北海道大樹町で実施した再使用型ロケットの離着陸実験(同社提供)
今回の実験は、17日午後4時15分に実施。ロケットの再使用に必要な上昇・下降時の安定性や着陸機能などの要素技術を確認することが目的で、北海道大樹町の専用実験設備で行われた。ロケットは全長6.3メートル、直径85センチ、重量はドライ900キロ、ウェット1312キロで、ホンダとして初となる高度300メートル級の離着陸実験となった。
再使用型ロケット(RLV:Reusable Launch Vehicle)は、従来の使い捨て型ロケット(ELV)とは異なり、同一機体を短時間で繰り返し運用できるのが特徴。垂直に打ち上げた後、高度100キロ程度まで上昇し、垂直姿勢を保って着陸する。
ホンダは2021年からロケット研究に取り組んでおり、2024年からエンジン燃焼実験やホバリング実験を重ねてきた。今回は半径1キロの警戒区域を設定し、推力遮断時の落下範囲や、内閣府ガイドラインによる安全距離加算といった安全対策を講じた上で実験した。今後は2029年の準軌道到達能力の実現を目指し、引き続き要素技術の研究を進めていくが、現時点で事業化は決定していない。
本田技研工業の三部敏宏社長は「今回の離着陸実験の成功で、再使用型ロケットの研究段階を一歩進めることができた。人々の時間や空間に新たな価値を提供し続けていく」とコメントした。

ホンダが5月に北海道大樹町で実施した再使用型ロケットの実験(同社提供)

ホンダが北海道大樹町で実施した再使用型ロケットの離着陸実験(同社提供)

ホンダが北海道大樹町で実施した再使用型ロケットの離着陸実験(同社提供)

ホンダが北海道大樹町で実施した再使用型ロケットの離着陸実験(同社提供)
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