機体 — 2018年10月26日 12:34 JST

レオナルド、ティルトローターAW609初号機は20年納入

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 伊レオナルドヘリコプターズ(旧アグスタウェストランド)は10月25日、開発中の民間用双発ティルトローター機AW609の進捗を、都内で開いた説明会で報告した。量産初号機は2020年はじめに引き渡しを予定しているという。

東京から1時間で捜索救難可能なAW609の活動範囲=18年10月25日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

固定翼状態で飛行するAW609(レオナルドヘリコプターズ提供)

 AW609は、ヘリコプターと同様に垂直離着陸でき、主翼の両端にあるプロペラの向きを上方から前方に変えると、固定翼機として飛行出来る。同様のティルトローター機として、米軍や陸上自衛隊が導入した軍用機のベル・ボーイングV-22「オスプレイ」がある。

 AW609の最大離陸重量は8000キロ(8トン)で、有効搭載量は2860キロ。最大航続距離は700海里(1296キロ)で、補助燃料タンクを増設すると1000海里(1852キロ)に伸ばせ、固定翼時の最大速度は275ノット(509キロ)を計画している。捜索救難などの用途では、通常のヘリと比べて1時間に4倍のエリアに対応できるという。

 25日の説明会では、客室レイアウトにも言及。与圧された客室の標準仕様は乗客9人で、VIP仕様では6席、救急医療サービス(EMS)では4席とストレッチャー2基を搭載できるなど、捜索救難や救急救命分野への売り込みも進める。

 AW609は1996年にベルとボーイングが共同開発を始め、1998年からはベルとアグスタが合弁会社ベル/アグスタ・エアロスペースを設立し、BA609として開発を進めてきた。その後、2011年にアグスタウェストランド(当時)の単独開発となり、名称をAW609に変更している。

 コックピットはレオナルドのヘリ、AW169やAW189と連携できるものを採用。機内空調システムを改善し、EMSやレスキューで使えるように客室ドアを当初より大型化している。ランディングギアは滑走路運用が可能なものを採用した。

 現在はイタリアと米フィラデルフィアで、計2機の飛行試験機が試験中。飛行試験は1400時間を突破し、2019年にフルフライトシミュレーターを完成させ、FAA(米国連邦航空局)の型式証明を取得する見通し。量産初号機は2019年内に完成させ、2020年はじめに引き渡しを予定している。

 2000年代初頭の計画では、型式証明取得を2003年に予定していた。3年前の2015年に示した計画では、2017年に型式証明を取得し、2018年の納入開始となっていたことから、開発はさらに遅れている。

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