エアライン, 官公庁, 空港 — 2014年6月9日 08:45 JST

航空分科会基本政策部会、国際競争力強化に向け提言 羽田と成田強化やLCC活用

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 国土交通省航空局(JCAB)は6月6日、今後の航空行政に関する課題を審議する交通政策審議会航空分科会基本政策部会(部会長:家田仁・東京大学 政策研究大学院大学教授)のとりまとめを発表した。羽田と成田両空港の役割分担の議論を進める必要性やLCC(低コスト航空会社)の活用が示された。

羽田の機能強化も目指す=13年8月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 同部会は2012年10月23日に設置。計15回の審議を重ねてきた。今後日本の航空行政や業界が貢献すべき価値として、「産業・都市の国際競争力向上」「訪日外国人・旅行者の増加」「日本全国の地域活性化」を位置づけ、航空関連の企業や空港の国際競争力を戦略的に向上させるとしている。

 具体的な施策としては、「航空ネットワーク構築のための強固な基盤づくり」「充実した航空ネットワークの構築と需要の開拓」「質の高い航空・空港サービスの提供」を挙げた。

 基盤作りでは、羽田と成田を機能を強化するため、役割分担の議論を進める必要性に触れた。また、関西空港や中部空港を中心にLCCや訪日外国人の受け入れ、国際航空貨物の拠点機能強化、管制処理能力の向上や空港経営の民間委託の推進などで、環境整備を進めるとした。

 需要の開拓では、ASEAN(東南アジア諸国連合)などの路線網の充実や、アジアと北米間を結ぶ乗り継ぎ需要の取り組みを重視。オープンスカイ合意国の拡大や羽田と成田の発着容量拡大を踏まえた枠組み緩和などを検討する。また、LCC普及のための空港関連コストの低減や就航率向上につながる環境整備を進める。

 LCCについては、地方空港での受け入れ強化や出入国手続きの円滑化などを挙げており、観光振興と一体に検討。また、ビジネスジェットの受け入れについても環境改善を進め、全体的な取り組みで2020年の訪日外国人旅行者数2000万人達成を目指す。

 航空会社や空港の質にも言及し、新たな航空会社の乗り入れや新機材のトラブルなどに対応できるよう、監査や審査を実施。空港についても、乗り継ぎ時間短縮や空港までの鉄道網の充実などの検討を進めていく。

 とりまとめでは、我が国の航空会社や空港の課題として、コスト高を挙げるとともに、強みとして正確なオペレーションやきめ細かいサービスを挙げた。今後は航空会社などの自助努力を促すと同時に、行政側もボトルネック解消に向けた環境整備を実施していく。

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